お彼岸が過ぎて

お彼岸が過ぎてもまだ暑い日が続く。むしろ、これから夏に向かうと思わせるような陽気である。「過ぎゆく夏を惜しむ」と言う言葉があるが、むしろ今になって夏が未練がましく居座っているようだ。

裏の山でも相変わらずセミがたくさん鳴いている。でも爽やかな風の中で聞くとそれほどやかましく感じない。不思議なものだ。

昼前、圃場で畑に向かおうとすると、目の前をトンボが通りすぎる。少年の憧れ、オニヤンマだ。昔なら一も二もなく捕虫網を探しに行っているところだ。でも、捕虫網を持ってきた頃には既に飛び去ってしまっているで、次に戻ってくるのを辛抱強く待つより他に無かった。

ところが、おやおや、今日はすぐ近くの枝に止まった。夏の盛りにはあまり見ることができない光景だ。そっと捕虫網ではなくカメラを持って近づき、何枚か収めることができた。

オニヤンマ

そのとき、すぐ上の辺りからミィ〜ンミンミンとセミの声。これもまた、普段裏山の高いところで鳴いているミンミンゼミ。今年初めてお目にかかった。子供のころ、オニヤンマよりもむしろ捕まえにくかった。いつも木の高いところにいるので、鳴き声はしてもとても捕虫網では届かなかった。

止まっているのはユーカリの木。ミンミンゼミには似合わない。
止まっているのはユーカリの木。ミンミンゼミには似合わない。

どちらも今年の見納めにと、山から下りてきてくれたのだろうか。やはり秋は確実に歩を進めているのである。

敏感な我等

庭仕事をしていて、イラガと同じぐらい(人間への)被害が多いのが、チャドクガである。こいつらも今年、発生している庭が多く、庭についたら、まず作業の前に危険がないかチェックしなくては安心して作業にかかれない。

チャドクガ

このお宅でも椿の葉をもしゃもしゃと食べている彼等を発見。チャドクガは毎年同じような時期に同じ木にでてくるので割り合い見つけやすい。一方、イラガはチャドクガほど好みがうるさくないようで、「え、こんなところに?」という木に入る上、葉の裏に隠れて不意打ちしてくるので厄介である。

チャドクガにさされても、イラガのような強く痛みはしない。ただ、かゆみが長く続く上、針が衣服に残っているとそのうち散らばるのか、思わぬ場所がかゆくなって始末に負えないのだ。長袖を来ているからと安心できない。この春にはお腹の方まで発疹が出てきて往生させられた。場合によっては2〜3日かゆみとお付き合いせねばならないことも多い。

でもなぜか、スタッフのうち、一人だけは免疫(?)があるのか、チャドクガがたくさん群がっているところで作業をしていても平気なのだ。本人は
「鍛え方が違う」
と、得意げにのたまうのだ。
「鈍感なだけなのだろう」と、残りの者たちは悔しそうに言うしかないのである。

芋虫のボルト

どちらかと言えば病害虫の被害に悩まされることの少ないローズマリーだが、今の時期はちょっと違う。

春に開花が終わり、少し休ませてからローズマリーは挿し木をすることが多い。すると、ちょうど夏にポット上げを迎え、今はぐんぐん成長する時期になる。気温も高めで、水分も申し分なく与えていると柔らかく、美味しい新芽が次々伸びるから、蛾(蝶かも?)の幼虫の餌食になりやすい。

マリンブルーローズマリー

幸い、見つけるのは容易で、葉がかじられた跡が残る。冬ならばがっしりとした葉でなかなかかじられることも無いだろうと思われるマリンブルーローズマリーもこの有り様だ。

この中央に犯人がいる
この中央に犯人がいる

丁寧に探せば犯人の居場所も分かる。何枚かの葉を巻いてお家を建てている。たいていはこの中にいるので、すぐわかるのだが、捕殺しようと思うのなら慎重に。

突然動き出し・・・
突然動き出し・・・

俊足のスプリンターなのだ。見た目からは想像できないぐらいすばしっこい動きで下へ逃げる。地面に落ちたらなかなか見つけにくいだろう。

下に向かってパパパッと逃げる
下に向かってパパパッと逃げる

カメラで撮影するのもなかなか大変だった。

厄介なやつら

暖かい時期の庭仕事で注意したいのは毒のある昆虫である。蜂もむろん危険だが、毒の有る毛虫も厄介である。

特にうちのスタッフの中で嫌われているのがイラガの幼虫。思わぬところにポツンといたりするので、虚を突かれがちだ。

昨日も剪定した枝を片付けようとしたら左の手首のところに激痛が走った。手袋をしていたのに、ちょうど手袋と長袖の隙間を狙われた。

チクチクチクチクチクチクチクチク

イラガ特有の痛みである。

ダッシュで車に戻り、刺されたところにガムテープを何度も貼ってははがす。針を抜くためである。これでほぼ大丈夫だが、念のため、ラベンダーオイルも塗っておく。作業に戻り、その後痛みも出なかった。

一応対処方法が分かっているので刺されてもそれほど心配することはなくなった。でもやはり刺されるのはイヤである。

今日も一つの庭で仕事を終え、車に剪定した枝を積んだ。次の庭で、さて、作業を始めようとした時、くま手の柄に付いているイラガを発見。確か今日の枝にはいなかったのに・・・・

イラガ

更に、圃場に戻り、車に乗せた道具を片付けようとして、ふと見るとクリップボードにまた一匹。

イラガ

今日一日、恐る恐る車に乗るはめになったのである。

蝶に惑わされた話

蝶が目につく日が続く。いや、今日の場合は目を奪われたと言うのが正しい。普段蝶が飛んでいてもそれほど気にかけることもないのだが、今日ばかりは違った。

どこからかビニールハウスに入って来た一匹の蝶。ゆったりと、優雅に羽を動かす姿、その色にハッとさせられた。特に言葉では言い表せない羽根の色、いつの間にか作業をするのも忘れ、蝶を追っていた。

そうそう、写真、写真。と、どこかへ行ってしまうのを心配しながらもデジカメを取りに戻った。幸い、まだその当たりにいて休憩中の御様子。脅かさないよう、そっと近づき、まずは一枚。

カラスアゲハ?しばらくしてまたふわりと飛びはじめたが、すぐにローズマリーの鉢に止まった。羽を傷めているようである。それで飛び方もゆっくりだったのだろうか。もうこれ以上追い回すのをやめた。
カラスアゲハ?
こんなとき、蝶の種類を知らない人(私)は、「もしかして新種?」なんてドキドキしてしまうものだ。今回も事務所に戻って調べたらカラスアゲハかその仲間のようであった。ミヤマカラスアゲハと言うのにも似ているが、よくわからなかった。それほど珍しくないようでちょっとがっかり。

いわゆる蝶に惑わされたと言う話。ま、夜の蝶でなくて良かった。