このパワーを

秋の初め、ふと甘い香りが漂ってきて、思わず何だろうかと探し、正体がわかってちょっとがっかり。それがクズの花だ。

ぶどうを思わせるような良い香りだし、花も結構大きいのだが、毎年この草には泣かされている。

地方の高速道路を通ると法面などが一面覆われているが、このパワーには驚かされる。圃場の前の山でも、20メートルぐらいの高さだろうか、木に巻きついて伸びているのをみるとびっくりする。

下からずっと伸びているのだろうか・・・根元が見てみたいが。

また、普段から隣の荒地からもいつも侵入の隙を狙っているのも葛である。数年前だっただろうか、畑の隅に根を下ろしたようで、掘り出そうとしたらとんでもない大きさの塊根に苦労させられた。真冬だったのに大汗をかいてようやく掘り上げた。

押し寄せるクズ

そう言った経験もあるので、荒地からの侵入をさせないよう、こまめに草刈りに励んでいる。

それにしても、毎年とんでもない勢いで伸びるこの力に苦労させられるたび、何かに利用できないだろうかと思う。

上手にコントロールさえできれば、日陰を作るのはたやすそうだ。だが、自分のビニールハウスで試す勇気はない。高速道路の法面に広がっているのも、コンクリート剥き出しよりは熱を抑える意味ではずいぶん役に立っているのではないだろうか。

先日川沿いを歩いていたら、頭上の方から「わーん」と唸るような音がするので見てみたらクズの花にミツバチが群れていた。蜜源にもなるのだろうか。ネットで少し調べたが、なるようなならないような、はっきりとはわからなかった。少なくとも、別の日に見た花には昆虫は訪れていなかった。

また、その名の通り、葛根としても知られているが、掘り出す労力は大変そうだ。ツルの強靭さは工芸にも使われるようだが、普段でも何かに使えないだろうか。

などなど、いろいろ利用方はありそうだし、それ以上に、このとんでもないスピードで伸びるパワー自体を活用できれば・・・と毎年のように考えるのだが暑さにやられてボーッとした頭では何も浮かんでこないのが残念至極だ。

花と葉と

毎日の通勤途中、道沿いの田んぼがついこの間までは一面のグリーンだったのに、いつの間にか黄金色に変わり、その黄金色もところどころ四角く刈り取られる場所が増えてきた。

黄金色に色づくのは稲穂の部分というイメージが強いが、実際には葉っぱも一緒に黄色くなる。葉の栄養分が実に送られるためだと言われている。

ハーブの仲間でも、花や種子ができる頃に葉が影響を受けるものは結構多い。バジルも、今、開花結実の時期を迎えて、葉が硬くなってしまい、甘くて柔らかい夏前の葉っぱが恋しい時期となった。

レモンバームも花が咲く頃は、ハーブティーにしようとしても、葉が小さく、みすぼらしくて困ってしまう。

斑入りのゼラニウムやタイムなども、花の時期には斑が見えづらくなったり(気温のせいもあるかもしれないが)、もうちょっとしたら咲くヒガンバナのようにそもそも葉がない時期に花を咲かせる種類もある。

今日も、水やりをしていたら、メキシカンスイートハーブが花を咲かせていた。こちらはもう何年にもなる親株だが、やはり葉の色が赤みを帯びてきた。少なくとも寒さや乾燥のせいではなさそうだし、花を咲かせるための栄養を葉が与えているのかもしれない。

ポット苗のメキシカンスイートハーブ

一方、夏前にポット上げした同じメキシカンスイートハーブの株は、花が咲いていても葉も青々。土もまだ新しいし、株にも余裕があるのだろうか。本当のところはわからないが。

狐の孫は狐

花壇の脇ではツユクサの青い色がちらほらしているし、お隣の畑の隅にはオミナエシの黄色が。野は秋の色が目立つようになってきた。

キツネノマゴ

夏の間、休憩場所になっているボダイジュの大木の下では、あちらこちらでキツネノマゴのピンク色の花が咲き始めている。

「キツネノマゴ」と聞いて、そういえば、キツネノマゴ科のハーブ、あったよな・・・思い出そうとするが、パッと出てこない。どうも小さなヴェロニカのような植物を連想してしまっていた。

帰って改めて調べたら、そうそう、アカンサスがキツネノマゴ科だったのだ。確かに、花穂と花の咲き方は共通点もあるかんじだ。

店頭にあるアカンサスの鉢。夏の間葉が全部落ちて、新しい葉がで始めていた

ついでに、キツネノマゴも確か薬用だったはず・・・と調べるうちに、茹でて食用になるとの記述も見つけた。今度試してみようか。

朝食に香り高い浜茶を

9月に入っても暑さが厳しいので、早朝スタートによる作業パターンが続いている。

早朝から作業を始め、8時前後に軽い朝食を取る。朝食の時の飲み物も先日までは麦茶など冷たいものだったが、今朝はなぜか気分が変わってカワラケツメイのお茶が欲しくなった。この辺りでは浜茶と呼ばれる。

時々飲みたくなるので、アウトドア用のクッキングセットに小さな缶で入れている。今日は茶漉しがなかったので、シェラカップで淹れて、箸を使ってそっと漉してコップへ。

香ばしい香りが何とも秋らしい。実はこのカワラケツメイ、畑の一部で現在開花中だ。

もう10年以上前だろうか、この浜茶が好きになった頃、出雲の斐伊川の河川敷で咲いているのを見つけた。おそらく育てるのはそんなに難しくないだろうとは思ったが、なかなか種子を手に入れる機会がなかった。数年前に、たまたま訪れた庭で咲いているのを見つけ少し分けてもらい、種子を収穫できた。

次の年、ポットで育てて(今考えるとむしろ可笑しいが)、畑に畝まで用意して栽培した。雑草のようなものなので、非常によく育ったが、お茶にするための収穫はできなかった。かろうじて種子は取れたので、翌年(それが去年だ)も同じようにポットで育てていたが、零れ種で本当に雑草のように畑に広がってしまい、去年も収穫せず。収穫もそれなりにタイミングがあるし、その後、水洗いして、乾燥して炒る必要がある。この、収穫、洗浄、乾燥、焙煎というのは、それなりに手間もかかる。美味しく作られたものが市販されていることも考えると、なかなか実行に移せない。

そう考えるとハーブティーは、フレッシュならば最後の2工程が必要ないので楽だなぁと、今更ながらに思うのである。

今年は、収穫にも良い感じにまとまって生えているし、洗浄、乾燥まではなんとかできそう。今のところは焙煎が難所となりそうだ。いちどできたらそれなりに納得もすると思うが、さて、今年できるかどうか!朝食に香り高い浜茶が楽しめるだろうか?

夏菜園で最後まで残るもの

今年は種まきのタイミングが悪くてひと株しかない家庭菜園のオクラだが、先月からポロポロと収穫が続いている。

夏野菜はその年によって育てるものにも変化があるが、オクラはおおよそ毎年育てている。育てやすいし、コンスタントに取れて食卓を賑わしてくれるのもありがたいが、もう一つ理由がある。

秋に向けて育苗中のマロウやホリホックの大敵である葉巻虫の警戒アラート役だ。オクラも同じアオイ科なのでこの葉巻虫が必ずといっていいほどやってくる。

オクラとフタトガリコヤガ

野菜を育てている人には「オクラの葉巻虫」といえばそれで通じると思うが、フタトガリアオイガ(フタトガリコヤガ)という名前の昆虫だ。

外の畑のオクラにこの葉巻虫がやってくると、大抵、マロウやホリホックにも着き始める。オクラは毎日チェックしないと1日の収穫の遅れで食べられなくなるほど大きくなるので、大抵朝に様子を見る。今朝、収穫に行ったら数匹の葉巻虫がいたので、育苗中のブラックホリホックの苗を調べたらやはり葉巻虫を発見。すでに若干被害があったが、放っておいたら丸坊主になるところだった。この毛虫は素手でも大丈夫なので即退治できる。

ブラックホリホックとフタトガリゴヤガ

こういう理由もあって、オクラは毎年夏の菜園には欠かせないし、最後まで残っていることが多い。片付け忘れを指摘されても、苗のためという言い訳もあるし。