努力は買いたいが

店の横のホップの葉にかじられた跡が目立ち始めた。葉をひっくり返してみると、一瞬ぎょっとして手を引っ込めてしまう。毎年お目にかかるとは言うものの、さすがにこの極悪そうな姿にはついひるんでしまう。

キタテハの幼虫
正体は、キタテハの幼虫(だと思う)。毒は無いらしい。普通は、雑草のカナムグラにやって来ると言う。同じHumulus属、似たような味がするのだろう。見た目も良く似ているし。それにしても周囲にはこれ一株しかないし、カナムグラも近辺には無い。食べ尽くしてしまったらどうするのか考えなかったのかな、なんていらぬ心配をしてしまう。

頑張って探してきたのだと思うと、退場願うのは心苦しいのだが・・・。緑のカーテンに大穴を開けられてしまっては・・・。

アヤシイ虫

春以降、圃場でいままであまり目にしなかった昆虫を見かけるようになった。艶のある黒く細長い体、素早く地をはう動き。決して好感が持てるような姿ではない。出没するのも、少しじめじめしたような、ハウスの端っことか洗い場の周辺などが主だ。あまりよろしくない素性の昆虫ではなかろうかと推測した。

スタッフのひとりとして正体を知る者がいないし、気になり出すと尚更目に留まる。体長7センチぐらいなので、増えてきたら厄介そうだ。正体究明に乗り出すことになった。

写真を取ろうとするが、これが足が速くてなかなか捉え辛い。このスピードもまた悪そうな感じを増幅させる。ステンレスのボールに入れ、逃げれないようにして撮影。

マイマイカブリの幼虫

写真でじっと見ると、更に気持ちが悪い。この手の昆虫はネットで調べること自体あまり楽しくない。甲虫ではないかと目星を付けて探すのだが、一向に見つからない。パッと見ると昆虫ではなく、節足動物にも見えるが、足は6本だし・・・。「まさか、外来のアヤシイ昆虫では?」なんていらぬ不安もましてきたころ、「もしや、幼虫?」とのひらめきが。調べてみるとビンゴ!

マイマイカブリの幼虫でした。マイマイカブリなら時々見るし、なるほどエサのカタツムリも豊富だ。

正体が分かれば安心。これからはずいぶん違った目でみることができそうだ。

イメージの善し悪し

コガネムシの幼虫には毎年のように苦い思いをさせられている。親木のラベンダーの根が食害されてダウンしてしまうことはしょっちゅうだし、お客様の庭のローマンカモミールが一区画あっという間にダウンしてしまったこともあった。店先で広がりかけていたカーペットグラスも昨年、相当かじられてしまい、さすがのカーペットグラスも一時瀕死の状態になってしまった。

なので、「コガネムシ」と聞くと悪いイメージが思い浮かんでしまう。けれど「カナブン」という名前には子供の頃の夏が思い出され、なんとなくほのぼのとした気分になってくる。憧れのカブトムシを探して歩いた雑木林。カブトムシはいつも見つからず、枝にしがみついているのはいつもカナブンだった。それでも、「カナブンがいるなら、きっとこの木にはカブトムシもやって来る」と、毎回胸をわくわくさせて向かったものだ。いつも空振りだったけど。

カナブン

このカナブンは、圃場の横のギンヨウボダイジュにしがみついていた。樹液を探してやって来たのだろうか。でも、スズメバチと間違えるような大きな羽音でびっくりさせたり、ハーブの株元に産卵するのは勘弁願いたい。

ゾウさん

バラを育てる人にとってはゾウムシは大敵だ。大切な、ようやく膨らみ始めた蕾がある朝、突然被害に遭ってしまうのはやりきれない。

そのうえ、このゾウムシはとても小さい。しかも、ゾウと言う割には敏感で、手を伸ばすとさっと落下して難を逃れようとする。したたかである。その名もバラゾウムシ。逃げられると腹が立つ。

幸い、ハーブにはこのゾウムシに被害を受けるものは今の所見たことが無い。「へん、ハーブなんて!」てな感じかも知れない。

ゾウムシ

でも、別のゾウムシはやって来るようだ。写真はマウンテンセイジの葉にいた一匹。特にどこかかじるわけではなく、葉の上をのそのそと歩いていた。「わし、何にも悪いことしてないから堂々としてますよ」といったユーモラスな雰囲気だった。でも、バラゾウムシに比べると遥かに大きなサイズ。こいつにやられたら少々大きな株もダメージを受けてしまいそうである。

住み心地良好

その存在に気がついて以来、目を細くして見つめているヒラタアブ。圃場を一回りするといたる所で目にするのだが、それでもいくつかお気に入りの花があるようだ。

コンパニオンプランツの本などには、ディルフェンネルがこれらハナアブの仲間を誘引すると出ている。でも、この圃場では、ヤロウの花が好きなようで、いつ通っても一匹や二匹見つかる。

ヒラタアブ

一方で幼虫の方は、しっかりとエサがある所で育っていて、アブラムシなどめったにいないヤロウでは見つからない。こんな小さな昆虫なのに、幼い頃に食べたものを覚えていてアブラムシが多い植物に産卵するのだろうか。それとも幼虫はあの小さな体でアブラムシを探してえっちらおっちら歩き回るのだろうか。いずれにしても不思議である。

ただ、この圃場の周なら、花も何百種類あるし、無農薬で健康に育った(?)
アブラムシも多いことだからさぞ住みやすいことであろう。