水加減

苗の小さいうちは水加減が本当に難しい。その上、徒長しやすい種類はなおさら気を使う。

ラベンダーの中でも、マンステッドラベンダーがそういった類いの一つ。ある程度大きくなっても割と柔らかめの枝ではあるが、小さいうちはすぐにひょろひょろっと育ってダランと横に倒れてしまうことが多い。

マンステッドラベンダーの苗

この株も伸びてきたなと思っていたらこの調子。剪定をかけないと元に戻すのは困難だ。右手前の株もちょっと怪しいぞ。暖かい時期だけでなく、結構冬場でも起こりうるので目が離せないのだ。同一種だけ何百と育てていれば十分にコントロールできるかもしれないが、せいぜいひとケースやふたケース。悩ましいところである。

有用植物

圃場の角、隣地との境になる所にいつごろからかハギ(ヤマハギ?)が育ち、秋には盛大に花を咲かせるようになった。

ハギ

結構場所を取るし、となりに植えているつるバラの邪魔になるのでどけようかと最初は考えていたが、そのうち、そのうちと思っているうちにしっかりと居着いてしまった。あればあったで、ちょうど隣との目隠しになって都合が良いし、数年前からは落葉した後の枝を刈り取って、絹さやエンドウやスナップエンドウを絡ませる支柱にぴったりで重宝するようになった。(それまではわざわざ山に取りに行っていたのに、すぐ隣で助かるのだ)エンドウ用の支柱を取るのと合わせて剪定してしまうのが株に良いのか、この所は特に花付きが良い。目も楽しませてもらって邪魔者が一気に有用植物に格上げである。

ハギ

とある書物によると、根は煎じて目まいを鎮めるのに使われたり、葉はせき止めなどにももちいられたと言う。やはり立派な有用植物である。

苦労も実る

お庭の手入れに伺ったお客様から、カボスが実ったので収穫して欲しいとの御希望を頂いた。脚立に登ってようやく届くような高さ、念のために脚立を積んできておいて良かった。

このカボス、我々がお庭の手入れを始めた頃にはすでにあったので、少なくとも5~6年以上前から植わっているようだが、ずっと収穫がなかった。あまりに寂しいので、数年前から施肥や剪定に力を入れてきた(アゲハの幼虫とも相当格闘した)。昨年はそれでも5つほど実っただろうか。

今年も花は咲いたものの、それほどたくさん咲いたようには思えなかったのでそれほど期待はしていなかった。ところが、実際に収穫してみると40個以上。お客様も喜んでいただいたが、苦労が実った我々もまた嬉しかった。

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御褒美?として、収穫の半分近くを頂いた。スタッフで山分けである。休憩でお茶をいただいた時に、先日スーパーで1個158円で売っていたと聞いた。嬉しさもまたひとしおである。

挿し木のタイミング

夏の終わりは、挿し木作業が多くなる。特に花が終って、少し休憩したラベンダーが新芽を伸ばし始めるので、ラベンダーの挿し木がいちばん多い。

畑の親木はまさに運を天に任せているので、適期を待って挿し木をするしかない。一方、鉢植えのラベンダーは花の後の植え替えと剪定の時期を調節する事で新芽が伸びてくる時期が少し違ってくる。

ちなみに去年は、まだ暑さが衰えないうちに新芽が伸びてきてしまい、その状態で挿し木をしたら相当失敗もあったので、今年は植え替えを遅くした。

ところがなかなか思うようにはいかないもので、今年はもう挿し木ができそうな気温になってもまだ十分に新芽が伸びてこず、困ってしまった。

それでもようやく一部のコモン系のラベンダーが良い状況になってきた。ポイントは新芽が伸びてしばらく経ち、下のほうが少し色が濃くなってしっかりしてきた時だ。あまり軟らかい新芽だと腐りやすいし、あまり固くなってしまうと発根に時間がかかる。

ラベンダー

挿し木のノウハウは人それぞれなので、かならずしもこのタイミングがベストだとは言えないけれど、秋は安定した挿し木に良い季節。試して見られるのも良いかも知れない。

夏の疲れ

暑さのピークのときにはむしろ目立たなかった疲れがお盆以降ハーブたちにも目につくようになってきた。

昨年はダイレクトな暑さで土がゆだるような感じで傷む苗が多かったものの、今年は例年のように蒸れが原因のものが多い気がする。

毎年ながらのラベンダー類のほか、タイムなどもなかには調子を崩した種類もあった。今年は、ロングウッドタイムが一気に葉を枯らし始めたのが特に目立った。もともとふわふわした葉なので蒸れには特に弱いけれど、「こんな暑いときに、こんな葉なんてつけてらるか!」って感じである。

ロングウッドタイム

毎年の事であるし、きちんと株元から新芽は出ているので、ちょっと植え替えしてやればまた機嫌を直してくれるだろう。秋の中ごろには装いも新たに元気な姿を見せてくれて欲しい。