三月も目前だというのに野はまだ冬の色で覆われている。鈍い色の中で一部だけ鮮やかな色があると一際目立つ。今朝見つけたのは明るいイエロー。遠くから見るとタマゴでもあるかのように思えた。
正体はクロッカス・クリームビューティー。以前紹介した「クロッカス・ブルーパール」の仲間である。朝や曇天の日は花びらを閉じていて何かの卵のように見えるが、日が射してくるとパラボラアンテナが開くように太陽に向かう。
植えたままで何年もほったらかしなのでこのところ少し数が減ったようだ。廻りも草だらけで圧倒されつつある。今年は少しメンテナンスしてやりたい。
始めと終わり
ヘリオトロープは四季咲き性が強い。冬でも株が傷まない環境なら結構咲いてしまう。
ビニールハウスでもポット苗で開花が始まった。
ヘリオトロープ、咲きはじめと終り頃ではだいぶ花色の雰囲気が違って感じられる。咲きはじめはかなり花色が濃く、美しい紫だ。ただ、この頃はまだ香りは弱い。
十分花が開いてくるとかなり白っぽくなってくる。一方で香りはしっかりとあまい香りがしてハウス中で香りが分かるほどだ。
また、ホワイトヘリオトロープも開花し初めはちょっとピンクがかっている。そういえば初めて育てた時は、「色が違うんじゃない?」と焦ったこともあった。
とても魅力的な植物だが、ちょっと気難しいところが有る気がする。寒いのはもちろん嫌いだが、あまり暑いのも嫌いなようで、夏などは少し元気がなく、極度に乾燥すると葉も傷みやすい。水が切れると葉が一気に黒くなる。なので常に快適な環境を求める深窓の御嬢様というイメージがある。
でも、いったん最適な環境を与えたら年中香りを楽しませてもらえそうだ。
季節外れ
地球温暖化の影響とは関係ないと思うが、思わぬ時期に思わぬ種類が開花すると困ってしまう。
先日からオレガノ・カルカラータハイブリッドの苗が開花し続けている。この種類、どうも花が上がりやすいようだ。もともとのオレガノ・カルカラータは初夏以外に咲くことはあまりなくて開花の時期も推測しやすい。
ところが、ハイブリッドの名を冠し、他の血が混じっているせいか若干様子が異なる。育つ姿もやや立性が強い。その点は枝が絡みにくいということで歓迎したい。ところが、夏の終わりに突然咲いて見たり、今回のように冬の最中に咲いたりされるのでは植え替えや挿し木の時期もつかみにくい。
まだ育てはじめてそれほど長くないので、性質をつかみかねているだけかも知れない。性質に惑わされるのでなく、上手に利用できるようになるといいのだが・・・
だけど冬の花色(萼の色も含めて)、鮮やかである。廻りに色みが少ないこともあり、圃場の中でも一際目立っている。
真冬のラベンダー
ラベンダーといえば初夏のイメージだが、四季咲きのものもいくつかある。写真のピナータラベンダーやレースラベンダーがそれに当たるが、温度さえ問題なければ冬でも咲く。と言うよりむしろ松江では冬の方が咲きやすかったりする。
但し、寒さには弱いラベンダーなので外に出しておくとかなり葉が傷んでしまう。何もそんな頃に咲かなくてもと思うのだが、こればかりは仕方がない。
冬に咲いてありがたいのは花の期間が非常に長いこと。一度咲くと数週間は花もちがする。
一方で残念なのはこのラベンダー、あまり香りがよろしくない。あくまで鑑賞用である。あと、かなり前の話になるが、やはり冬に自宅の窓際で育てていた時にアブラムシの大発生にあったことがある。冬に柔らかい緑があるのでアブラムシにとっては好都合だったのだろう。以来、室内で育てるのはやめている。
カナリア諸島辺りからはるばる寒い日本につれてこられて不平を言われるのではかないませんね。
食べごろ
去年の秋に種子を蒔いたロケット(ルッコラ)。毎度のことながら始めは小さな間引き菜を恐る恐る引き抜いては食べていた。
冬を迎える頃から徐々にしっかりとした株になってきて、安心して食べられるようなサイズになっていった。ところが年明けからの雪でしばらく様子を見に行かなかった(鳥害・虫害予防のネットを外すのが面倒だったのだ)。
久々にネットをあけて見てびっくり。どの株も目一杯育っていた。中には花芽を付けかけているのもある。早く食べねば葉が硬くなってしまう。
早速一部を収穫して帰ったが、思った通り大変歯ごたえのあるサラダになってしまった。火を通した方が良かった。次はパスタにでも使おう。
この通り、山陰では冬でもしっかり育ち、春先には花芽をつけてしまうことが多い。4月ごろロケットを求めて来店いただくお客様も多いが、時既に遅し、なのである(一応、かなり慣れていればその季節からでも何とか育てられる)。山陰の場合種まきは秋である。同じアブラナ科、大根の少し後ぐらいならほぼうまくゆく。