次に新調するべきもの

この時期、屋外での作業はタイミングが難しい。

安定しない天気、雨続きで乾かない地面。天気が回復しても、急な他の仕事の割り込みで後回しになることも多い。

秋からずっと伸び伸びになっていた作業が、畑の一角の耕耘。夏まではレモングラスなどを植えていたのだが、少し配置換えをしたくて(連作も良くないしね)、耕しておきたかったのだ。とりかかれば一時間もかからない作業なのに・・・。

鍬と耕耘機

さて、今日は朝から天気にも恵まれ、「今日こそ耕耘するぞ」と他の仕事も片付けた。とはいえ、とりかかることができたのは午後3時過ぎ。

この場所は圃場の端の奥まったところにあり、手前には芝生などもあるため大きな機械を入れるのは難しい。大型の耕耘機ならものの数分で耕せるのだが、いつも一人で持ち上げられる程度の小型の耕運機を使う。

倉庫から耕耘機を出し、エンジン始動。暖気も終わり、さあ、スタート!とスロットルを開ける。勢いよく刃が回り出した途端、すぐ下にあった枯れ草が絡まってエンスト。
「やれやれ」と、枯れ草を取り除いて再度スターターの紐を引く。
「カカコン・・・」
とスターターは回れどもエンジンはかからない。

20回、30回とスターターを引くのだが、エンジンが始動する気配はない。エンジンが温まる前に、自分の体が温まってきた。ジャンパーを脱ぐ。
もともと、中古で譲ってもらってもう10年以上使っている耕耘機。刃もだいぶ磨耗してきたし、そろそろ替え時かもしれない。

それでもと思って、再度確認。燃料OK、刃に絡まった草も取り除いた。だいぶプラグも古いしな・・・と、プラグレンチを持ってきてプラグを調べる。プラグも磨いて再度スターターを引き続ける。風は冷たいのに帽子の中も蒸れてきた。ついに帽子も脱ぐ。
しかし、エンジンが再び動きだす気配はない。

「こんなことしてたら日が暮れてしまう!」
と、耕耘機は放り出して、器具小屋から鍬を取り出す。

鍬を使うのも、久しぶりだ。これぐらいの場所ならそう時間もかからないだろう。

スターターを引きすぎて、自分自身のウォーミングアップは十分だ。鍬を振りかぶり(といっても軽く持ち上げる程度だが)、「ザクッ」と土に突き刺す。柄を軽く向こう側に押し出す感じで土を起こす。いつの間にか体に染み付いた動きだ。リズミカルにひと畝分が終了。汗をかかない程度に、焦らず続ける。

昔はとにかく力任せにスピード勝負という感じで耕していたが、あっという間に大汗をかいてダウンしていた。疲れないよう、ゆっくり、同じリズムで、いつの間にかひと畝が終わっているという感じがベストだということが、ずいぶん経ってからわかるようになった。

鍬をつかって嬉しいのは、作業が静かであること。聞こえるのは、鍬の刃が土に突き刺さる音と、時々聞こえる冬鳥の声だけ。静寂の中でただひたすら耕す作業は、心も耕している時間かもしれない。

これが耕運機だと、うるさいエンジン音の中、ひたすら作業が終わることだけを考えている。それに、大きな音でごまかされている感じでも、実際にはそれほど深く耕されているわけではない。さらに、耕している最中、石や古いラベルなどが出てきても、取り出す間も無くまた土に飲み込まれてしまう。厄介なヨモギやスギナの根が出てきても同様である。鍬ならば、少し手を休めて土を手入れすることも容易だ。耕運機で耕していると、土は耕す対象物という印象だが、鍬で耕していると、土はもっと近い存在に感じられるのだ。

以前、シルバー人材センターに勤めている知り合いから、高齢の方の畑を耕す作業を依頼されることがあるという話を伺った。しかも、耕運機ではなくて、「鍬で」という指定つきで。鍬の方が深く、しっかり耕せるというのが理由だそうだ。そもそもそんな仕事がシルバー人材センターにあるのもびっくりだし、70に近い方!がその作業をしているというのも驚きだ。もちろん時給も良いそうだが・・・。

さて、たまに他の方が使っている鍬を手に取ることがあるが、地域やその方の体格、耕す場所によって千差万別である。手が切れてしまうのではないかと思えるような鋭い刃や、持って、ものすごく重くてびっくりした鍬もある。きっと鍬自体の重さで耕すのが、その場所には適しているのだろう。

今自分が使っている鍬は二本。一本は、親戚が使っていた鍬のお下がり。もう一本はだいぶ前に買ったのだが、柄が折れてしまって、適当な柄をホームセンターで買ってきて直したもの。どちらも、決して今の私の体格や作業にぴったりとは言えない。もっと私の体にあう鍬ならさらに気持ちよく仕事ができるのではないかとときどき思う。

結局30分強で耕耘は完了した。程よく体が温まり、うっすらと汗を掻く程度。おそらく耕耘機で行っても15分から20分はかかるだろう。たぶん、あのまま耕耘機の修理を続けていたらまだ終わらなかったにちがいない。

耕耘機での作業の後残るのは、手のしびれだけ。鍬ならばプラス10分の作業で心地よい疲れと、はるかに大きな満足感。

耕耘機を新調するとなると、10万円近い出費や、燃料や修理にかかる維持費。まして今回のように予測しないトラブルがあると始めるまでにものすごく時間を取られる。作業の後のメンテナンスもバカにならない。新調したとしても、作業が今よりも早く楽になる可能性はほとんど無い。

これが鍬ならば、何分の一かの値段で自分の体にぴったりのものをあつらえることができるだろう。スタートも、倉庫から取り出すだけ。作業後の手入れも最低、水で土を落としておくだけで済む。きっと作業もずいぶんはかどることだろう。さらに「健康のため」なんて要素を入れてしまうと比較のできない価値になりそうだ。

うーむ、次に新調するべきなのは鍬なのかもしれない・・・。

 

太陽が低いので

12月、ついでに冬至前。寒い、日の出が遅いので、朝、ビニールハウスに入っても全く暖かさを感じない。
そもそも、曇りがちなこの季節、お日様も出ていなければハウス内があたたまるわけもないのだが。

夕方もあっという間に日が暮れるので、仕事が遅々として進まない。

太陽は低く、頼りなさげ。あの夏の容赦ない太陽光線はいったいどこへ行ってしまったのかという感じだ。

そもそも、山陰は日本海側特有の曇天続き、一週間に一度、半日でも青空が拝めれば御の字である。

もちろん、ハーブの成長は遅い。まだ冬は始まったばかりなのに、春になることばかり考えている。

ただ、愚痴をこぼしていてもはじまらない、こんな時にこそできる仕事、すべき仕事を見つけることが大事である。

春から秋は、仕事も多いし、仕事の途中で割り込んでくる雑多な用事も多い。時間をかけてゆっくり、丁寧に行う仕事は進めにくい。冬こそ、集中してそんな仕事に取り組むべき時期だ。

と、いうことで、今日行う仕事はナメクジ退治である。

※注意! ナメクジが苦手な方はこれ以降は読まれない方が良いかもしれません。

イモムシやバッタなど、葉を食い荒らす昆虫たちがなりをひそめている寒い時期でも、ナメクジだけは活動中。しかも、暖かいシーズンよりも一層目立たぬようしているせいか、本人たちを見かけることは少ないが、確かに痕跡を残している。

また、暖かい時期なら、カエルという天敵にお任せするということもできるが(というか、それしかできないが)、この時期はカエルもお休み中である。天敵も不在でやりたい放題させておくわけにはいかない。

場所は種まきをした鉢や、挿し木をしたプラグなどがまとめてあるビニールハウスだ。種まき後や挿し木をした後は、苗などよりもはるかに頻繁に水やりをするので湿り気も多い。さらに、発芽したばかりの柔らかい芽、挿し穂から落ちてくる葉など、美味しいものはたっぷり。しかも、プラグや鉢の下など、暗くて外敵が入ってきにくい隙間が豊富にある。しかも、結構暖かい。こんな暮らしやすい場所はないだろう。快適で、食べ物がたくさんあって、しかも安全。そんな場所があれば僕だって住みたい。

挿し木プラグ
挿し木をしたプラグの下は格好の隠れ家

寒い時期でも、ハーブの種類によっては種まきをすれば発芽するものがある。もちろん、成長は極めてゆっくりなので、貴重な発芽である。春に向けて大事に育てていきたいのに、それを無残に食い荒らされたのではたまらない。

ジャーマンカモミールの食害
上の写真も、せっかく発芽したジャーマンカモミールの種子だったのに、左下半分がごっそり食べられていた。

タイムの食害
こちらはタイム。ところどころ、茎を残して、上の方を食べられてしまったようだ。

普段、よく観察していないと、「発芽しないなあ・・・」と思っていたのに、実は食べられていただけだった。ということがよくある。ナメクジが活動するのが、主に暗い時間帯なので、現行犯逮捕につながりにくいのも厄介なのだ。

鉢やプラグをいちいちひっくり返して裏をチェックするなど、手間も根気もいるので、余裕があるこの時期にこそするべき仕事だ。ついでに、低い太陽が好都合だったりする。真夏の強い日差しの下では、暗がりになって見えにくいプラグの裏も、斜めから日が差すこの時期ならばよく見える。第一真夏に激アツのビニールハウス内でこんな仕事しても、長く続けられるわけもない。

ナメクジの排泄物
さて、ナメクジの痕跡はこれ、排泄物の跡だ。植物を食べた排泄物なのでさして汚いとは思わないが、あらためて見ると感心するぐらいだ。これぐらいたくさん付いていると大抵近くに潜んでいたりする。

 

ナメクジ
すぐ隣のプラグの裏で早速発見。結構複数でいることも多い。カップルなのか、寂しがり屋なのか?

 

鉢裏のナメクジ
鉢の裏の隙間は絶好の隠れ家だ。

ナメクジの卵
ときには、卵を見つけることもあるが、今日は見つからなかった。キラキラしていてとっても綺麗だが。
アシナガバチ
プラグをひっくり返していたら、こんな方もいらっしゃってちょっとびっくり。ここで冬越ししているようだ。ほとんど動かないので、危なくはないがやっぱり緊張する。
カエル
鉢の下で眠っていた子ガエルも発見。起こしてゴメン。春からまた頑張ってもらえるよう、チェックが済んだ鉢の近くへ移してやった。
陸貝
また、名前はわからないが、小さな陸貝もけっこう悪さをする。忙しい夏だと、この小ささでついつい見逃してしまいがち。でも、この時期なら入念に調べる気にもなる。

一つ一つ、プラグや鉢をひっくり返しては、裏を見回し、見つけては取り除く。さすがに全ての裏に見つかるほどではないけれど、5、6枚裏返していると一匹や二匹は見つかるのでそのたびに退場していただく。「キャッ、気持ち悪い」なんてことはないので、別に指で取り除いてもいいのだが、指に付いたヌルヌルは不快極まりない。性質的に隙間に入っていることも多いので、小枝や、はさみの先などでチョイと引っ掛けて落とすのだが、中にはかなり奥まったところにいらっしゃるので、引きずり出すのには苦労する。

「そういえば・・・」と、思い出して、店頭にあった害虫ばさみを持ってきた。
害虫ばさみ
なんてことない、小さな火バサミのようなものである。ただ、先端のつくりがかなり精度が高く、(全体的にも高いけど)この手の商品にあるようなちょっとしたイライラ感を沸かせるような粗雑さがなく、きっちり働いてくれる。火バサミでも、使っていると先端が開いてきて、つかみにくくなってくること、ありますよね。

しかも、この本気度の高いギザギザ!捕まえられたら観念するしかなさそうだ。もし、僕がナメクジだったら、このギザギザが迫ってきた瞬間、覚悟を決めてしまうだろう。
害虫ばさみでナメクジをキャッチ
奥の隙間に隠れているナメクジも確実キャッチ。うん、なかなか悪くない。取っ手中央部分の丸く拡がったところが上手く力を伝えるのだろうか、微妙な力の入れ加減もきっちり刃先に現れる。厚い手袋をしている時なんかには有効かもしれない。しかも、先端の合わせが良好なので相当小さなものも確実にキャッチできる。他の何かで代用することもできる、ちょっとした作業用のツールなのに、ここまで作り込む本気度はGoodである。

毛虫なんかも、種類がきちんとわかっていて、毒がないのなら、安心して「テデトール」できるのだが、年に何度かは、「これってなんだっけ?」という奴に遭遇することもある。そんな時にもよさそうだ。それに、さすがに手で掴むのはごめん願いたいムカデなんかも安心して掴めそうだ。ムカデって結構ツルツルしていてある意味ナメクジよりはるかに掴みにくいけど、このツールなら大丈夫だろう。

また、ピンセットでは弱すぎる、火バサミでは大きすぎという、ちょっとしたものを挟むのにも重宝しそう。ビニールハウスにも常備しておくと便利かも。

このまま、ここに置いておきたいが、店頭での作業用なので、見つかったら怒られそうだ。ビニールハウス用に一本調達しようか。

なんか、愚痴に始まり、最後は商品の紹介になってしまった。右上に、『広告』とはっきり表示しとかなきゃね。

 

害虫ばさみ

ジャーマンカモミール
タイム

タヌキの口角

「ありゃりゃ・・・またやられた!」
これで何回めだろうか。ビニールハウスのビニールを押さえている紐がまた切られていた。

マイカ線
犯人はタヌキではないかと推理しているのだが、大抵は夜中の犯行なので現場をおさえることができない。

しかも、見ていたかのように新しく付け替えた紐ばかりが狙われるのだ。

この紐、華奢に見えるが、中には芯線も入っていて、相当丈夫である。もちろん、素手などでは決して切ることはできない。カッターナイフか、しっかりしたハサミが必要だ。

マイカ線
切り口を見てみると何度も歯でかじったような跡が見える。ときどき、完全に切り離せず、跡だけたくさん残った紐もあったりするので、噛むのが目的かもしれないと、以前、わざと新品の紐を置いてみたりしたのだが、全く効果がなかった。こういうのって、とても悔しい。

ただ、こんな行為、自分にも思い当たることがある。アイスクリームを食べるとき、木のスプーンが付いていると、食べ終わってから、なぜかこのスプーンをガジガジ噛んでしまう癖が私にはある。別に味が残っているわけでもないのに、気づくといつの間にか噛んでいる。なんとなく気持ちが良いのだ。かといって、酢昆布やするめに惹かれるわけではない。

当然、ガリガリ君みたいなアイスバーのスティック?というか、持ち手の部分も同じ運命をたどる。

もちろん、人前ではみっともないので気をつけるようにしているし、万一当たり棒だったりしたら持っていくのが恥ずかしいしね。

先日、考え事をしていて、口がへの字になっていたら、スタッフに「口に割り箸をくわえて、口角を上げましょう!」と言われた。フフフ、これは一石二鳥かも。

なので、もし私が割り箸をガジガジしていても、それは口角を上げるためですから、気にしないでくださいね。

ごむぱっちんの物語

ゴムの台

苗を発送する時に重要な役割を果たすのがこの段ボールの台である。当店から苗を受け取った方にはおなじみかもしれない。

でも、「実はこの台、子供たちが作っているんです」と聞いたらきっとびっくりされる事だろう。
子供たちの手作りの台
一体なぜ子供たちがこの台を????

それにはこんないきさつがあったのである・・・。

通信販売で苗を送るとき、一番気を遣うのが苗の転倒。上下がひっくり返るのは言うまでもなく、横に倒れるだけでも種類によっては大きなダメージを受ける。

通販をスタートして以来、どうしたら苗が倒れたり、ずれたりする事無く、お客様の元へ届けることができるかについて工夫を続けてきた。

箱の中に仕切りをつけてみたり、新聞紙で包んでみたり、試行錯誤が続いた。

そして数年前から、このような段ボールの台と輪ゴムで固定して発送するようになった。決してこれで完成型とは思っていないのだが、いまのところ、他の方法よりは総合的にメリットが多いようだ。

ごむぱっちん

さて、この台、もちろん自作であるが、発送する際に作っていたのでは間に合わない。そこで冬など、比較的時間に余裕がある時にストックを作るようにしていたのだが、毎年オンシーズンになって慌てて作るというのが常態化しつつあって、悩みの種であった。時には一日で百枚単位で使うこともあるので、少々のストックではあっという間に尽きてしまうのだ。

実際の作業としては、輪ゴム4本をかけていくだけという非常に簡単な作業なのだが、これがなかなか取りかかれない。簡単だからこそ、いつでもできそうで優先順位がさがりやすく、つい後回しにして行くうちに忙しい時期がやってくるというパターンである。

検討した結果、どこかへ外注しようと言う話になった。が、一体どこへ頼めばいいのか想像もつかなかった。

たまたま、プリザーブドフラワーを作る方と話している時に、ごく簡単な花材の処理を福祉作業所に外注しているという話をうかがう機会があった。そこで、福祉のNPOを運営する友人に相談してみたところ、「たぶん、どこでも引き受けてくれるでしょう」と言われ、近所の「放課後等デイサービス・ピピ」さんを紹介してもらったのである。

子供たちが通うデイサービスで、そのような作業を引き受けてもらえるのか、また、そんな事お願いしてもいいのだろうかと最初は思った。しかし、「ぜひやらせてください!」と快い返事を頂いたのである。

そもそも、お金を払って発注する仕事である。「子供たちに仕事をさせるのは問題ないのだろうか」というのが、率直な疑問であった。

ところが、「お金を払って仕事をお願いする」と言うことが大事だったのである。

私の疑問に、ピピのスタッフさんから後日、丁寧な回答を頂いた。

ピピでは、ハーブショップSORAMIMIさんのご厚意に甘えて「ごむぱっちん」のお仕事をしています。
「ごむぱっちん」は12㌢くらいの正方形のダンボールに縦2本・横2本輪ゴムをかけるお仕事です。
できあがったごむぱっちんは、ハーブの苗を送るときの苗の固定のために使われます。

こどもたちは、このゴムパッチンを1枚1円として10枚1セット(1セット=1ポイント=10円)で取り組んでいます。
その日の調子ややる気によって1セットする子もいれば、3セットする子もいます。

ピピは放課後等デイサービスという福祉サービスをする事業所です。
文字通り、子どもたちの放課後(学校が終わってから)の時間に開いています。
利用しているのは、障害がある子どもたちです。
ですので、ピピは子どもたちの放課後の時間に療育をするところになります。

療育というととても範囲が広いのですが、子どもひとりひとりの将来を見据えて今必要なことを楽しみながらやっていくことではないかと考えています。
子どもたちの将来を見据えた時の願い・・・これは障害があろうがなかろうが
「元気にたのしくはたらく大人になってほしい」ということではないでしょうか。
現在はキャリア教育という言葉もよく耳にするようになりました。おとなになってはたらくってどういうことなのか それを子どもたちがイメージできるような体験を用意する教育のことです。
学校によっては、町探検だったり見学だったりといった時間がそれにあたるとおもいます。

ここで大切なのは、子どもたちがイメージできる・将来の自分と重ねあわせることができるような体験だと思います。
ピピを利用している子どもたちが苦手なことの一つに、この『イメージする』ということがあります。
そして、得意なことの一つに『経験やくり返しの中で得たことは確実に自分の力にしていく』ということがあります。

ピピが活動の中でお仕事に取り組んでいる理由はここにあります。
「自分が働いた分がお金になり、自分の好きなものが買える」
これを経験することで、なんのためにはたらくのか・お仕事をするってどういうことなのかを自分なりに理解してもらい、元気にたのしくはたらく大人になるお手伝いがしたいと考えています。

ですので、ピピのお仕事の活動は「お仕事をしてポイントをためて、ほしい物を手に入れる」ところまでがセットです。
毎日少しずつポイントをためて、アイスを食べに行ったり、駄菓子屋さんで好きなおやつを買ったり、行きたいイベントの入場料をはらったり。自分の働いたお金で楽しんでいます。

ピピでは、ごむぱっちんの他にペットボトルのラミネートはがしもお仕事として用意しています。
これはピピでのお仕事の時間に取り組んだことがお家でのお手伝いにつながるといいなぁと考えているお仕事です。6~10本で1ポイント(10円)です。
「ペットボトルのラミネートはがし」と「ごむぱっちん」のお仕事の違いは、働くことでお金になって好きなモノが買える だけでなく『はたらくことがだれかの役に立つ』というはたらくということのもう一つの大切な意味を子どもたちに伝えてくれるところです。

ごむぱっちんの納品に行った時「ありがとう!たすかった!」と店長さんや奥様に言っていただいた時の子どもたちのうれしそうな笑顔。
「いつもありがとう」のメッセージと一緒にプレゼントしていただいたおやつをたべる時のこどもたちのちょっと誇らしそうな瞳。
自分たちがしたお仕事がお店の人に喜ばれている・役に立っている これをいつも子どもたちに伝えてくださるSORAMIMI店長さん奥様に心から感謝しております。

はたらくということが、ポイントをためること(お金を稼ぐこと)だけではなく その向こうにある自分のお仕事を待っている 喜んでくれる人を思い浮かべることができる貴重な経験をこどもたちは「ごむぱっちん」のお仕事の中で積んでいます。

そして回りの大人たち(親御さんやスタッフ)にも「この子たち 元気にたのしくはたらく大人にきっとなってくれるんじゃないかしら」とこどもたちの将来のイメージを抱かせてくれています。

うまくいったりいかなかったり、やる気がいい方向に発揮されたり空回りしてしまったり
日々いろんなことがありますが、子どもたちの今が確実に将来へ向かっていると実感させてくれる取り組みがお仕事の「ごむぱっちん」です。

子どもたちが楽しみながら取り組んでいます。
今後共どうぞよろしくお願いします。

放課後等デイサービス ピピ

児童発達支援管理責任者 高橋歩美

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外注を思いついた当初は、簡単な仕事なのだから外注などせず、自分たちで時間を工夫して作ってコスト削減に努めるべきではないかという考えも強かったのだが、こんな子供たちの姿を伝えて頂くと、お願いして良かったと素直に思える。

さて、ピピではこのお仕事、「ごむぱっちん」という名前で呼ばれているとの事。いつしか当店でも「ごむぱっちん」と呼ぶようになってきた。

とにかく、ピピの子供たちの仕事はとても丁寧である。

当店で台を作ると、作っては箱にポンポン投げ入れるだけなので、ぐちゃぐちゃだし、取り出しにくい。

ピピで作ってもらうと、丁寧に10枚ごとにカラー輪ゴムでまとめてあり、しかも取り出しやすい。初めて受け取った時には正直、感動した。

初回納品の時には製作に携わる子供たちも、勢揃いで納品にきてくれた。

ごむぱっちん納品
自分たちの作った製品を渡す時の誇らしい顔!

ごむぱっちん納品

納品の挨拶はちょっぴり恥ずかしそうだったりするのも微笑ましい。

せっかくきてくれたので、ごむぱっちんを使って、どう言う風に苗を送っているのかを実演。
ごむぱっちん

ごむぱっちん

皆、興味深く使われかたを覗き込んでいた。

ごむぱっちん製作マニュアル
スタッフさん製作の丁寧な製作マニュアルも見せていただいた。

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春からごむぱっちんの仕事をお願いして、半年が過ぎた。夏休みの間も、頑張って作ってくれたようだ。また、自分たちで働いて得たお金でアイスクリームを食べに行ったりしたとの事、きっと格別の味だったろう。

夏の終わりに、感謝の気持としてわずかではあったがお菓子をプレゼントさせて頂いた。

持って行った時の「わ、なにこれ、なにこれ」と驚く子供たちの様子が嬉しかった。これからも、苗の発送を陰で支える重要なスタッフとして頑張ってもらいたい。クリスマスには何を持って行こうか、今から考えているのである。

放課後等デイサービス・ピピのブログより
*ごむぱっちんの納品に行った時のこと
http://d.hatena.ne.jp/guriguripipi/20140328#1396440323

*おしごと「ごむぱっちん」コーナー登場のときのこと
http://d.hatena.ne.jp/guriguripipi/20140402#1396441727

*アイスを食べに行った時のこと
http://d.hatena.ne.jp/guriguripipi/20140804#1407148176

*駄菓子屋さんへいったときのこと
http://d.hatena.ne.jp/guriguripipi/20140807#1407492791

老眼を自覚するとき

2,3日前に確認した時には何ともなかったのに、今日見ると、ポットマリーゴールドの苗に異変が。

ポットマリーゴールドの食害
「あ、やっぱりやられたか・・・」
毎回の事ではあるが、調子良く大きくなり、そろそろ発売しようと思った頃に必ずと言っていいほど苗の中心が食害される。

多分、メイガとか、蛾の幼虫だと思うのだが、正体までは確認できていない。正体が分かるまで放っておくと相当食べられてしまうだろう。ただ、新芽が少々食べられても、ポットマリーゴールドはまたすぐ横から新芽が伸びてくる力強さを持っているのであまり心配はしていない。

とはいえ、発売前の苗、食べられるまま放置しておくわけには・・・・

と言う事で犯人を捜しはじめるのだが、まだ被害がスタートしたばかりだと、相手も小さい。
ポットマリーゴールドの食害
目を近づけても分からないし、近頃老眼が入ってきたのか、むしろメガネを外したほうが見えやすいのが悲しい。

ポットマリーゴールドの害虫
結局はルーペを引っぱり出して探索続行。ここまで来るともう意地である。

卵を産みつけるほうも律儀というか、丁寧に一株にひとつ産みつけているようで、幼虫が2匹いることはほとんど無い。しかも一番柔らかい中心部分に集中している。

見つけたら先の尖った竹串で捕まえるのだが、ルーペを使いながらの作業、気分は外科医である。

幼虫
さて、食害している幼虫、今の段階ではこのサイズ。指紋と同じぐらいの太さである。だが、気を抜いて放っておくと、一気に大きくなり、それに比例して食害の量も増えてくる。今回、この程度なら最小限の被害で食い止められたと思っても良さそうだ。

加齢のわびしさを感じつつ、作業する事数十分。全ての苗のチェックが終った。

ああ、肩が凝る。

こんなのが欲しい。

サージカルルーペ