夏の終わりのアリたちと

台風が過ぎて、日差しが戻ってきた。気温もすぐに30度を越えたが、風はちょっと爽やかで少し暑さも落ち着いた感じだ。

夜明けもずいぶん遅くなり、早く日が沈むようになってきたので、日光が地面を熱する時間が短くなっているのも一つの理由かもしれない。

セミの鳴き声も、アブラゼミからミンミンゼミに主役が変わり、今朝は鈴虫の声も聞こえてきた。

それでも真夏と変わらず働いているのがアリ。いつ見てもすごいスピードであっちへ行ったり、こっちへ行ったり。この小さい体のどこにこんなに動くエネルギーを蓄えているのかと驚くほどだ。

そんな働き者のアリなので、仕事の進み具合も感心するほどだ。先日ポット上げしたばかりのレモンバームの株元に、もう土を寄せ集めた塚を作っている。

色々な説があるようだが、一説には自分たちの餌を隠しているとも言われている。確かに死んだ昆虫の死骸を蟻が砂や土で覆うのはよく見かける。

ただ、この場合は、土の下に死骸や餌があるわけではなく、少し上にアリが好む甘露を出すカイガラムシがいる。カイガラムシは生きているので、土を盛られたところから上の方に移動したのかもしれないが。

アリと共生関係にあるカイガラムシ

以前は、この塚をみるとなにやら腹が立ったものだが、今は、「教えてくれてありがとう」という気持ちである。とりあえずこの塚を見つけたら、その株のどこかにカイガラムシやアブラムシがいるので、ブラシで取り除けば良いだけ。我々がひと株ひと株害虫を探すよりもはるかに効率が良い。

もちろん、取り除いたつもりでも、まだ残っていることもある。でも、働き者のアリさんたちはまたすぐに塚を作って教えてくれるのだ。ご苦労様!

アリとしては隠しているつもりかもしれないのだが、かえって目立つんだよと教えてあげたいぐらいだ。

季節が進めばそんなアリたちの働きも徐々に少なくなってくる。せいぜいそれまでは助けてもらうとしましょうか。

今日はテデトールで

雪こそ降らないものの、しっかり雨は降る今年の山陰の冬。お客様の庭のお手入れもこちらの都合と天気の都合が会う日はかなり少ない。

今日は稀にその両方が重なったので、市内のお客様のお庭へ。建物外側の花壇などの整備をしてから、中庭に。

この中庭は周囲を壁で囲まれているので非常に日当たりが悪い。植えるハーブも限られていて、アカンサスを主体にこれからの時期はクリスマスローズの花を楽しめるようにしてある。

その中心に植えてあるのが、サワフタギの樹だ。名前の通り沢を塞ぐ(ふたぐ)ように生えるようで、谷筋の湿ったところを好むようなのでこの場所に植えてみたら非常によく育ち、春には小さな白い花を一斉につけて目を楽しませてくれる。

サワフタギの花
春に無事にこの花が見れるように

今日しばらくぶりに見たら、日当たりが特に悪い片側半分の枝の多くに貝殻虫が付いていた。いままで一度毛虫が発生したことはあったもののほとんど病害虫に悩まされたことがなかったので油断していた。

貝殻虫

もっとこまめに観察していたらまだ少ないうちに見つけられていたかもと後悔したのだが、悔やんでも始まらない。葉も全て落ちていて好都合なので気合を入れて除去作業に取り掛かる。もちろん、農薬の類は使わないので(そもそも貝殻虫の場合は非常に効きが悪いようだし)、テデトール(手でとる)だ。誰がはじめに言い始めたのだろう。いいネーミングである。

貝殻虫の種類は月桂樹に着くものと同じようだ。

月桂樹についた貝殻虫
月桂樹についた貝殻虫

堅めのブラシでこすっても良いのだがあいにく今日は持ち合わせがなかった。

 

最初小さなポケットナイフの刃を立てて落としていたのだが、結構樹皮も削られてしまう。

貝殻虫
ナイフでこそぎ落とすと樹皮も傷んでしまう。

結局指でこすり落とすのが早いし枝も傷がつかない。テデトールが最強だ。

貝殻虫
指でこすり落とすと細い枝でも傷まない

かなり徹底的に行ったので作業予定を1時間ほど過ぎてしまったが、風もなかったのであまり寒さも感じなかった。

今年はローズゼラニウムの芽がでるのが早い

地植えのローズゼラニウムも株元から新芽を覗かせていたし、花壇ではスノードロップに続いてクロッカスも蕾を地下から出し始めていた。

スノードロップとクロッカス
スノードロップとクロッカス。よくある失敗ですぐ近くに球根を植えてしまった・・・

次回来た時にはもうサワフタギは新芽が出ているだろうか。貝殻虫のチェックがすこし難しくなるかもしれない。