竹のベンチづくり-組み立て編

今日はようやく時間の余裕が少しできたので、いよいよベンチづくりに取り掛かる。

もう、4度目か5度目の製作だ。最初の頃はとにかく急いで作り上げることを最優先にしていたので、とても雑だったが、回数を重ねたこともあるし少し丁寧に作ることにした。

まずは、鉢を移動させて、もともとあったエキスパンドメタルを取り外す。あわせて、エキスパンドメタルを乗せていたビニールハウス用の直管も取り除く。やぐら状に組み立てたパイプはそのまま使う。

ちなみに、最終的な高さはおおよそ70センチ。これぐらいが使いよいようだ(元々の地面が平面ではないので、60~80ぐらいの幅はある)。

パイプの上に、4センチ角、長さ4メートルの角材を乗せる。角材はあらかじめ防腐塗料を塗っておく。塗らないのとどれぐらい差が出るのかはわからない。気休め程度かもしれない。

角材はおおよそ均等になるように位置合わせ。両橋の角材は垂直のパイプの上あたりに来るようにしておく。いままで120センチ幅のベンチなら3本の角材で問題はないので、今回も踏襲。特に仮固定もせずに、竹を置いてみる。角材の端から7、8センチ程度竹の先が出るようにする。手前側は後で切り揃える。

いちいち竹の位置を確認せずに済むように治具をとりつける。といっても薄い板を角材に留めただけだが、これでも作業効率はずいぶん上がる。

角材へのビス留めはいつも使っているコーススレッド。

あまり太いと竹が割れてしまいやすいので細めを使う。インパクトドライバでどんどん留めていく。本当はネジの頭がしっかり埋まる方が鉢の底が引っかかったりしないでいいのだが、まあそんなにしょっちゅう動かすこともないので、ここはあまり頭が出ないぐらいで良しとする。

 

数本打ち込むと、以前の作業を体が思い出してきて作業はスムーズに進む。

幅が狭い竹と、広い竹が混じっているので、狭い竹は間隔も狭く、広い竹は間隔も広くとる。

以前はこれぐらいのガタガタは多めに見ていたのだが、今回はちょっと見た目にも気を使うことにして、丸鋸で揃えて切る。

以前、コンパネ細工をした時に作った丸鋸定規が大活躍。綺麗に気持ちよく切れる。

ほぼ1スパン終わったら次へ進む。

あとはこの繰り返しだ。一気に完了しようとせず、ちょっと天気の悪い日とか、時間が中途半端に空いた時に少しずつ進めれば良い。それでも2月の半ばぐらいには完成したいものだが。

まとめてみて気がついたが、特に記録にとどめておくほどのことでもなかった。現物を見て、あとは自分で工夫しながら進めればできそうな感じだ。

竹が手に入りやすい場合、手軽な台を作るのには良い素材だと思う。簡単なDIYとして試してみてほしい。

竹のベンチ作り

以前、

竹を使う理由

竹を使う理由

で、紹介したことがあるが、当店の苗のベンチは竹製である。冬の作業の一つとしてこの竹製のベンチ作りがある。

冬に切り出した竹で作ると耐久性が高く、十年ぐらい持つ。五年ほど前に作ったところなので今のところ、特に問題がある箇所はないが、親木を管理しているビニールハウスの一部がまだエキスパンドメタルを利用している。近く就農する若者に、このエキスパンドメタル(私も若い頃に譲ってもらったものだ)を譲ろうと思い、今年は竹のベンチに作り替えることにした。

実はもう一つ理由があって、このエキスパンドメタルに大きな鉢を乗せる場合、エキスパンドメタルが撓む。育苗しているポット苗のトレーや種まきをした鉢などなら問題ないが、10号以上の大きな鉢を乗せると、ベンチの内側に向かって傾く。

内側に傾く鉢

これでは水やりが均一にできないし、水が貴重な夏場など、溢れやすいので勿体無い。なんとか解消したいと長年思っていたのだが、エキスパンドメタルの場合は、それを乗せる部分が相当頑丈でないといけない。竹の場合は、逆に竹の表面に向かって撓むので、反作用の力(とでもいうのかな)で重いものを支えてくれやすいようだ。

また、ちょうど作り方を知りたいという知り合いもいたので、備忘録も兼ねてここに紹介しておく。育苗用のベンチは必ずしも竹を使う必要はないし、たまたま私のところでは手に入りやすく、処分もしやすいということで使い始めた。また、特に参考にしたものもなく、最初からとりあえずで作っているので、改良点はいろいろあるかもしれない。

特に竹を固定する角材とその角材を乗せるパイプ部分はいろいろな形に変更可能だと思う。パイプ部分は、場所によっては杭でもいいだろうし、あまり高さが必要でなければブロックを何段か重ねてもいいと思う。

さて、まずは竹の収穫である。今回は親戚の竹林へ。

何度かこの竹林で収穫させてもらったが、前回収穫してからずいぶん経ったので、なお一層荒れていた。

筍も生えるらしいが、倒れた竹が多く、歩くのも大変な状態だった。とりあえず、運び出すのに必要なだけ、倒れた竹を片付ける。

この竹林には、真竹、孟宗竹が混ざっている。孟宗竹に押されて真竹は減っているとのこと。今回必要なのは孟宗竹。

若い竹は長年はもたないので使わない

ある程度年数がたったものに狙いをつける。新しい竹には節のところが白い粉がふいたようになっている。年数が経つと黒っぽくなる。ここが見分ける目印だ。もちろん、古い竹はそれなりに太く、かつ長いので切り倒して運び出すのも大変なのだが。

こちらは年数がたった竹

放置された竹林なので、竹の間をぬって綺麗に切り倒すことなど不可能に近い。なかなか思ったような方向に倒れてくれないので、腰に気をつけながら引っ張り出したり、倒れかけたものを途中で切ったりと、気温は低いのにいつの間にか汗がで始める。

運び出しは重労働

数本切り倒したところで、次は長さを揃えながら割っていく作業に入る。今回のベンチは幅が120cmなので、余裕を持って130cm程度に輪切り(?、玉切り?)にする。

この作業も、一本正確に130cmを切ったものを割り、目印をつけて定規がわりにするとその後が楽(目印をつけておかないと必ず紛れる)。

割る時は両刃のナタで。先端に刃を守ってくれる石突がついているエビ鉈が安心して使いやすい。ここは下が岩場だし。

まずは中央に刃を入れ、竹を地面に打ち付けて割っていく。

太い竹は刃を強く挟んで進まなくなるので、上からパイプを差し込んでやると気持ちよく割れる。また、あらかじめ一番上の節を落としておくだけでも割れやすくなる。

2分割したものを、更に2つ、太いものなら3つ、株元に近いところは更に細かく割ると、8分割することもある。

以前は、鉄でできた竹割用道具も使ってみたが、うまく使えるのは一本の竹の内の一部だったので、以来鉈だけを使うようになった。

節を落とす

割ったものから節を落としていく。鉈を使って弾くように節を切り落とす。これは軽快で楽しい作業だ。

130cmの場合、おおよそ5本分を割ると運ぶのにちょうど良い量になる。

厚めの部分だと、20kgぐらいにはなるだろうか。収穫した場所から道板をつかって川を渡り、法面を登って車道に出るので、これぐらいが限界とも言える。

一本の竹でも、使う部分は株元から、枝がで始めたところぐらいまで。

枝がで始めたところから先は使いにくい

これより上は細く、薄くなって強度も下がるし、節が目立って鉢などを置いた時に傾きやすくなる。竹林なので、使わないところは隅の方に重ねておけばOKというのもありがたい。

昼休みを挟んで、午後も竹取の翁を続け、夕方5時前にようやく10束を準備できた。これで20メートルのハウスの2列分が賄える計算なのだが。果たして予想通りに行くか。明日は全身筋肉痛という予想だけはきっと違わないと思う。

次回は、実際の組み立てなど。少し間が空きます。

竹を使う理由

行く、逃げるの1,2月が終わり、いよいよ3月。「あっという間に去ってしまった・・・」とならないように気合が入る。

植物の成長が鈍る冬は他の季節に比べるとどうしてもできる仕事が限られてくる。そこでビニールハウスの改修、補修、作業環境の改良などを集中して行っているが、この作業ももうすこしで終わりを迎える。

例年のように行うのが、育苗時に苗を並べるための竹の棚の改修である。

ベンチ作り

育苗のために腰の高さぐらいまでに上げた台は育苗ベンチと呼ばれ、普通はネット状になった薄い網状の金属(エキスパンドメタルというんだそうな)を広げてその上に苗のケースを並べることが多い。当店にも、譲ってもらったエキスパンドメタルがいくつかある。

エキスパンドメタル
当時憧れだったエキスパンドメタル

この仕事を始めた当初は大規模に栽培しておられる農家が大抵このエキスパンドメタルを使っているのを見てすこし憧れだったこともある。

お金もなかった当時は地面に杭を立て、その上に桁を渡し、その上に木製のパレットを乗せて長い台を作っていた。水はけは問題ないし、パレットは近くの運送業者でいくらでももらえるような時代だった。

ただ、使い古したパレットに始終水をかけることで案外腐ってしまうのが速く、処分も結構大変だった。また、そのうちパレットがプラスチックのリユース品になり、譲ってもらえなくなった。この時点でエキスパンドメタルに変えてしまうことができたら今頃全てがエキスパンドメタルの台になっていたのかもしれないが、残念ながら当時はそんな余裕もなかったのだ。

また、エキスパンドメタルは実際に使ってみると端の部分が引っかかるし、夏は結構暑くなる。しかも丈夫な分、加工が難しい。ちょっとサイズを変えようとしても一苦労だ。そのうえ処分となると外部に頼まなければ手に負えない。

安価で手に入りやすく、加工がしやすく、片付けも楽、となったら必然的に竹が候補に上がってきた。

安価で手に入りやすいということでは、ハウスの目の前に竹林があるし、親戚にも放置された竹林がある。そのうえスタッフの家にも竹林がある・・・といった感じ。竹を切るのはそれなりに重労働なのでむしろ切ってもらえると喜ばれるぐらいで、気持ちほどのお礼で済むことが多い。

いつも竹を切り出す竹林

もちろん、加工はこの上もなくしやすい。よく切れるノコギリとナタさえあれば十分である。

ナタと竹

それなのに耐久性は相当高い。

跳ね上げ式の台
跳ね上げ式の台

開け閉めが出来て通路のように使える部分もこのとおり、簡単に作れる。通路幅がすこし広くとりたい場所も、ノコギリ一つでハイ、出来上がり。エキスパンドメタルではこうはいかないだろう。

それでも何年も使っていると所々が折れたり腐ってくるので取り替えが必要だ。取り替えた竹は最後は燃料となり、作業場のストーブで主に焚き付けとなり使命を終える。更に言えば残った灰も畑に撒かれて植物を育てる。極めて気持ちの良い素材だ。

交換した竹
古くなって交換した竹
竹の最後
最後は燃料として

竹を使うメリットとして抗菌作用が・・・とも言われるが、とりあえず育苗においてはそれほど違いは感じないので、この点でのメリットはほとんどないようだ。ハーブ自体の抗菌作用がまさっているのかもしれない。

加工する手間なども考えるとコスト的にはむしろエキスパンドメタルに軍配があがるのだろうが、竹を切ったり割ったりも冬の良いエクササイズのつもりで行っている。

竹切りがしんどくなるまでしばらくはこの素材と付き合っていくことになりそうだ。

竹と椿

今日は竹の収穫に出かけた。場所は島根半島のとある川沿いの竹やぶ。親戚の所有する竹林である。川のせせらぎをBGMにして竹を切るのはなかなか悪くない時間だ。

せせらぎ

この竹やぶもかつてはタケノコ掘りなどに良く使われていたようだが、この頃はあまり使われることも無く、荒れるに任せてある。そのため、竹を切ってあげるとむしろ喜ばれるのだ。

竹林
毎年のように行なっている作業なので長い竹を切り倒すこともそう苦ではなくなってきた。最初のころは倒れた竹が他の竹に挟まれて引っ張り出すのにひどく手間がかかったり、割れた竹が跳ね返って危ない思いをしたこともあった。

今となっては手慣れたもので、小さなノコギリと鉈だけでリズミカルに作業を進めることができるようになった。何でも経験である。

竹
パァンと竹を割るのはなかなか気持ちの良い作業だ。瑞々しい竹の香りもまた気分を新鮮にしてくれる。また、割ったばかりの竹の美しいこと。今まで外界にさらされていない清らかな竹の内部。昔のひとがかぐや姫をそこに想像したのも無理はないように思えてくる。

竹
一仕事終えて一服すると目に鮮やかな赤い色が入ってきた。椿である。島根半島は野生の椿が多いと言う。竹と椿、何とも風情のあるひとときを過ごさせてもらった。
椿

竹も本望

他の季節に比べると、冬は園芸作業自体は少なくなる。一方で冬にしかできない作業も結構あったりするのだ。

今冬の課題は、育苗ハウスの台直しである。育苗ハウスでは、パイプで組んだ土台の上に割り竹を簀の子のように敷いてその上に苗(正確には苗ケース)を並べている。前回簀の子を作ったのは5年ぐらい前になるだろうか。さすがにところどころ腐ってきてそろそろ寿命も近い。

普通のビニールハウスでは鉄製の簀の子を使う事が多い。耐久性も高いが値段も高い。それに、いざ処分しようとでも言うことになると大変である。実は少し前に、施設園芸をやめたところでこの簀の子をもらえるかも知れないと言う話があった。だが、やはり今の時代の流れ考えると処分費がかからないものの方が後々安心である。そこで今のまま、竹の簀の子で継続する事になった。

竹の簀の子の供給源
竹の簀の子の供給源

前回は裏の竹やぶの所有者から分けていただいて作った。時期は真夏。竹を切るにしても作業をするにしても最悪のタイミング。やぶ蚊の猛襲に耐え、炎天下、竹を切り、割っていくなど狂気の沙汰であった。きっと周りの方も
「だーだねか?(ダラ・馬鹿ではないか)」
と言っていたに違いない。
今でも思い出すとその時の辛さが脳裏に浮かぶ。その時の反省から、この作業は冬に行なう事にしているのだ。

さて、昨年はこの裏山の竹やぶから大量の竹が業者によって切り出された。なんでも広島のカキ筏の材料になるとか。なにもこんなに遠くへ取りにこなくてもと思って尋ねてみると、山陽の竹よりも山陰の竹のほうが寒さに当たっているせいで、ゆっくり成長しており、海に浮かべてからも長期間腐りにくいのだとか。輸送コストをかける意味があるのだなぁと感心した。

先日はテレビだったかラジオだったかで、その廃棄されるカキ筏の竹から竹炭を作る取り組みが紹介されていた。とことんまで使われて、この山の竹も本望だろう。