挿し木のタイミング

夏の終わりは、挿し木作業が多くなる。特に花が終って、少し休憩したラベンダーが新芽を伸ばし始めるので、ラベンダーの挿し木がいちばん多い。

畑の親木はまさに運を天に任せているので、適期を待って挿し木をするしかない。一方、鉢植えのラベンダーは花の後の植え替えと剪定の時期を調節する事で新芽が伸びてくる時期が少し違ってくる。

ちなみに去年は、まだ暑さが衰えないうちに新芽が伸びてきてしまい、その状態で挿し木をしたら相当失敗もあったので、今年は植え替えを遅くした。

ところがなかなか思うようにはいかないもので、今年はもう挿し木ができそうな気温になってもまだ十分に新芽が伸びてこず、困ってしまった。

それでもようやく一部のコモン系のラベンダーが良い状況になってきた。ポイントは新芽が伸びてしばらく経ち、下のほうが少し色が濃くなってしっかりしてきた時だ。あまり軟らかい新芽だと腐りやすいし、あまり固くなってしまうと発根に時間がかかる。

ラベンダー

挿し木のノウハウは人それぞれなので、かならずしもこのタイミングがベストだとは言えないけれど、秋は安定した挿し木に良い季節。試して見られるのも良いかも知れない。

夏の疲れ

暑さのピークのときにはむしろ目立たなかった疲れがお盆以降ハーブたちにも目につくようになってきた。

昨年はダイレクトな暑さで土がゆだるような感じで傷む苗が多かったものの、今年は例年のように蒸れが原因のものが多い気がする。

毎年ながらのラベンダー類のほか、タイムなどもなかには調子を崩した種類もあった。今年は、ロングウッドタイムが一気に葉を枯らし始めたのが特に目立った。もともとふわふわした葉なので蒸れには特に弱いけれど、「こんな暑いときに、こんな葉なんてつけてらるか!」って感じである。

ロングウッドタイム

毎年の事であるし、きちんと株元から新芽は出ているので、ちょっと植え替えしてやればまた機嫌を直してくれるだろう。秋の中ごろには装いも新たに元気な姿を見せてくれて欲しい。

本領発揮

挿し木や株分けの親木にする株は、大きく育つ種類や丈夫なものは畑に。寒さに弱いとか、特に湿度に弱いものなどは容器栽培で管理している。

タイムの仲間は寒さにも強いし、丈夫な種類なら地植えでも問題ないのだが、匍匐性については種類が紛れてしまうと大変な事になるので鉢植えでの管理である。

ゴールデンレモンタイムの親木は例年ならちょうど今ごろから葉が鮮やかなライムグリーンになってくる。春が近いことを感じさせる爽やかな色である。しかし今年はちょうど一番寒い時期に場所移動のためにしばらく野ざらしにしていた。普段は無加温とはいえ、一応屋根があるのだ。

ゴールデンレモンタイム

しばらくしてみてみると見事に葉が色づいていた。イエローと言うよりも茶色みさえ帯びた強烈な色。そう言えば昔地植えにしていた頃はこんな色を見せていたのかも。この株も久しぶりに本領発揮している感じで葉もつやつやと元気そうだった。

好物は最初に

食事の時、どういう順番で食べるかは個性が現れやすい。好きなものは最後にとっておく人、まず最初に好物を食べる人、バランスよく食べ進む人。特に小さな子供ははっきりしていているので見ていて面白い。

自分はどっちかなと改めて考えてみると、好物は最後の楽しみにしておくタイプのようだ。

さて、人間に比べ、虫たちははっきりしている。まず、好物から箸をのばす。

タイムの仲間はハーブの中でもあまり害虫に悩まされる方ではない。でも、夏の暑さがピークを迎える今ごろ、しばしば小さなイモムシのターゲットになる。

シルバータイムとイモムシ

似たようなタイムでも明らかに好きな順番があるようで、たとえば
シルバータイム>レモンタイム>コモンタイム
といった順番のようだ。
斑入りのもの、より柔らかいものを好むらしい。小さな苗を並べていると、おおよそ食べ尽くすと次に移っている。

また、匍匐性のものより、立性のものがいいようだ。雨が降った時など濡れるのが嫌なのか、地面から離れていた方が天敵などから逃れやすいのかそれは分からない。感心するのは卵を産み付ける親のほうだけれど。

さて、食べられてしまう側のタイムだが、ちょうど暑さや蒸れでしんどそうな思いをしている頃である。これを機に刈り込んでやるのもまたよし。丁度よい刺激になるようで、また元気に伸びてくるからあまり心配はしなくて大丈夫だ。

花の後

ポット上げが少し遅めになったワイルドクリーピングタイムが今ごろになって満開状態になった。

ワイルドクリーピングタイム

種類の多いタイム、花も白、赤、ピンクを中心に大きめの花や小さい花など幅広い。ワイルドクリーピングタイムは割と普通の方だけれど調子が良いと見た目もそこそこ良好だ。

立性タイムでも、匍匐性タイムでも、花の後の様子は種類によって様々だ。大抵、目立つ花が咲く種類は花が終ったら早めに剪定しないと花がらが目立って見た目がよろしくない。特にモロッコタイムや、イブキジャコウソウなどがそんな感じになりやすい。

ワイルドクリーピングタイムは花がたくさん咲いてもそれほど花の後が汚らしい感じにならないのは嬉しい。

その点、レイタータイムは見事である。花もそこそこ楽しめ、花の後、剪定しなくてもそれほど目立たない。グラウンドカバーとして人気が高いのも頷ける。