剪定と研ぎ

梅雨が明けると、苗の剪定作業が増える。高い温度に加え、水が切れないよう、充分な水やりをするので枝と葉がぐんぐん伸びる。形も悪くなるうえに、葉が多いと余計に水が切れやすくなる。そのため、適度に剪定が必要だ。

苗の柔らかな枝と言っても、大量に剪定しているとハサミの切れが悪くなってくる。切れが鈍ると、柔らかい枝がむしろうまく切れない。研ぎが必要になってくる。

本気で刃を研ぐのなら砥石の出番だ。でも、砥石を使うと、それ相応の時間もかかる。また、携帯用シャープナーと言う手もある。これも、普段はツールボックスの底にあり、さっと取り出してと言う感じでは無い。

そんな時、活躍してくれるのが、圃場の片隅にあるトクサだ。ケイ酸を含み、木工品のヤスリがけなどにも使うと言う。苗の剪定でハサミの切れ味を鈍くする原因はほとんどがヤニ。だから、トクサで軽くこすってやると簡単に取れる。使い終ったら、苗の剪定屑と一緒に処分できる。片付けの必要もないのが嬉しい。

トクサ

このトクサ、お客様の庭の整備をしていた時、あまりに広がりすぎて片付けて欲しいとのことで引っこ抜いた。また何かに使うかもと持ち帰って植えていたのが今になって重宝し出した。ただ、場所によってはものすごく増えるので、鉢植えの身である。

水切れの後

圃場では苗の水管理がシビアになってきた。水をやりすぎれば徒長してしまうし、かといって今の気温での水切れは致命的だ。

油断していたらホワイトヘリオトロープの親木が水切れしてしまった。株がダウンするほどではなかったものの、ヘリオトロープの場合、葉への影響は大きい。他のシーズンなら葉が黒く縮れるぐらいで済むけれど、暑い時期は新芽へのダメージが大きく、新芽まで縮こまってしまう。気温が高いのは好きなくせに、妙にデリケートだ。

ホワイトヘリオトロープ

こうなるといくら水をやっても無駄。差し芽にも使えないので一度強く刈り込んで木質化した場所からの新芽をのばす必要がある。

まだ暑さは当分衰えそうにない。大きくなりすぎた親木は剪定して水切れのリスクを減らす対策をそろそろはじめねば。

緑のパラボラアンテナ

葉の形状の一つでツキヌキ葉というものがある。普通は葉の一番根元(葉なのに根と言うのは変か?)が茎から離れていることが多いが、この部分が向かいの葉とくっついて一枚の葉のように見えるものだ。そのため、茎が葉の中を突き抜く形になる。このロニセラ・ドロップモアスカーレットもその一つ。他には、ユーカリにもツキヌキ葉があったりする。

ロニセラ・ドロップモアスカーレット

花のすぐ下が特にツキヌキ葉になりやすく、花が落ちた後はまるでパラボラアンテナのようだ。空に顔を向けて宇宙からのメッセージでも受け取っているかのようである。

中高生の頃は、宇宙にも憧れた時期があったが、結局遠い夢に終った。ま、そもそも天体望遠鏡でも頑張って手に入れるような強い気持ちが無かったのだからお話にならないけどね。今でも縁が無いのか、衛星放送用のパラボラアンテナも買えていなかったりする

早朝出勤

毎日暑い日が続く。日中、長時間の園芸作業は効率も悪いので、梅雨が明けてからは早朝出勤の日も多い。

一仕事終えて6時半、ラジオ体操を行なう。スタッフにも早朝出勤しているのがいるので「おーい、ラジオ体操が始まるよー」と声をかける。

圃場の前のネムノキの下がお気に入りの場所である。日差しも遮られ、風が心地よい。

ネムノキと月
体を後ろへ思いっきり反らして空を見上げると、月が名残惜しそうに浮かんでいた。

ぴったりの場所

今日も一日暑かった。日が傾き、山の端に隠れるとホッと一息つくことができる。

剪定屑を片付けに畑の方に行くと、隅でホワイトキャンピオンが咲いている。植えた覚えは無いのでこぼれ種で飛んできたのだろう。雑草の中でひときわ引き立つ白が何とも涼やかである。

ホワイトキャンピオン

ホワイトキャンピオンは、いわゆる観賞用ハーブの中にあってはこれと言って目立たない。葉も平凡だし、花もたくさん咲くと言うほどではない。鉢植えにしても間延びしやすいので、良い雰囲気に見せるにはかなり腕がいる。

もともとがワイルドフラワーだし、ひっそりと咲く方が向いているのだろう。この株も、自分が一番引き立つ場所を選んでここに来たのに違いない。