ホッと一息

12月も中旬に入ると、お客様のお庭のお手入れも山場を迎える。お盆前もそうだが、年末年始を迎えるにあたって、お庭をきちんとしておきたいと思われるお家も多い。なのであまり前に行うのも問題だし、ギリギリになってからの作業もまたしかり。せめてクリスマスの前には一段落しようと、天気の具合と相談しながら作業を進める。

今日は朝から小雪が舞う。普段なら庭仕事は行わず、圃場の仕事を進めるところだ(普通のお庭屋さんはカッパを着て平気でやっておられる。なんて軟弱なことだろう)。でも、今日は別、お庭へGO。

地面も濡れていて、作業効率は悪いし、何しろ寒い。雪が舞っても風がなければ相当楽なのだけれど、あいにく風がよく通るお庭。でも、真夏の酷暑のときに比べれば増しだと自分にいい聞かせつつ作業を進める。

ローズリーフセイジ
寒さのなかローズリーフセイジが開花中であった

作業も無事終わり、お家の方に、暖まるから・・・と、生姜湯を出していただいた。体も温まった上に、安心してホッと一息。苦労も報われる一瞬である。

天気具合で

この秋のはじめ、圃場横のセイジ花壇の植え替えを行った。さすがに植えてから何年もたつと、弱ったり、消えたりする種類も出てくる。少し土も入れ替えて肥料も足した上で、植え直したり、新しい種類を植えたりした。

サルビア・ディスコロールの株も植わっていたのだが、2年ほど前にダウンしてそのままとなっていたので、少し大きめの苗を植え込んだ。

もともとある程度充実した株だったこともあり、順調に枝を伸ばし、秋半ばから早速花茎を伸ばし始めた。

サルビア・ディスコロール

この種類は、サルビアの中でも比較的秋遅くから開花する上に、決して明るい色ではない。それでも晴天の日には、「おっ、頑張って咲いているな!」と言いたくなるけれど、曇天の日にはこの花を見ても気が沈みがちになってしまう。花に罪は無いけれど。曇りがちな日本海側と、冬晴れやすい太平洋側では自ずからこの花に対する評価も変わるのだろうか。

晩秋のセイジ

秋咲きのセイジ、サルビアも11月の声とともにピークを過ぎた。まだこれからと言う種類もいくつかあるとはいえ、さすがに圃場も色みが少なくなってきた。

パイナップルセイジも花は落ちたし、メキシカンブッシュセイジもあせた花ガラが残ってやや見苦しい。ただ、アンソニーパーカーセイジは花が落ちても色づいた萼が残っているだけで遠目には花が咲いているように見える。昔はラベンダーセイジが結構お気に入りだったのだが、枝が暴れやすくて上手にまとめ辛いという短所が気になるようになってきた。その点、同じような色合いでもアンソニーパーカーセイジは半日陰でもだらしなくならないのがうれしい。

アンソニーパーカーセイジ
株元ではすでに次の芽が。次は私の番だという感じで控えていた。

アンソニーパーカーセイジ

ボーダーライン

毎年冬前になるといつも気にかかるハーブがある。サルビア・エレガンスがそれである。パイナップルセイジに近いサルビアと言われるが、もっと葉も薄く、香りもあまりない。花が咲くのも遅いので、ちょうどこの当りでは寒さが厳しくなり始めるかどうかと言う頃に蕾が上がってくる。

すでに新芽の先がこの所の寒さで傷み始めている
すでに新芽の先がこの所の寒さで傷み始めている

そのため、ここ数年は蕾は出たものの、強い寒さに当って花は見られずという年が続いている。ちょうどこの当りがボーダーラインなのだろう。植えている場所も午後遅くないうちから陰ってしまうのも災いしているようだ。

もちろんパイナップルセイジならそんな心配も無く、相当な日陰でももっと早くからガンガン咲いている。

幸か不幸か、いまのところ温暖化の影響は見られないようだ。

インドより暑い

台風が向かってきそうなのでビニールハウスの補強をする。ゴールデンウイーク開けからToDoとして設定してあったのに相変わらず尻に火がついてからの対応だ。

それにしても暑い。台風へ吹き込む南からの風は熱風である。そもそも今年の夏はスタートから半端ではない暑さだ。7月の終わりにカンボジアに行ったスタッフは、戻ってから「日本の方がはるかに暑い」と嘆いていた。

さて、サルビアの中では少数派の黄色の花を咲かせるサルビア・ヌビコラ。どうやらオリジナルになった株はガンガー(ガンジス川)のほとりで採取された種子だと言う。

サルビア・ヌビコラ

暑いインドを離れ今や遥か遠い日本にやって来て今開花しているが、きっと、「こんなはずじゃなかった」と嘆いているに違いない。