スズメの朝食

気温が低めに推移した初夏までは害虫の類いも少なくて大変助かっていたが、ここに来て、今までの遅れを取り戻そうとするかのようにいろいろな害虫が姿を現してきた。特に毛虫。

このお庭でも、白花モッコウバラにアメリカシロヒトリが襲来。見ているとものすごい速さで葉を齧っている。

アメリカシロヒトリ

さらに、ツルバラにはリンゴドクガ。これは初めて見た。ドクガの名が付いていても毒は無いと後で知ったけれどさすがに手を出す気にはならなかった。

リンゴドクガ

普通アメリカシロヒトリは大発生し、甚大な被害をもたらすと聞く。しかしこのお庭でも探しに探してようやく5匹ほど発見。オーナーにお話を聞いて見ると毎朝スズメが周りを飛び回って大騒ぎしているとのこと。おそらく相当数が雀に食べられているのではないかと言う結論となった。リンゴドクガも一匹のみ。これもスズメのエサになっているのだろうか。スズメたち、明日の朝食を横取りされて今ごろおこっているかも知れない。

実が付くまで

夏野菜が旺盛に育つようになると、待ちかねたように昆虫たちもやって来る。毎年のことながら、ピーマン、ナス、シシトウなどはカメムシのお気に入りのようだ。去年はピーマンにカメムシが大量についてしまったが、雨模様の天気のせいもあって、半ば放置状態だった。それでも、見るのが嫌になるほどのピーマンが収穫できた。

今年はちょっと気合いを入れて防除に精を出す。捕殺する時の匂いももはや気にならない。

カメムシ

今はダイレクトにつかまえるのと、枝を振って、一度地面に落ちたのを捕まえると言う2段階方式で行なっている。ところが、カメムシたちは隠れるのが上手である。ササッとこちらから見えない位置に移動する。ひとしきり捕えて、反対側に回ってみるとまだまだたくさんいてため息が出ることもしょっちゅうだ。

毎日毎日とってもとっても、翌朝になると前日と同じぐらいいたりするので、しばしば途方に暮れる。たった数本のピーマンやナスでこうだから、大量栽培の苦労は想像もつかない。

しかし、このような念入りの防除も実が付くまでだろう。食べきれないほど採れるようになると、一気に防除熱は下がる。「どうぞ、君たちも食べたまえ」

お菓子の家

暑さが本格的になりはじめる頃、マロウの葉がくるくるとイモムシによって巻かれるようになる。柔らかなムスクマロウをはじめとして、ブルーマロウブラックホリホックも同じように被害にあう。

ムスクマロウ
毎年のことだし、季節も決まっているので、待ちかねて対応することもできるぐらいだ。ただ、対応は早いに限る。放っておくと、イモムシが大きくなるのにつれて食べる量も増え、加速度的に葉がかじられていく。ただ、食害されることで株がダウンすることは無い。

ムスクマロウ

おや、葉が巻いた感じだなと気がついて、ちょっと覗くと、排泄物が見えるのですぐ分かる。葉を開いてみると、今まで食料にくるまれてのうのうと過ごしていたイモムシが慌てふためいて飛び出してくる。

イモムシ
柔らかなムスクマロウの葉、まるでお菓子の家に住んでいるようなもの。羨ましい限りだ。でも、排泄物も一緒と言うのはね・・・

時には科学的に

当店のハーブの栽培は、もっぱら勘や経験に頼っていてあまり科学的とは言えない。育てる種類が限定されるのならもっと色々なデータに頼っても良いかも知れないが、種類が多いために、何でも一把ひとからげ、全体をみて判断するしかない。

そんな我々でも、時には科学的な考察を試みることがある。(おお、なんかカッコいいぞ)

時々手入れに伺う、とあるお宅の庭のクリーピングタイムが数年前から調子が良くない。肥料を入れたり、植替してみたりしても大きな変化なし。ガンガン日が当り、風通しも良い。それなのに今年など、苔が生えてくる始末。埒が明かないので、土を調べてみることにした。

PH試験

お庭の何箇所からか土をもって帰り、PH試験キットでチェックしてみる。タイムが植わっている場所のPHが低いことが分かる(上列)。いつからこういう状態か分からないが、以前は問題なく成長していたので、その後何かが変わったのかも知れない。

これだけが原因とは言えないものの、とりあえず原因の一つになりそうなものが分かっただけでも少し前進である。さて、これからどうしようか・・・。

努力は買いたいが

店の横のホップの葉にかじられた跡が目立ち始めた。葉をひっくり返してみると、一瞬ぎょっとして手を引っ込めてしまう。毎年お目にかかるとは言うものの、さすがにこの極悪そうな姿にはついひるんでしまう。

キタテハの幼虫
正体は、キタテハの幼虫(だと思う)。毒は無いらしい。普通は、雑草のカナムグラにやって来ると言う。同じHumulus属、似たような味がするのだろう。見た目も良く似ているし。それにしても周囲にはこれ一株しかないし、カナムグラも近辺には無い。食べ尽くしてしまったらどうするのか考えなかったのかな、なんていらぬ心配をしてしまう。

頑張って探してきたのだと思うと、退場願うのは心苦しいのだが・・・。緑のカーテンに大穴を開けられてしまっては・・・。