お菓子の家

暑さが本格的になりはじめる頃、マロウの葉がくるくるとイモムシによって巻かれるようになる。柔らかなムスクマロウをはじめとして、ブルーマロウブラックホリホックも同じように被害にあう。

ムスクマロウ
毎年のことだし、季節も決まっているので、待ちかねて対応することもできるぐらいだ。ただ、対応は早いに限る。放っておくと、イモムシが大きくなるのにつれて食べる量も増え、加速度的に葉がかじられていく。ただ、食害されることで株がダウンすることは無い。

ムスクマロウ

おや、葉が巻いた感じだなと気がついて、ちょっと覗くと、排泄物が見えるのですぐ分かる。葉を開いてみると、今まで食料にくるまれてのうのうと過ごしていたイモムシが慌てふためいて飛び出してくる。

イモムシ
柔らかなムスクマロウの葉、まるでお菓子の家に住んでいるようなもの。羨ましい限りだ。でも、排泄物も一緒と言うのはね・・・

時には科学的に

当店のハーブの栽培は、もっぱら勘や経験に頼っていてあまり科学的とは言えない。育てる種類が限定されるのならもっと色々なデータに頼っても良いかも知れないが、種類が多いために、何でも一把ひとからげ、全体をみて判断するしかない。

そんな我々でも、時には科学的な考察を試みることがある。(おお、なんかカッコいいぞ)

時々手入れに伺う、とあるお宅の庭のクリーピングタイムが数年前から調子が良くない。肥料を入れたり、植替してみたりしても大きな変化なし。ガンガン日が当り、風通しも良い。それなのに今年など、苔が生えてくる始末。埒が明かないので、土を調べてみることにした。

PH試験

お庭の何箇所からか土をもって帰り、PH試験キットでチェックしてみる。タイムが植わっている場所のPHが低いことが分かる(上列)。いつからこういう状態か分からないが、以前は問題なく成長していたので、その後何かが変わったのかも知れない。

これだけが原因とは言えないものの、とりあえず原因の一つになりそうなものが分かっただけでも少し前進である。さて、これからどうしようか・・・。

努力は買いたいが

店の横のホップの葉にかじられた跡が目立ち始めた。葉をひっくり返してみると、一瞬ぎょっとして手を引っ込めてしまう。毎年お目にかかるとは言うものの、さすがにこの極悪そうな姿にはついひるんでしまう。

キタテハの幼虫
正体は、キタテハの幼虫(だと思う)。毒は無いらしい。普通は、雑草のカナムグラにやって来ると言う。同じHumulus属、似たような味がするのだろう。見た目も良く似ているし。それにしても周囲にはこれ一株しかないし、カナムグラも近辺には無い。食べ尽くしてしまったらどうするのか考えなかったのかな、なんていらぬ心配をしてしまう。

頑張って探してきたのだと思うと、退場願うのは心苦しいのだが・・・。緑のカーテンに大穴を開けられてしまっては・・・。

アヤシイ虫

春以降、圃場でいままであまり目にしなかった昆虫を見かけるようになった。艶のある黒く細長い体、素早く地をはう動き。決して好感が持てるような姿ではない。出没するのも、少しじめじめしたような、ハウスの端っことか洗い場の周辺などが主だ。あまりよろしくない素性の昆虫ではなかろうかと推測した。

スタッフのひとりとして正体を知る者がいないし、気になり出すと尚更目に留まる。体長7センチぐらいなので、増えてきたら厄介そうだ。正体究明に乗り出すことになった。

写真を取ろうとするが、これが足が速くてなかなか捉え辛い。このスピードもまた悪そうな感じを増幅させる。ステンレスのボールに入れ、逃げれないようにして撮影。

マイマイカブリの幼虫

写真でじっと見ると、更に気持ちが悪い。この手の昆虫はネットで調べること自体あまり楽しくない。甲虫ではないかと目星を付けて探すのだが、一向に見つからない。パッと見ると昆虫ではなく、節足動物にも見えるが、足は6本だし・・・。「まさか、外来のアヤシイ昆虫では?」なんていらぬ不安もましてきたころ、「もしや、幼虫?」とのひらめきが。調べてみるとビンゴ!

マイマイカブリの幼虫でした。マイマイカブリなら時々見るし、なるほどエサのカタツムリも豊富だ。

正体が分かれば安心。これからはずいぶん違った目でみることができそうだ。

真の悪党

毎日のように苗に水をやるビニールハウスはカタツムリやナメクジにとっては天国なのだろう。特にスタッフが「タネハウス」と呼ぶ、種まき後のトレーや挿し木したばかりのプラグが並ぶビニールハウスはこまめに水やりをするのでカタツムリやナメクジにとっては嬉しい環境になっていると思われる。

かといって、頭を抱えるような被害はそれほど多くない(この春は発芽したばかりのバジルがやられはしたけれど)。なので、見つけた時に取り除くぐらいで特に具体的な対策はしていない。

むしろ、普段目にするいわゆるカタツムリやナメクジよりも、極く小さなカタツムリがたくさんいるようだ。こいつら、種類も良く分からないけれど夜行性なのかあまり目立った活動をしていない。いつ見ても殻に隠れて生きているのかどうかさえ良く分からない。

カタツムリ

気づかれない程度に葉を食べながら実は夜な夜な大宴会を開いているのかも知れない。実はこういう奴らこそ真の悪党だったりするしね。