今日はテデトールで

雪こそ降らないものの、しっかり雨は降る今年の山陰の冬。お客様の庭のお手入れもこちらの都合と天気の都合が会う日はかなり少ない。

今日は稀にその両方が重なったので、市内のお客様のお庭へ。建物外側の花壇などの整備をしてから、中庭に。

この中庭は周囲を壁で囲まれているので非常に日当たりが悪い。植えるハーブも限られていて、アカンサスを主体にこれからの時期はクリスマスローズの花を楽しめるようにしてある。

その中心に植えてあるのが、サワフタギの樹だ。名前の通り沢を塞ぐ(ふたぐ)ように生えるようで、谷筋の湿ったところを好むようなのでこの場所に植えてみたら非常によく育ち、春には小さな白い花を一斉につけて目を楽しませてくれる。

サワフタギの花
春に無事にこの花が見れるように

今日しばらくぶりに見たら、日当たりが特に悪い片側半分の枝の多くに貝殻虫が付いていた。いままで一度毛虫が発生したことはあったもののほとんど病害虫に悩まされたことがなかったので油断していた。

貝殻虫

もっとこまめに観察していたらまだ少ないうちに見つけられていたかもと後悔したのだが、悔やんでも始まらない。葉も全て落ちていて好都合なので気合を入れて除去作業に取り掛かる。もちろん、農薬の類は使わないので(そもそも貝殻虫の場合は非常に効きが悪いようだし)、テデトール(手でとる)だ。誰がはじめに言い始めたのだろう。いいネーミングである。

貝殻虫の種類は月桂樹に着くものと同じようだ。

月桂樹についた貝殻虫
月桂樹についた貝殻虫

堅めのブラシでこすっても良いのだがあいにく今日は持ち合わせがなかった。

 

最初小さなポケットナイフの刃を立てて落としていたのだが、結構樹皮も削られてしまう。

貝殻虫
ナイフでこそぎ落とすと樹皮も傷んでしまう。

結局指でこすり落とすのが早いし枝も傷がつかない。テデトールが最強だ。

貝殻虫
指でこすり落とすと細い枝でも傷まない

かなり徹底的に行ったので作業予定を1時間ほど過ぎてしまったが、風もなかったのであまり寒さも感じなかった。

今年はローズゼラニウムの芽がでるのが早い

地植えのローズゼラニウムも株元から新芽を覗かせていたし、花壇ではスノードロップに続いてクロッカスも蕾を地下から出し始めていた。

スノードロップとクロッカス
スノードロップとクロッカス。よくある失敗ですぐ近くに球根を植えてしまった・・・

次回来た時にはもうサワフタギは新芽が出ているだろうか。貝殻虫のチェックがすこし難しくなるかもしれない。

この秋の蜂たち

気持ちの良い天気が続く。それでも、山陰の秋らしく、思わぬ通り雨があったりする。これから冬にむけてこのような天気が増えてくるだろう。

パープルメキシカンブッシュセイジ
鮮やかなパープルメキシカンブッシュセイジも目を楽しませてくれる

ハーブたちも、秋の装い。秋咲きのセイジ類は次々と花を咲かせている。

パイナップルセイジ
渇水で一度は株が枯れる直前だったパイナップルセイジもみごとに花を咲かせた

苗も今まで上に伸びていたものが、横に伸び始めた。

アップルミント
アップルミントは隣のポットにまで進出する勢い

少しでも日差しを受ける範囲を広げようとしている。小さい苗が季節を敏感に感じて姿を変えようとすることに感心するばかりだ。

オレガノ
オレガノも冬に備えた姿に

 

夏の盛りにちょっと無理をして剪定をしたラベンダーも順調に新しい葉を伸ばしつつあり、安心している。

グラッペンホールラベンダー
過酷な時期に剪定して少し心配だったがもう大丈夫

ところで今年は蜂の仲間を見ることがとても少ない。スズメバチもいないことはないのだが、相当少ない。いつもの年なら一日に一度ぐらいは「ブーン」という音で首をすくめることも多いので、ありがたいことではあるが。

アシナガバチに至っては、圃場のまわりじゅう探しても巣が見つかるだろうかというレベルだ。秋は知らないうちに大きな巣ができていて、しかも好戦的になっているので注意が必要な季節なのに。

もちろん、正確な原因は分からないが、例年をはるかに上回った夏の暑さが影響しているのではないかと思っている。

これもまた、推測に過ぎないのだが、アシナガバチがいないせいか、妙に今年は毛虫・芋虫の仲間を目にする。

ナシケンモン特に目立つのがこのナシケンモン(たぶん)。ミントを始め、レモンバーム、ラベンダーなど、いろいろな苗をかじっている。

ナシケンモン
ラベンダーもバリバリ

毒はないようなので心配する必要はないとはいえ、クリーニングしていて突然見つけるとさすがに少しビックリさせられる。

アゲハの幼虫
アゲハの幼虫も多い。ルーもあっという間にかじられてしまいそうだ

アゲハの幼虫もアシナガバチのターゲットかどうかは知らないが、やはり目立つ気がする。

今のところ、困るほどの被害はないが、他にも影響がないかどうかだけが心配だ。

肩こりの原因

台風が通り過ぎた今日はさすがに気温が低め。ビニールハウスの周りを赤とんぼが涼しそうに乱舞していた。きっとまた気温が上がったら涼しい山の方へ上がっていくのだろう。山から下りてきて再び会えるのは秋になってから。今から待ち遠しい。

気温が急に上がった先週後半から昨日あたりは、昆虫たちの勢いも目に見えて活発だった。アリや蝶、蜂などはもちろん、いろいろな昆虫たちが急に動き始めた感じだ。

ヒラタアブ

今日もヒラタアブの成虫が盛んにホバリングしたり、葉にとまってお尻を振ったりしていた。蜜を探しているのか、それとも幼虫のためにアブラムシがたくさんいそうな産卵場所を探しているのか・・・。

ただ、中にはあまり急に動かないでいただきたい種類もいる。一つはコガネムシの幼虫。成虫が上手に育苗ポットの中に潜り込んで産卵。孵化して、ある程度大きくなってくると土がふわふわになってくるのでわかる。その頃にはずいぶん根もたべられてしまっている。大抵1ポットに4、5匹産んでいるので、きちんと全部取り除くのが難しい。小さいうちだと全て見つけきれないし、大きくなってからでは、根が食い荒らされて苗が復活できない事も多い。

ただ、コガネムシの幼虫の場合は、大抵苗を発売したり、発送する前に発見できるのでそういう意味ではまだ良い。

問題は・・・。

ローマンカモミール
ローマンカモミールの食害

さあ、梱包をはじめようと苗を取り出したら、ローマンカモミールの葉が丸坊主。昨日準備した苗なので一晩でこんなに食べるのはその名も夜盗虫(ヨトウムシ)の仕業に違いない。ナメクジも疑われるかもしれないが、特徴的な光る粘液が残っていない。表面の土が掘られたようにサクサクしているのも動かぬ証拠だ。

このままでは発送するわけにいかず、この被害だけのために新しい苗を再度圃場にとりにいく羽目になった。

スイートマジョラム
スイートマジョラム。見事に葉が食われている

この写真はスイートマジョラムだが、朝、「あれ、まだこんなに小さかったっけ」と違和感を感じてよく見ると葉が食い荒らされている。株元をよく見てみるとなんだか柔らかそう。株元の様子はコガネムシの幼虫被害にも似ているが、彼らは葉をかじったりはしない。

夜盗虫の被害
株元がふわふわに

そっと周りを掘ってみると、

夜盗虫
まだそれほど大きくない

いらっしゃいました。夜中じゅう大宴会をして満腹で朝帰り、土の中にもぐって丸まってお休み中のようだ。

それでも、コガネムシと違って早く見つければ、また苗は育つ。少し早めに剪定したと思えばいいのだ。

それに、ほぼ単独行動である点も潔くていい。卵は固まって産み付けられるのだがその後は一人で生きているようすなので、健気さも感じられる。

もちろん、こんな大食いが集団でやってこられてはひとたまりもないので勘弁してもらいたい。

また、、今年も1件あったが、苗にそのままついてお客様のところまで行ってしまう事が稀にあるので、発送時には注意が必要だ。

ここしばらく、バジルなど、柔らかくて美味しい葉のハーブの発送が多いので発送担当は目を凝らしている。肩が痛いと言っていたのも、そのせいかもしれない・・・。

てんとう虫の春

春は駆け足でやってくるというが、もう3月という気持ちと、まだ3月という気持ちが入り混じっている。

畑の春はなおさら早い。気がつくと、雪が降る前に耕したところが一面草で覆われていた。

雑草

一方、ハーブたちはこちらの気も知らずにのんびりとしている。

ナスタチウム

冬の寒さで地上部がすべてふにゃふにゃになってしまったナスタチウムの苗も、ようやく一株、また一株と株元から新芽を出し始めてきた。株自体が傷んでいなければ今後徐々にその数も増えてくるのだろう。

そして、3月にもなると、山陰でも晴れの日が目立ってくる。その代わり、朝の気温は下がり、先日も白花クリーピングタイムがびっしりと霜に覆われていた。とはいえ、寒さには強いので全く心配はいらない。

ホワイトクリーピングタイム

昆虫たちもまだほとんど姿を見せないが、このあいだ、株分けしようとしたラムズイヤーからポトリとてんとう虫が落ちてきた。葉の陰で寝ていたのだろうか。

てんとう虫とラムズイヤーふわふわのラムズイヤーをお布団にするなんて、いい場所を見つけたものだ。

落ちてゴソゴソしたかと思っていたら、葉の付け根に頭を突っ込んでピクリともしない。まるで、朝お母さんに起こされたちいさな子供のような仕草に笑ってしまった。

本当は株を全部掘り上げて株分けしたかったのだが、自分がそうされたら・・・と考えるとしのびなくて、一部分はそのままにしておいた。またそれが広がったら株分けすればいいだけのことだ。てんとう虫の春ももうすぐやってくるだろう。それまで束の間、春の眠りを楽しんでほしい。

真冬の仕事

朝の気温、マイナス2℃。大雪とはならなかったが、気温が上がらないのと、なかなか止まない雪がもどかしい。

開きかけたローズマリーの蕾ももう一歩というところで止まっている。

ローズマリーの蕾
ローズマリーの蕾も固く閉じたまま

筋状の雲のおかげで時々晴れ間はさすので、ビニールハウスの雪は滑り落ちてくれるので安心なのだが。

晴れ間

来週もまだ雪が続くというが、2週間近くも降り続くのは珍しく、なにかと生活に支障がでる。

もちろん仕事にも差し支えが出つつある。土はまだ雪の下なので、耕したり植えたりはできないし、年末から蒔いている種子の発芽も芳しくない。この先の天気も考えながら「今日すべきことはなにか?」と考える日々が続く。

そんななか、秋に蒔いたレモンユーカリの種子が発芽を始めた。本当はもっと気温が高い時期に蒔くのだが、忘れていたため、とりあえず蒔いておけば春になって出るかもしれないというぐらいの気分だった。まさか大寒すぎのこの季節に動き始めるとは・・・。「もうすこし休んでてもらえないだろうか」と伝えたいぐらいだ。

レモンユーカリの発芽
レモンユーカリの発芽

それでも、蒔いた種子が発芽するのは嬉しいものだ。レモンユーカリの発芽は特に力強いのでなおさら見ていて楽しい。

心配と期待で毎日のように眺めていたのだが、今日、よくよく観察してみると、せっかく発芽した小さな芽が食べられていた。

ナメクジの食害

おそらくこの食べ方はナメクジかその辺りだろう。すぐに鉢の裏も調べたのだが発見できず。いくら寒くてもナメクジたちはそこそこ活動をするようだ。夜、暗くなってから動き出すだろうに、あんなに水分がありそうな体が凍らないのだろうか?朝、凍りついたナメクジがいてもおかしくなさそうなのに、いまだ見たことがない。

ま、とりあえず、早急に行わねばならない仕事は見つかった!