朝日に誘われて

久しぶりに朝から晴れである。このような日はビニールハウスの中は天国。外の気温が低くても、中は春のようになり、上着を脱ぎたくなるほどだ。山陽のほうでは毎日こんなふうなのだろうと思うといつもうらやましく思う。自ずから植物の成育にも少なからず影響があるだろう。

さて、本日発送分の苗の準備をしているとルイジェリーラベンダーの苗にバッタを発見(トノサマバッタ?)。思わぬ暖かさに出てきたのだろう。しかしいったい今までどこにいたのやら。
バッタ
葉をバリバリ食べる大食漢。夏ならば有無を言わさず退去いただくところだが、今日のところは大目に見て、そのかわりに被写体になっていただく。暖かい季節ならここまで近寄って撮影するのは難しいだろうし。朝日を浴びながら何を考えているのだろうか。

子供のころは良く追いかけていたトノサマバッタではあるが、大きなショウリョウバッタに比べると人気度はワンランク落ちていた。それでも緑色の鮮やかな大物がとれると誇らしく感じたのをおぼえている。ものすごいエネルギーを蓄えていて、いつ手の中から飛び出してしまうかはらはらしながら虫かごに入れていた。

身を冬の色に替え、動きも緩慢な今の時期はおじいさんに見えてしまい、手を伸ばす気も起こらない。

冬のミント

ミントといえば簡単に育つハーブの代名詞のようなもので、放っておいても育つ雑草のようなものだと思われていることが多い。ましてや我々ハーブを生産するものにとってはお茶の子さいさいだと思われるかも知れないが、実はそうでもない。

特にパイナップルミントはあの強健なアップルミントの斑入りであるが、ポット苗は夏場は傷みやすくそれなりに気を使う。斑の部分が強い日差しで焼けてしまうのだ。

その一方で冬場は楽勝である。寒さには強いし、たいていは株元の芽だけか、地上部が消失してしまうが、かえって安心だ。
パイナップルミント
松江のほうでは冬は葉を楽しむことはできにくいが、ハウスの中は別である。成長はしないが、紅葉して3色になった葉色が楽しめる。寒さに耐えながらも美しく色づく姿はなかなか良いものだ。

ニキビ

植物を育てていると次から次へと疑問が湧いてくる。

昨年もちょうどこの時季びっくりしたのがドワーフコンフリーに現れた斑点である。最初は病気か虫でも入ったのかと思った。でも、調子はいいし、虫が入っている様子も無い。結局原因がわからず、そのまま放っておくといつの間にか気にならなくなった。
ドワーフコンフリー
近い種類のドワーフコンフリー・ヒッドコートブルーにも同様に現れるが、普通のコンフリーには見られない特徴だ。

今年も、ちょうど今、一ケースの苗のうち、半分程がこの斑点が現れている。斑点が現れはじめた株もある。

ドワーフコンフリーはこれから春にかけてぐんと成長がよくなり、開花時季を迎える。思春期のニキビのようなものでこれを過ぎるとようやく大人の仲間入りということなのだろうか。元気に成長して欲しい。

寝ぼけ眼

本格的な寒さの後、まだ落葉していなかったビニールハウスの親木も葉を落としたのでようやく冬の植え替えができるようになった。

ハニーサックルの植え替えをしようと株元の雑草を取り除いていたら何やら手にぐにゃりと当たるものが。もしやと思って見てみるとやはりカエルだった。
カエル
気持ち良く寝ていたところを起こされて、少々つついても全く動く気配が無い。カエルというと昔一緒に働いていたスタッフはとんでもないカエル嫌いだった。小さなアマガエルでも見つけた日には3メートルぐらい後に飛び退くほどだった。

自分はと言えばカエルは好きでも嫌いでも無い。小昆虫を補植してくれるというので、暖かい季節にはしっかり働いてもらいたいところだが、実際に食べているところを見たことが無い。かといって毛嫌いするほどでも無い。暑くてかなわない時期に雨の前に軽やかに鳴いてくれるのは嬉しいが。

中華料理で出てくるカエルはすこぶる美味しいとの話は聞いたことはあるが、こちらも実際には食べたことが無い。それとは知らされずに食べてみることができればいいのだが。

さて、当のカエル君は鉢から出しておいたらそのうちヨタヨタとどこかへ去ってしまった。暖かくなったらまた会おうね。

静かに越冬中

夏前から息をひそめていたアブラムシが、今ごろになって目につくようになってきた。

暑いシーズンは苦手なようだし、天敵も多いためかそれほど目に留まるようなことはない。ところが寒くなって天敵も姿を消すと雨もかからず強い風も吹かないビニールハウスの中はアブラムシにとっては天国だ。春のような勢いは無いが葉の裏で静かに勢力を伸ばしつつある。
アーティチョーク
特にアーティチョークボリジの葉の裏のように細かい綿毛がたくさんあるところが好きなようで先日まで見なかったのに今日はご覧の通り。
ボリジ
この程度なら水で洗い流したり、外に定植してしまえばいつの間にかいなくなってしまうのだが、いずれ発送される苗である。早めに対処するにこしたことはない。数日間をあけて二度三度繰り返し水で洗うのがコツである。

小さな刷毛や筆を使うと葉も傷まないのでおすすめしたい。