ふたつのロイヤル

ちょうど今、ロイヤルパープルラベンダーが花盛りである。ちょうど時を同じくしてロイヤルパープルセイジも開花し始めた。

ロイヤルパープルラベンダー

だが、畏れ多い名を冠したふたつの花はちょっと気難しくて、御機嫌を損ねたらアウトである。ロイヤルパープルラベンダーの方はだらしなく伸び、花色もぼやけた感じになるし、ロイヤルパープルセイジも枝がダランとしてしまい、花付きも悪くなってしまう。今年はまずまずと言った所だが、王族の方々はそもそもこの蒸し暑い環境はお気に召さないらしい。

ロイヤルパープルセイジ

めったに無いけれど、秋に咲くロイヤルパープルラベンダーはため息が出るような色になるし、涼しい時期に咲くロイヤルパープルセイジはすがすがしさが際立つ上に、風格さえ感じさせる色となる。写真では伝えられないのが残念だ。

そんなところも「ロイヤル」の名がふさわしいと感じさせる花達である。

ゾウさん

バラを育てる人にとってはゾウムシは大敵だ。大切な、ようやく膨らみ始めた蕾がある朝、突然被害に遭ってしまうのはやりきれない。

そのうえ、このゾウムシはとても小さい。しかも、ゾウと言う割には敏感で、手を伸ばすとさっと落下して難を逃れようとする。したたかである。その名もバラゾウムシ。逃げられると腹が立つ。

幸い、ハーブにはこのゾウムシに被害を受けるものは今の所見たことが無い。「へん、ハーブなんて!」てな感じかも知れない。

ゾウムシ

でも、別のゾウムシはやって来るようだ。写真はマウンテンセイジの葉にいた一匹。特にどこかかじるわけではなく、葉の上をのそのそと歩いていた。「わし、何にも悪いことしてないから堂々としてますよ」といったユーモラスな雰囲気だった。でも、バラゾウムシに比べると遥かに大きなサイズ。こいつにやられたら少々大きな株もダメージを受けてしまいそうである。

擬態

同属の植物で、名前のラベルが無くなると見分けがつかなくなってしまう種類は多い。コモン系のラベンダーなどは、花が咲いていればともかく、他のシーズンなら大変だ。ロゼアラベンダーとヒッドコートラベンダーを並べてラベルを外されたら、100パーセントの自信を持って判別することはできない。

属が違えばまずそんなことはありえないだろう。花が咲いていなくてもセイジとローズマリーを間違えることは無いだろうし、タイムとヒソップ、セイボリーも良く観察すれば違いは明らかだ。

ところが、この植物には惑わされた。サザンウッドゼラニウムである。

花さえ咲けば一目瞭然
花さえ咲けば一目瞭然

相手はもちろんサザンウッド。当然、花が咲けば問題ない。ところが、冬、どちらの葉も貧弱になってしまった時に問題は起こった。鉛筆書きのラベルの字がかすれてしまったのだ。

葉の感じも似ているし、葉の匂いも不思議なことに良く似ているのだ。実際、このゼラニウムに対して、サザンウッドゼラニウム以外のどんな名前が付けられるのだろう。ついでに学名だってabrotanifoliumだ。偶然と言えばそれまでだが、まるで動物が他の種類に姿形を似せる擬態のようだ。

幸い、翌春花が咲いてゼラニウムと言うことが確実となったが、そのため一年以上発売することが遅れてしまったのである。

今年の花色

ビニールハウスの中なので例年ならとっくに咲き終っているはずのラベンダー・早咲き3号がようやく7分咲きと言った所まで開花した。その上、普段よりもいまいち色もパッとしない感じだ。花穂の長さも物足りない。

ラベンダー 早咲3号

ビニールハウス内という比較的安定した環境でも、毎年ラベンダーの花色には微妙な違いがでる。もちろん、その年の気温や日照などにも左右されるし、案外、見た時間やその時の心境による影響も大きいように思う。

さて、毎年花色の違いを観察したところで何かに活用すると言うほど研究熱心ではない。実の所、この株も親木の一つなので別に咲かせる必要はないし、株のためを思えばさっさと摘み取るべきなのだろう。でもなぜか、毎年そこそこ咲かせてしまう。自分でも良く分からないけれどやっぱり花は見てみたいものなんだね。

住み心地良好

その存在に気がついて以来、目を細くして見つめているヒラタアブ。圃場を一回りするといたる所で目にするのだが、それでもいくつかお気に入りの花があるようだ。

コンパニオンプランツの本などには、ディルフェンネルがこれらハナアブの仲間を誘引すると出ている。でも、この圃場では、ヤロウの花が好きなようで、いつ通っても一匹や二匹見つかる。

ヒラタアブ

一方で幼虫の方は、しっかりとエサがある所で育っていて、アブラムシなどめったにいないヤロウでは見つからない。こんな小さな昆虫なのに、幼い頃に食べたものを覚えていてアブラムシが多い植物に産卵するのだろうか。それとも幼虫はあの小さな体でアブラムシを探してえっちらおっちら歩き回るのだろうか。いずれにしても不思議である。

ただ、この圃場の周なら、花も何百種類あるし、無農薬で健康に育った(?)
アブラムシも多いことだからさぞ住みやすいことであろう。