技量が問われる花

夏から秋の長期間、存在感を示すのがロシアンセイジである。ちょうどラベンダーが終わる頃から咲きはじめ、放って置こうものなら11月になってもまだ花をのこしていることさえある。

ロシアンセイジ

夏の暑さにも強く、容器栽培で水が切れても、割りと立ち直りやすい。このへんは秋咲きのセイジ、サルビア属に比べても遜色が無い。花の色といい雰囲気といい、セイジの仲間だと思っている人も多いのではないだろうか。

一つ残念なのは、切り花にした時、花もちがあまりよくないこと。涼しげな感じを室内に持ち込みたくて試してみたこともあるが、あっという間に花を落としてしまった。また、一本では見栄えがしないのも残念である。何本かまとめて植えるといい感じになるので、ラベンダーと組み合わせ、平行になるように列植するとなおいい感じになりやすい。この点、一株でも見栄えがする多くのセイジ類に比べ、植える時に工夫がいる。

さて、ポット苗の状態で開花させたとき、見栄えがする花とそうでない花がある。ロシアンセイジはどちらかといえば後者である。売る側としてはその分説明しなくてはならない。また、写真うつりもあまり宜しくないので、どちらかといえば売りにくい植物である。といってもロシアンセイジに罪は無い。こちらの技量が問われるのである。

出すぎる杭は・・・

「出る杭は打たれる」という言葉がある。学生時代のある同級生の語録には「出すぎる杭は打たれない」というのがあった。今、この言葉を少しだけ実感している。

圃場の一画に取り立てて何に使われるでも無いスペースがある。とりあえず芝を生やして時々刈り込んでいる。といっても、草も伸び放題、あまりケアをしないので「芝生」というにはちと無理がある状態だ。

こぼれ種で飛んできたのだろう、いつからかこの場所にレッサーカラミントの株が居座るようになった。他のカラミント(カラミンサ)も丈夫ではあるが、このレッサーカラミントは雑草並である。

レッサーカラミント

一気に大きくなり、あっという間にこの場所を定位置としてしまった。スタッフも申し合わせたわけではないのに、この株だけを残して草を刈るようになった。いまや貫録さえ漂わせている。長い梅雨をものともせず、元気に花を咲かせ続けている。ただ、やはりこぼれ種はかなり強力にはびこるので、まめに取り除くことにしている。

ところで、「出すぎる杭は打たれない」と豪語していた彼、出すぎる間も無く、どこかへ消えていったと記憶している。

一皮むけて

子供のころ、夏休みに海につれていってもらうと、日焼けのしすぎでその夜は大騒ぎをだった。数日のあいだ背中の痛みと、むずがゆさに悩まされたあと、ペリペリと皮が剥けるのが毎年の恒例だった。

今ではむしろ春先、腕まくりをしはじめたころ、一気に日焼けをして一皮むけることが多くなった。夏、それほど海に行かなくなったことと、夏はかえって長袖を着るなど紫外線対策をしているので強く日焼けをしなくなったのだ。

さて、以前にも紹介したことのある、圃場脇のユーカリ・グニーの皮も夏前から剥がれはじめてきた。もちろん、下にはしっかりとした表皮が表れている。つい、皮をはいでみたくなる衝動に駆られてしまう。

ユーカリ・グニー

気のせいかも知れないが、このユーカリにしろ、ティートゥリーにしろオーストラリアの植物は皮が剥がれやすいような気がする。ティートゥリーも別名でPaperbark(紙の樹皮)と呼ばれるように、ぽろぽろと剥がれやすい。

オイル分を含んでしかもこんな樹皮をした木が多いので山火事も起こりやすいのかななんて考えてしまう。

やいとすえーよ

「しゃんわることしちょうとやいとすえーよ!」
(そんな悪いことをしているとお灸をするよ)
と、昔は良く言われたものである。

本日伺ったお宅で木に絡みついていたヘクソカズラ。「ヤイトバナ」とも呼ばれる。花の内側が赤いので、花冠(開いた方ですね)に唾をつけ、肌にくっつけると、ちょうど火をつけたお灸に似ることからこの名前がついたとか。

ヘクソカズラ

なかなか可愛らしい花である。日が当って透けた感じの花色と、奥の赤紫がまたいい感じを醸し出している。秋になる実もまた風情があるので上手に使えば面白い素材になりそうだ。

残念ながら名前で損をしている。ヘクソである。確かにあまりよい匂いとは言えないが、我慢できないほどのひどい匂いではない。まあ、雑草として他のものに絡みつくと始末に悪いので、負のイメージが強いのだろう。

別にサオトメカズラという優美な名前もあるという。この名前で広まっていたらもう少し人気があるのだろうに。本人(ヘクソカズラ)も悔しがっているだろう。

快適な梅雨

梅雨は全くあける気配がない。週間予報を見ても7月の終り頃まで曇りマークが続く。苗の徒長を心配しつつ空を見上げている。

一方で、暑さや直射日光を嫌う種類は元気いっぱいである。快適に梅雨ライフをお過ごし中だ。

ゴールデンレモンバーム

このゴールデンレモンバームの苗も、例年ならば、梅雨の半ば頃までに強い日差しで葉が焼けたようになって、日陰で療養中の身である。ところが今年は日よけをしていないところでもこんな調子。壁紙にでも使えそうないい感じの葉を伸ばしている。

まあ、この後本来の暑さが戻ってきたときのほうが返って怖いというものだ。早めに剪定しておいた方が良いのかも・・・と思うこの頃である。