柔らかな新芽

寒さと暖かさが入れ替わる日が続く。今までごわごわとしたツルだけを見せていたハニーサックルも柔らかな葉が枝から見せ始めてきた。なかでも、斑入りハニーサックル・ハーレクインはいまごろ出てくる葉が特に良い感じである。

斑入りハニーサックル・ハーレクイン
こんなに硬そうな枝から、薄く柔らかな葉が現れてくるのを見ると不思議な思いがする。ごつごつした枝のどこにこれほど繊細で弱々しいものが隠されているのだろうか。

柔らかく、か弱い葉は少し寒さがぶり返すと葉先が傷みやすいが、これは仕方のないことであろう。

葉がしっかりしてくる頃は、もう春本番だ。

食べて仇を討て!

圃場の所々でツクシが顔を見せ始めた。子供の頃は、母がツクシ御飯を作ってくれて、年に一度ぐらいは食べていたような記憶がある。しかし大人になってからと言うもの、あまりツクシを見かけるようなことがすくなくなった(というか、あっても収穫する気の起こらないような場所だったりする)せいか、食べた記憶が無い。

ツクシ

いまなら安心して収穫できるツクシが身近にあるというのに食指は動かない。きっと、この後生えてくる強烈なスギナに今年も悩まされるだろう、という心理が働くのだろう。

せめてツクシを食べて仇を討つと言う手もあるのだが。

poisonous!

古くから、毒のあるハーブは微量に用いることで薬として使われてきた。 フォックスグローブ然り、ベラドンナ然り。なので、注意して育てれば恐れる必要はないのだが、じぶんでも知らず知らずのうちに避けている気がする。

カロライナジャスミンとも呼ばれるゲルセミウム(Gelsemium)もその一つだ。春のまだ花が少ない頃にたくさん咲く花は悪くないし、強健である。ジャスミンよりもよほど寒さにも強い。

カロライナジャスミン

ビニールハウスにも何年も前からただ育てているだけの鉢が一つ。増やそうと思えば簡単だろう。しかもツルものの素材としてはなかなか優秀だということも良く分かっているのに、あまり紹介する気になれない。手に入りやすい植物と言うこともあるし、ジャスミンの仲間と間違えてハーブティーにでも入れられたら大変な事になるかもと言う心配もあるのだ。

アルカロイドを含んで、「使用には細心の注意が必要」なんて記述もあるのを読むと、あれ?いつの間にか枯れちゃった!なんて終り方が良いのかも知れないけれど、こういうのに限って強いんだよね。そう言いながら年に一度は他のハーブとともに植え替えしてしまう、決断力の無い私が一番悪い!

三択

圃場にはピンク色をしたローズマリーが三種類ある。

花の色はさほど大きな違いはないけれど、全体的にはいずれも個性がある。なのに、どれを一番薦めるかと言われるとすぐには答えが出ない。

マジョルカピンクローズマリーは国内でも割と古くから流通しているし、花のつきも良好である。分枝が少ないのでとても特徴のある姿に育つのだが、そのため、大きくなりすぎると長く伸びた枝がたれてちょっとみっともない姿になりやすい。

マジョルカピンクローズマリー

ピンクローズマリーは分かりやすく言えば、ごく普通のローズマリーのピンク花。花付きも普通、特別よく咲くわけでも無いし、咲きにくいとも言えない。形も極々一般的だ。可もなし、不可もなし。「ピンクのローズマリーも可愛いですよね」ってぐらいにしか評しようがなかったりする。

ピンクローズマリー
ポルトグースピンクローズマリー
は全体的に繊細である。特に細身の葉がそう感じさせる。また、性質もやや弱めのように思う。品があると言えばそうなのだけれど、これもなかなか強く押せる種類でも無い。

なので、お客様に聞かれても今のところは「ま、好みですね」としか言えない。

そう言えば、昔から三択問題は苦手な方だった。決めかねるのだ。そのためなのかな?

一瞬の黒

ブラックペパーミントキャンディミントはミントの中でも紛らわしい種類である。春から秋まではパッと見ただけでは区別がつかない。香りも、二つを比べれば、より強いブラックペパーミントと、甘みのあるキャンディミントでかぎ分けることもできる。しかし、どちらか一つを差し出され、「どっちのミントだ?」と言われたらお手上げである。

だいぶ「黒」からグリーンに戻りつつある
だいぶ「黒」からグリーンに戻りつつある

それでも冬の一時だけは、見た目に違いが現れる。同じ環境で育てているとまさに寒中、ブラックペパーミントは濃いめの葉色がより濃くなり、『ブラック』と言う名にふさわしい姿に変わる。一方のキャンディミントは濃い葉色ながらも、ブラックペパーミントほどしっかりした色にはなりにくい。

キャンディミント

そんなブラックペパーミントも暖かい日が増えてくると徐々に色がグリーンに戻ってくる。

まあ、これもビニールハウスの中でと言う条件付きなので、外のふきっさらしだったらもう少し際立った違いが見えてくるかも知れない。