手拭いの季節

蒸し暑さも本格的になり、庭仕事のある日は手拭い2枚を持って出るようになった。

手拭いを愛用するようになって、十年は経つだろう。それまでは普通のタオルを使っていた。夏に汗を含んだタオルの匂いは強烈だ。でも、そんなものだと思いタオルを使い続けていた。手拭いなんて年寄りが使うものと言うような偏ったイメージがあったのだろう。

今となっては使い始めたきっかけも忘れてしまったが、さっぱりとした使い心地と、相当汗を含んでも匂わないことにびっくりしたのは覚えている。第一、嬉しいのは乾きが速いこと。午前中びっしょりになった手拭いも、ざっと手洗いして昼休みの間日なたで干しておけば午後からまた気分良く使える。タオルではこうは行かない。極めて実戦向けなのだ。汗をかく季節だけでなく、冬は首回りの防寒用に、その他の季節も純粋に手拭いとして年中手放せない。

端はそのままのほうが乾きやすいんだそうだ。少々のほつれは気にしない!
端はそのままのほうが乾きやすいんだそうだ。少々のほつれは気にしない!手前は近頃お気に入りの唐辛子柄

また、使い続けるうちに風合いが変化してくるのも楽しい。買いたてのぱりっとした肌触りも良いし、何度も洗っているうちに少しづつソフトになってゆく。向こうが好けて見えるぐらいになると、まるでガーゼのような柔らかさだ。こんな変化を楽しむためにも、生地がしっかりした手拭いを選びたい。

使い始めた頃は嬉しくて、現代風なモチーフやポップなデザインの手拭いにも手を出してみた。けれど使い続けてみると一番しっくり来るのは昔からの和風の柄ばかり。やっぱり日本人なんだなぁ。とつくづく思う。

似て非なるもの

マートルを育てたものの、なかなか花が咲かないと言う声は多い。少なくとも、苗から育てて一年目から咲くことは珍しいと思う。ただ、ある程度大きくなって一度咲くようになるとその後は比較的安定する。

市内でも、これは何年ものだろうかというマートルが植えてあるお宅がある。優に背丈を越え屋根に届くような勢いだ。もちろん、花の時は見事だった。なので株元にも実生がたくさん芽生えていた。

マートルは小さくても気品を感じさせる植物なので、鉢植えで楽しみたいと言う向きも多いだろう。その上で花が咲いてくれれば言うこと無しである。

マートル・ルマ
この鉢も小さめ。今年の春先に植え込んだ。

ただ、小さな鉢植えではやはり咲きにくい。これはドワーフマートルでも斑入りマートルでも変わらない。だが、マートル・ルマの場合はちょっと話が違う。実際9cmポット苗でも花が咲く。全く性質が違うのである。

マートル・ルマ

というのも、他のマートルとは相当かけ離れていて、Myrtus属ではなく、Luma属と言う別の属に分類されることもあるぐらいなのだ。なので葉は小さめでも油断してはならない。15mに成長すると述べている資料もあったりするのだ。

真の悪党

毎日のように苗に水をやるビニールハウスはカタツムリやナメクジにとっては天国なのだろう。特にスタッフが「タネハウス」と呼ぶ、種まき後のトレーや挿し木したばかりのプラグが並ぶビニールハウスはこまめに水やりをするのでカタツムリやナメクジにとっては嬉しい環境になっていると思われる。

かといって、頭を抱えるような被害はそれほど多くない(この春は発芽したばかりのバジルがやられはしたけれど)。なので、見つけた時に取り除くぐらいで特に具体的な対策はしていない。

むしろ、普段目にするいわゆるカタツムリやナメクジよりも、極く小さなカタツムリがたくさんいるようだ。こいつら、種類も良く分からないけれど夜行性なのかあまり目立った活動をしていない。いつ見ても殻に隠れて生きているのかどうかさえ良く分からない。

カタツムリ

気づかれない程度に葉を食べながら実は夜な夜な大宴会を開いているのかも知れない。実はこういう奴らこそ真の悪党だったりするしね。

南向き軒下

たくさんのハーブが開花をはじめる時期となり、お客様のお庭へ行くのにも楽しみが多い。

このお庭には、南向き軒下の花壇がある。吹き込まないかぎり雨がかからない。いつもカラカラだ。だが、深くまで掘ってあるので、地上部は乾燥していても深い所はそこそこの湿度はあるようだ。おかげで多湿に弱いハーブもとても元気に育つ。

当地では地植えではダメージの多いオレガノ・カルカラータケントビューティーなども花後の剪定ぐらいで充分である。

タイムも花付きは良いし、色もビビッドになる、今年はタイミングがずれたが、昨年、モロッコタイムの色鮮やかなこと。びっくりした。

マスティックタイム

このマスティックタイムも見事な咲きようだった。うちの圃場ではもっと花もまばらだ。無論香りが素晴らしいのは言うまでもない。つい作業の手を止めて香りを堪能してしまった。

イメージの善し悪し

コガネムシの幼虫には毎年のように苦い思いをさせられている。親木のラベンダーの根が食害されてダウンしてしまうことはしょっちゅうだし、お客様の庭のローマンカモミールが一区画あっという間にダウンしてしまったこともあった。店先で広がりかけていたカーペットグラスも昨年、相当かじられてしまい、さすがのカーペットグラスも一時瀕死の状態になってしまった。

なので、「コガネムシ」と聞くと悪いイメージが思い浮かんでしまう。けれど「カナブン」という名前には子供の頃の夏が思い出され、なんとなくほのぼのとした気分になってくる。憧れのカブトムシを探して歩いた雑木林。カブトムシはいつも見つからず、枝にしがみついているのはいつもカナブンだった。それでも、「カナブンがいるなら、きっとこの木にはカブトムシもやって来る」と、毎回胸をわくわくさせて向かったものだ。いつも空振りだったけど。

カナブン

このカナブンは、圃場の横のギンヨウボダイジュにしがみついていた。樹液を探してやって来たのだろうか。でも、スズメバチと間違えるような大きな羽音でびっくりさせたり、ハーブの株元に産卵するのは勘弁願いたい。