八十五歳の薔薇

昨年のことである。定期的に庭づくりに伺っているお客様から、庭のレイアウトを変更したいので、大きなバラを移植してほしいという希望があった。

相当古い株のようだったので、躊躇したが、「万一うまく行かなくてもOK」ということで冬になるのを待って移植した。三人掛かりの作業で掘り上げ、移植。根もまずまず良いコンディションだったのであまり心配はしていなかった。

八十五歳の薔薇

春になり、株元や太い枝からもばきばきと新芽が伸び始めて一安心。

老木からの新芽

「ほっとしました」
と、お客様に伝えると、
「いやあ、実はこの薔薇はね」
と、由来を話されたのである。

それによると、先般 100歳間近でなくなられたおじいさんが子供の頃、川に(!)流れて来た株を引っ張り上げて植えたのがスタートだという。おじいさんの年齢から考えると少なくとも八十五年は経っているはずとの話。

先にそれを聞いていたら怖くてあんな大胆な移植はできなかっただろう。この頃、高齢の患者の大手術が成功!とかいう話題を時々メディア等で目にするがまさにそんな感じである。

もちろん種類は不明だが、やや中輪の花をかなり咲かせているのは一度確認している。今年、どんな風に咲かせるのか今から楽しみだ。