冬を彩るリーフたち

今年も残すところ十日ばかり。年内に片付けておきたい事はまだまだ残っているが、寒さのため、体も心もなかなか勢い良く動かない。トシだなぁ。

年末を迎える頃になると、ハーブたちもあるものは枯死し、あるものは落葉し、また地上部を枯らして寒さに耐えているものもある。

なかには葉を赤くして冬の最中を彩る種類も多い。冷たい風もものともしない、元気な子供たちのほっぺのようだ。

シナロアセイジ

シナロアセイジは冬でなくとも赤みのある葉が特徴。寒くなってくるとさらに鮮やかになってくる。ただ、この辺りでもあまり寒さが強くなると地上部はダウンしちゃうのでその際はばっさりと切ってしまう事になる。

サルビア・ブカナニー

同じくサルビアの仲間、ブカナニーも冬は特に茎や葉裏、葉脈が鮮やかになる。花もまだ咲いたりするのでつややかな葉とともに楽しめる。とはいえ、それは安定した環境の中でのこと。強い風や、雪でも降ろうものならもともと弱い枝がポッキンとなるのは必定だ。

レモンティートゥリー

今年、案外面白いなと思ったのがレモンティートゥリー。特に新芽の辺りはきれいに赤く染まるし、繊細な感じの葉と相まって、鉢植えにして冬の観葉植物として楽しめるんじゃないかと思う。実は今だ花を見た事が無いからせめて葉色ぐらいは楽しませてもらってもよいだろう。

ウインターセイボリー

まだ今期、実力が発揮できていないのがウインターセイボリー。もう少し寒さが厳しくなってくると濃い葡萄色とでもいうような葉色に変わる。どちらかと言えば普段はあまり人気がないハーブであるが、以前、あるお庭屋さんがこの色に変わった苗を気に入ってたくさん買って帰られた事があった。この一件でちょっと見直した種類でもある。ぼちぼち冬も本番。「なにしおわば」しっかり実力を発揮してもらいたいものである。

初冬の黒

秋遅くから冬にかけても咲いているセイジ/サルビアもまた結構あったりする。松江ではさすがに真冬にはほぼ無くなるが、今の時期は秋開花したのが残っていたり、さてこれからといった花もあるのだ。

寒さに弱そうに見えて、案外冬半ばぐらいまで頑張るのがサルビア・ディスコロール。パッと見には黒い花である。良く見れば濃い紺色と言えば良いのだろうか。形も一風変わっているし、花盛りの時期はともかく、今の時期は目を引く。

サルビア・ディスコロール

黒く見える花だと昆虫に対してもアピールしにくくはないのだろうか。それで他の花が少ない頃に咲くのかななんて考えてしまう。原産地では黒い花だけに関心を示す虫が・・・と言う事かも知れないけどね。

花色もさる事ながら、葉の雰囲気もまた特徴がある。葉の表の質感も変わっているし、裏は真っ白。萼も含めて花を一層際立たせているのかも知れない。

単独で大株にするもまた良し、寄せ植えなどにもアクセントになかなか使える。ただ、古い葉はちょっと見た目が悪いのでなるべく新しい葉が楽しめるように剪定、植替などで更新するよう努めたい。

これもまた難点だが、このサルビアも花茎が粘つく。せっかく良い花が咲き、コンディションの良い葉が広がっていても花茎にひっつく小さな虫。見るたびに残念に思う。

初冬の霧

今朝は風もなく濃い霧が立ちこめる朝だった。

車で走っていても回りの風景や家々がふわっと姿を表してくる。通り慣れた道なのに、別の場所へ迷い込んだかのような感じもちょっとあって楽しい。(対向車や自転車も突然現れるのであまり油断はできないけれどね。)
霧の裏山

圃場の裏山もトーンに乏しい。落葉したギンヨウボダイジュが秋の終わりをいやが上にも感じさせる。来春、また可愛らしい新芽を見せてくれる日を心待ちにしよう。

パープルメキシカンブッシュセイジ

パープルメキシカンブッシュセイジも小さな水の粒をまとい、今朝は重そうに見える。萼の色合いが目立つが、花はだいぶ落ちて地面に彩りを添えている。思えば今年はたくさん咲いてくれたのに、切り花で飾ることが少なかった。もっとたくさんの人に見てもらえば良かったね。

結局今日は、霧が晴れても青空を拝むことはできなかった。

アキギリの口惜しさ

世界中に分布するセイジ・サルビアの仲間、当然日本原産のものもある。日本原産と言えばたいてい育てやすいだろうと思えるのに、このアキギリにはそれなりに注意が必要で毎年なんらかの失敗をしてしまう。

一般的なハーブとしてしられているサルビア属、普段育てている種類の多くは日なたと乾燥が大好きである。ところが、アキギリはあまり日が強く、乾燥しているとすぐに葉の縁がチリヂリに焼けてしまう。店頭に出していたりすると、他のハーブと同じような水やりになってしまい、花が咲きはじめるころには葉があまりにみすぼらしくなってしまい、手に取ってもらえないことも多い。

庭植えにする時も、夏は要注意。日陰の涼しそうなところでも、水が切れてしまうと葉があっという間に茶色になる。以前、とある公共施設のグリーンのコーディネイトをしていたことがある。その時にも日陰の部分にぴったりと思い、アキギリを使ってみた。最初は大変好調に育ち、花まで後一歩と言うところで水切れで台なしに。いまでも悔やむ思い出である。

アキギリ
写真は、たまたまうまく花を咲かせた一株。場所にぴったり合えばこれぐらいいくらでも咲くポテンシャルを持っているはずなのに、使う側の力が足りないせいで実力が発揮できないでいるアキギリ。口惜しがっているかも知れない。

ひとりぼっちが好き

似たような種類でも、植物には色々な性格がある。秋咲きのセイジと言っても、実に様々だ。秋に咲くブルー系の大形セイジと言えば、かつての代表格はラベンダーセイジだった。初めて見たのはどれほど前だったろうか、秋風にそよぐ見事な花穂に感心した。

ところが、育ててみると案外うまく行かない。最初は大事に鉢で育ててみたところ、ひょろひょろと細めの茎で花穂のボリュームもお話にならない。そこで地植えにもチャレンジ。このときも、植え時が遅かったのか、株が充実せず、のびた茎もいまいち勢いに欠けた。開花しても頭を垂れたような姿だった。

そのうち分かってきたのが、前年から株を充実させ、春からしっかり成育させること、できれば数株まとめて植えたり、他の植物の間などに植え込み支えてもらうようにすればうまく行くと言うことだ。残念ながら一株だけで育てようとすると大株になるまでは倒れたりしやすい。

近年出回るようになってきたのがアンソニーパーカーセイジである。花はラベンダーセイジと良く感じが似ているが、パイナップルセイジメキシカンブッシュセイジの血が入っているようで育ち方はだいぶ違う。ラベンダーセイジと同じく、春先に株元まで切り戻して形を整えるが、その後ギュッギュッとつまった感じで株が育っていく。一株でもしっかり自立して、倒れるような心配はまず無い。むしろ周りに他の植物があると返ってその良さが発揮しにくいように思う。ひとりぼっちが好きなのである。

アンソニーパーカーセイジ

写真のアンソニーパーカーセイジ(実は2株)、市内の幼稚園に有る株だが、ほかの花たちとは少し離れて存在感を際立てて咲いている。これももちろん春、地際まで刈り込んだ。その後全く剪定無しで現在このような姿。手のかからないヤツである。