株数のジレンマ

今夏の家庭菜園はキュウリばかりが大豊作。去年雨続きの夏で、露地植えのものがだらだらに伸びてしまったことから、今年は試しにと雨除けのある場所でも育てたのがまずかった。露地とあわせて計4株。サラダ、ぬか漬け、ピクルス、丸かじり・・・相当頑張って食べたつもりだったけれど、一家族ではとても処理しきれない量であった。まさにキュウリ地獄。配った数も相当に昇った。結論としてわが家ではキュウリの必要数は二株、もしくは丁寧に育てた一株でも充分かも知れない。

さて、雨除けのあるキュウリには一つ不思議なことが。毎年悩まされるウリハムシ。今年も露地植えの株は被害に遭った。まず植えてしばらくした成長期。そのころは数も少なく、手で駆除してもそれほど苦ではなかった。そうするうち見かけなくなった。そして8月後半に入ってから。もうこの頃になるとこちらのキュウリへの愛情もだいぶ衰えているので大挙して押し寄せてもあまり構わない。今、葉は穴だらけで見る影も無い。

ウリハムシ
それに引き換え雨除けのあるキュウリにはほとんど見かけなかった。場所も30メートル程しか離れていないのに・・・。

なんてことがあると、来年も両方で試してみようかと言う気になってくる。それぞれ一株づつ、枯れたりした時に備えて各プラス一株。結局今年と同じである。おそらく苗も配るほどできていることだろう。ついでにその頃になると今年のキュウリ地獄はきれいさっぱりと忘れているに違いない。

実が付くまで

夏野菜が旺盛に育つようになると、待ちかねたように昆虫たちもやって来る。毎年のことながら、ピーマン、ナス、シシトウなどはカメムシのお気に入りのようだ。去年はピーマンにカメムシが大量についてしまったが、雨模様の天気のせいもあって、半ば放置状態だった。それでも、見るのが嫌になるほどのピーマンが収穫できた。

今年はちょっと気合いを入れて防除に精を出す。捕殺する時の匂いももはや気にならない。

カメムシ

今はダイレクトにつかまえるのと、枝を振って、一度地面に落ちたのを捕まえると言う2段階方式で行なっている。ところが、カメムシたちは隠れるのが上手である。ササッとこちらから見えない位置に移動する。ひとしきり捕えて、反対側に回ってみるとまだまだたくさんいてため息が出ることもしょっちゅうだ。

毎日毎日とってもとっても、翌朝になると前日と同じぐらいいたりするので、しばしば途方に暮れる。たった数本のピーマンやナスでこうだから、大量栽培の苦労は想像もつかない。

しかし、このような念入りの防除も実が付くまでだろう。食べきれないほど採れるようになると、一気に防除熱は下がる。「どうぞ、君たちも食べたまえ」

そもそもの間違い

毎年のように遅れてしまう夏物野菜の種まき。今年は普段の年よりもはやめに出来たのに、発芽が非常に遅くなり、発芽しても大きくならない。気温のためなので仕方がないと思いつつも、ついにしびれを切らして、昨日きゅうりやトマト、ナスなど、いくつか苗で購入してしまった。実際、自家用なので一株、二株と言う単位で充分だから種子を蒔くよりも苗を買った方が手間やタイミングの点から見ても有利なのは分かっているのに毎年繰り返す愚行である。

急きょ植え場所を確保するために、畑の様子を見に行くと、昨年トマトを植えた周りにたくさんこぼれ種で発芽している。愕然。

トマトのこぼれ種

ただ、昨年植えたのは接ぎ木苗だった。接ぎ木苗からの実生だから、これを植えた所で昨年ほどのなりは期待できそうもない。トマトに詳しいスタッフも、「だいぶ収穫量は落ちるでしょう」と断言。

でも、せっかく芽を出したのを耕してしまうのはもったいない。とりあえず10株ほどをポット上げして、そのうちいくつかは植えてみようと思う。これがそもそもの間違いだとは心の奥では気づいているのだが・・・。

スパッと気分爽快

何事も実際にやってみないとわからないものだ。

特に園芸をしているとそう思わせられる事が多い。今年で2回目のチャレンジとなる津田カブ。今回は少し種まきが遅れた上に、間引きのタイミングを逃してしまって小さめではあるものの、収穫量はまずまずである。目的は津田カブ漬け。漬けるのは今年が初めてであったが、結構満足がいくものができた。家では「○○(漬物業者)のより美味しい!」と自画自賛している。

さて、この津田カブ漬け、最初はなかなか漬ける期間がつかめず、うまくいかなかった。糠床の具合も原因だったかも知れないけれど、何日経ってもカブの中まで赤色が染みて来ず、他に理由があるのかもとずいぶん悩んだ。

色々とお世話になっているJAのK君にも尋ねてみた。津田カブの収穫の手伝いをした事のある彼によると、収穫してすぐ、カブの先端を鉛筆を削るみたいにカットすると言う。これに何か秘密があるのでは?ということであった。実際に店頭で売られている生の津田カブは全て先がカットしてある。

こんなふうに先がカットしてある
こんなふうに先がカットしてある

一般の野菜作りテキストには普通のカブの説明はあるものの津田カブの栽培方法など書いていない。先端をカットするなんて説明はどこにも見当たらない。先をカットすることで成分が出入りしやすくなるのかもという結論に達した。それ以来、半信半疑ながら、収穫してからカットするようにしていた。

ところが、あるとき、実際に育てている方に聞いてみたら「な〜んだ」という理由であった。

津田カブの先端には細かいひげ根がつく事が多い。このひげ根は料理する際に邪魔である。それまで私は洗う時、その都度千切っていた。そんなまだるっこしい事はせず、収穫時にスパッと切り落としてしまうのだ。

問題のひげ根
問題のひげ根

理由も分かり、切り落とす作業もスパッと気分爽快。

K君にも教えてやらねば。でも、もう少し勉強しなさい!

来年の紫蘇のために

ハーブにシソ科が多いからと言うわけではないが、紫蘇が好きである。夏の冷や奴には無くてはならないし、シソジュースも大好きである。なのに今までまともに育てたことが無かった。畑の優先順位としてどうしても他の野菜で既にスペースが埋まってしまい、気がついた時には植えどきを逸していたのだ。そもそも、一度育てたら、こぼれ種でいくらでも増えると言う印象なので種子を手に入れること自体思いつかないのだ。

それが今年、夏前に偶然実生苗を手に入れることになった。夏前に作業に行った幼稚園で、園庭に花木を植えて欲しいと頼まれた。ちょうどその場所に紫蘇の小さな芽がたくさん出ていたのだ。周囲にも山ほど芽が出ていたので掘り上げた土に混ざっていた株を2〜3分けてもらうことにした。

ちょうどそのころ、畑は空豆を片付けた後で隅のほうが空いていたので植え付けた。2株はその後駄目になってしまったが、一株はしっかり根づき、大株に成長してくれた。

手前はレモングラス。隣は例のネパールのトンガラシ
手前はレモングラス。隣は例のネパールのトンガラシ

紫蘇の花

夏にはもちろん、冷や奴を初め、何度も活躍してくれた。8月も終わりを迎えると花も次々と咲きはじめてきた。葉を楽しむのももう終わりが近い。次は紫蘇の穂を使って、紫蘇の穂漬けでも作ろうか?少なくとも来年からはこぼれ種がいやと言うほど出るだろう。育て忘れる心配だけは無さそうだ。
ちなみに私は紫色の方を好むが、家族には青紫蘇派もいるので、夏の間何度か衝突が起きる。来年は優勢を保てるかも知れない。