朝食に香り高い浜茶を

9月に入っても暑さが厳しいので、早朝スタートによる作業パターンが続いている。

早朝から作業を始め、8時前後に軽い朝食を取る。朝食の時の飲み物も先日までは麦茶など冷たいものだったが、今朝はなぜか気分が変わってカワラケツメイのお茶が欲しくなった。この辺りでは浜茶と呼ばれる。

時々飲みたくなるので、アウトドア用のクッキングセットに小さな缶で入れている。今日は茶漉しがなかったので、シェラカップで淹れて、箸を使ってそっと漉してコップへ。

香ばしい香りが何とも秋らしい。実はこのカワラケツメイ、畑の一部で現在開花中だ。

もう10年以上前だろうか、この浜茶が好きになった頃、出雲の斐伊川の河川敷で咲いているのを見つけた。おそらく育てるのはそんなに難しくないだろうとは思ったが、なかなか種子を手に入れる機会がなかった。数年前に、たまたま訪れた庭で咲いているのを見つけ少し分けてもらい、種子を収穫できた。

次の年、ポットで育てて(今考えるとむしろ可笑しいが)、畑に畝まで用意して栽培した。雑草のようなものなので、非常によく育ったが、お茶にするための収穫はできなかった。かろうじて種子は取れたので、翌年(それが去年だ)も同じようにポットで育てていたが、零れ種で本当に雑草のように畑に広がってしまい、去年も収穫せず。収穫もそれなりにタイミングがあるし、その後、水洗いして、乾燥して炒る必要がある。この、収穫、洗浄、乾燥、焙煎というのは、それなりに手間もかかる。美味しく作られたものが市販されていることも考えると、なかなか実行に移せない。

そう考えるとハーブティーは、フレッシュならば最後の2工程が必要ないので楽だなぁと、今更ながらに思うのである。

今年は、収穫にも良い感じにまとまって生えているし、洗浄、乾燥まではなんとかできそう。今のところは焙煎が難所となりそうだ。いちどできたらそれなりに納得もすると思うが、さて、今年できるかどうか!朝食に香り高い浜茶が楽しめるだろうか?

香ばしい秋

夏の終わり、そして秋の始まりを感じさせるのがクン炭を焼く匂いだ。

稲刈りが始まり、脱穀した籾殻が、田んぼに盛られ、燻すようにして炭にする。
ゆっくりと、ゆっくりと、時には何日もかけて炭になる間、香ばしい香りが辺りにただよう。

この香りが苦手だという人も中にはいるが、確かな秋の訪れを感じさせてくれる、ちょっぴり切なさを感じさせる香り。いつもこの香りを嗅ぐとホッとする。

さて、秋が来るとなぜか飲みたくなってくるのが浜茶である。
カワラケツメイというマメ科の植物で作られたお茶だ。この頃は焙じたものが多い。地域によって「ネム茶」とか、「まめ茶」などとも呼ばれているようだが、この辺りでは、「浜茶」と呼ばれている。以前、聞いた話ではお隣の鳥取県・弓ヶ浜のあたりでよく作られているから「浜茶」というとかいわないとか。利尿作用のある、日本古来のハーブティーである。

秋の気配を感じると、浜茶を買いに行くのがここ数年の習慣のようになっている。毎年買っていた店に行ったら、今年はパックのものしかなかった。ちょっと風情に欠けるが、パックも作業途中の休憩時間に飲むには手軽だ。

浜茶
お客様からいただいた、出西窯のマグで。香ばしさが引き立つ

浜茶もまた香ばしさが特徴である。

そういえば、秋の味覚のサンマを始め、焼き芋、栗、最近ご無沙汰でもう香りも忘れつつある松茸焼き・・・秋は香ばしさと深く関わりがあるのかもしれない。