小さめに

親木を育てているビニールハウスではフレンチ系のラベンダーが花盛り。ちょうどローズマリーとバトンタッチをするように咲きはじめるのが嬉しい。

フレンチ系のラベンダーは丈夫であまり手もかからないし、松江辺りではほったらかしで育てることができる。でも、大株になった後も手入れをしないと花数は増えても花が小さく貧弱になる場合が多い。特に上部包葉に特徴がある種類はなおさら真価が発揮できない。

でも、中には小さめの花でも悪くないと思われる種類もある。それが写真の白花フレンチラベンダー。もちろん、充実した花がしっかり咲くのも見事である。一方でこんなふうに可愛らしくたくさん咲くのもまた良い感じだ。花の白さがカバーしてくれるのだろうか。

白花フレンチラベンダー

ただ、白花フレンチラベンダーは花が終って花色が茶色になってくると目立つのである。紫系の種類はそれほどでもないのに、これも白い色のため。仕方がない。

さて、小さい花が可愛らしく咲いた、この白花フレンチラベンダー、つまりあまり手入れをしていない。ということなのだ。花が終ったら少し大きめの鉢に植え替えやろう。来年は大きな花が見れるように。

ブドウ葉

ニオイゼラニウムの花が少しづつ咲きはじめている。花だけを見ても一つ一つ個性が有り、コレクターが多いのもうなづける。

グレープリーフゼラニウム(Pelargonium hispidum)

中でも原種は変わった花も多い。この間から咲きはじめたグレープリーフゼラニウム(Pelargonium hispidum)も、数年前初めて花を見たとき、虫に食われたか、病気か何か問題があるのではないかと思った。花色はごく一般的だったのに、下花弁がとても小さかったのである。

グレープリーフゼラニウム(Pelargonium hispidum)

でも、それから咲く花咲く花、いずれも同じだったので安心した。蝶が羽根を広げたようにも見えるし、ピンクのハートにも見える。といっても花の形状からは名前がつけにくかったのだろう。通称は「ブドウ葉」である。別に、「VINE LEAVED」と呼ばれるれるゼラニウムもあってはなはだ紛らわしかったりする。

先人の失敗

長い間品切中になっていたチャイブスがようやく大きくなってきた。それほど遠くない時期に発売できそうだ。

チャイブス

チャイブを見るたびに思いだすのは、まだハーブを作りはじめてまもない頃、園芸の大先輩から伺った笑い話である。大先輩の友人は、チャイブを育てようと、ポットに種を蒔いたのだ。ところが、1ポットにひと粒づつ。当然のことながらヒュ〜ッと一本だけ伸びたポットが並ぶことになったそうである。

その時は「それはドジですね。」と答えていた自分だったが、まだ育苗もほとんどしていない頃である。教えてもらわなかったらきっと同じことをしでかしたに違いない。笑いながら、「チャイブは数粒を蒔くこと!」としっかり心に刻んだのである。

まして今なら、直まきもせず、小さなプラグに数粒づつ巻いてポット上げするか、株分けで苗を作るのでポット苗も比較的揃いやすい。写真のは、種子からなのでちょっと線が細い感じ。ガシッとした株分け苗にはやはり劣る。

同じ種子からの苗でも秋にポット上げすると、冬いったん地上部が枯れ、春に出てくる新芽のものはすごくエネルギッシュである。本当は春の苗はこちらを出したいというのが本音だ。今年は間に合わなかったけど。

せめぎあい

年間を通して管理しているお客様の庭にはかなり広いところも多い。自ずからグラウンドカバーを使うところも増える。

雑草は生やしたくないけれど、あまり手間がかかるのも・・・と言う場所にはカーペットグラスを選ぶことがある。一気に広がってくれるので比較的少ない数で大きな面積を覆うのに適している。

ただ、毎年今の時期はやきもきさせられる。寒さで枯れるようなことは無いにしても春先のスタートがやや遅い感じで、一時他の雑草に先頭を譲ることがままあるのだ。
カーペットグラス

このお庭でも、苔とカーペットグラスが拮抗している。そのうち、カーペットグラスが勢いを増して上を覆い尽くす(と信じたい)。

スタッフの一人によると、「苔をよけているような感じだ」とか。苔があると嫌がって広がらないのではないかと。そう言われればそんな気にもなってくるのだが、ここはカーペットグラスのポテンシャルを信じなければ。もともと乾燥した場所を好む植物なので苔が生えるような場所はいまいちお気に召さないのだろう。

カーペットグラス

冬は日当りの関係で苔が広がるようでも、春以降はかなりの日なたになる場所である。夏前にはきっとブワッと広がってくれる・・・はず。苔も夏はその下で涼しく暮らすのかも知れない。

控えめなグラウンドカバー

ペリウィンクルは地道なハーブである。香りもなく、葉も特に特徴が無い。古くは薬用として広く使われていたようだが、現在は開花時期はともかく、それ以外の季節は店頭でも目に留める人は少ない。

大型のVinca majorはツルニチニチソウと呼ばれ、盛大に繁茂しているのを時々目にする。近所でも法面をしっかりと覆い尽くしている。この強力な成長力のせいもあってどちらかといえば雑草のような見方をされることも多いようだ。実際に茎の伸びかたといったらビョーン・ビョーンとはねるように伸びていき、よほど注意していないと手に負えなくなるほどだ。事実、昔ハーブを育てていた貸農園で雑草化しそうになり、手を焼いたこともあった。
ペリウィンクル

それに比べ、Vinca minor・パープルペリウィンクル(ヒメツルニチニチソウ)の方はおとなしめだ。といっても芯は強いようで、寒さ暑さも何のその、少々湿っていようが乾燥していようが、ガンガンの日なたから日陰まで何とか育ってくれる。日なたでびっしりと硬めの葉を敷き詰めるように育つのもよし、日陰でしっとりと優しい葉を繁らすのもまた悪くない。ちょうど今ごろ、花時を迎え、クラシックな紫花で目を楽しませてくれる。

ホワイトペリウィンクル

また、白花の品種のホワイトペリウィンクルはさらに控え目な感じである。葉色も薄めで、育ち方によっては黄色い斑がうっすらとかかることもある。やや小さめの白い花は、楽しめる期間は短めだが、いっせいに咲いたところはなかなかよいものである。

ホワイトペリウィンクル

どちらも、グラウンドカバーとしてはかなり役立ってくれる。環境が良くつかめていない場所にとりあえず試して見るときなどおあつらえ向きなのである。