春眠暁を覚えず

休眠と言われるように植物にも体を休める時期がある。休眠から覚めるとようやく成長を再開する。冬に休眠する植物、夏に休眠する植物など種類は様々である。人間と同じようにやはり起きがけはシャンとしないのだろうか。
赤花カウスリップ
さて、休眠開けというわけではないが、この赤花のカウスリップ、いかにも眠そうだ。ようやく蕾が見えはじめ、花の色もはっきりとしてきた。だが、まだ花茎も伸びず、葉を枕にしてまだ夢の第三幕といった様子。春眠暁を覚えず。わが家の誰かさんとそっくりである。

もうしばらくすると伸びた花茎の上でしっかり花を楽しませてくれるだろう。

ニューフェイス

春。入学、進学、就職のシーズンである。まもなく、新一年生が大きなランドセルを背負って学校に向かう姿も見られることだろう。

ビニールハウスにも新顔が表れた。といっても招かざる顔である。順調に伸びていたキャットニップの葉に穴が開いていたのである。不思議に思い目を凝らして見て見ると小さなバッタであった。葉の色にそっくりで顔を近づけて見るまでわからなかった。この春孵化したのだろうか。

キャットニップ

小さいながらもどっしりと足を広げ、生意気そうに触角を動かしている。でもあまりに小さいので今日のところは見逃してやることにした。

キャットニップ

さて、このキャットニップ、栽培はそう難しくない。種子からでも簡単に育つ。ただ、どうも油断してしまうのか、最初の種子を蒔き終ると安心して次を作らず、いったん売り切れた後は品切の時期が長く続きやすい。今年はその反省もあり、挿し木用の親木を確保しようとしたのが上の株なのである。バッタに食べ尽くされなければ挿し木苗を出せるかも知れない。

スロースターター

花壇のゴールデンレモンバームが徐々に大きくなってきた。昨年の夏以来株が小さくなっていたので少し心配していた。この調子なら大丈夫だろう。今年も大きくなってくれそうだ。

ゴールデンレモンバーム

ただ、まだ本来の美しい葉色になっていない。写真で見るとただのレモンバームという感じだ。斑入りだからといって春一番の葉から奇麗に色づくわけではないようだ。苗の場合も、春先であっても最初はぱっとしない葉色である。それでもある時期からぐっと葉色がいい感じになってくる。エンジンがかかるのに時間がかかるのだろう。

以前、タイムの斑が消えるという話題を投稿したことがある。幸い、ゴールデンレモンバームは斑が無くなることは無い。安心して見ていられる。

残念ながら花はあまり鑑賞用としてお薦めできるという感じではない。そもそも、レモンバーム自体が花がそれほどぱっとしない。その上、ゴールデンレモンバームは暑さには少し弱いため、花の時期には葉も小さく、かさかさになりがちで余計に見栄えが悪くなるのだ。そもそも、花もやや咲きにくい。葉を楽しむ目的なら花は咲かせないにこしたことは無い。もっとしっとりした環境なら夏でも案外良いのかも知れないが・・・。

神名樋野

ビニールハウスの南西側には小高い山がある。出雲国風土記に神名樋野(かんなびぬ)と記される山である。現在は茶臼山と呼ばれている。

傍から見ると雑木や竹林などが散在するとりたてて特徴の無い山だ。ところがこの辺りは古墳を初めとして古代出雲の歴史が所々に埋まっている土地である。国庁跡、国分寺跡もすぐ側にあるのでこの山にも何かあるらしく、時々調査隊のような人々が登っていくのをみかける。

我々にとっても貴重なビニールハウスの水源を供給してくれるほか、夏の西日、台風の強烈な風からハーブたちを守る防御壁の役割も果たす有難い山である。
山桜
いま、茶臼山も所々に淡いピンク色が見られるようになってきた。普段は他の樹木と見分けがつかず、気づくことのない山桜だろう。まだ見える範囲では一つだけだが、山腹の所々に桜色がちりばめられるようになると春本番である。

グリーンボール

一つの植物を何年も育てていると花以外の季節に思わぬ魅力を見つけることがある。

春先のカラミント・ネペトイデスは葉が密に詰まり、グリーンの球体のように育っていく。毎年、この姿を見るのを楽しみにしている。春のエネルギーがぎゅっと詰まっているような感じがする。
カラミント・ネペトイデス
ポイントは冬の初めから遅くとも2月までにしっかりと地際まで刈り込んでおくことである。風通しが良いとなおさら形良く育つ。今年は奥に見えるオレガノ・ハイブリッドが大分大きくなってきてしまったので移植してやらなければならない。
カラミント・ネペトイデス
こちらは圃場の横のガーデンの株。毎年一株だけぽつんととぼけた感じで春に出てくるのでなにやら可笑しい。
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