下向きのベクトル

朝夕だいぶ涼しくなってきて、早朝など、上着が無いと作業がしにくい気温になってきた。ハーブたちの成長も目に見えて遅くなりつつあり、こちらの感覚とずれが出てくるようになった。成長の具合が一週間前とあまり変わらず、「あれ、この前見たのはいつだったっけ?」てな具合である。

イタリアンパセリ

このイタリアンパセリも、夏の終わり頃、店頭でのお客様に、「10月には出せるようになりますよ」と返事をしておきながら、いまだ約束が果たせていない。もう一歩がなかなか成長しないのだ。

サクラタデ

一方で、以前もとりあげたサクラタデはその後、ゆっくりゆっくり開花して、この頃は更に蕾の色づきが良くなってきた。もう一月以上楽しませてもらっている。春からの成長と違って、下向きのベクトルで育つ秋の草花をもっと楽しみたいものだ。

お引っ越し

圃場の横には、地区の集会所がある。この隣に小さな水田があった。長い間耕作する人もなく、荒れ放題だったが、いつの間にかガマが生えてきたりしてちょっと風情のある場所になっていた。なかでも秋にピンク色の小さな花を咲かせるサクラタデが群生していて、目を楽しませてくれていた。

サクラタデ

ところが昨年、この水田も集会所の駐車場にするために埋め立てられてしまった。どうやら耕作放棄地で雑草も多いため、周りから苦情が出たらしい。地区で買いあげたと言う話も耳にした。

あのサクラタデがもう見られないとなると少し残念だったが、よその土地のもの。かかわり合う権利は無い。

近くに寄って見るととても可愛らしい姿の花である
近くに寄って見るととても可愛らしい姿の花である

ところが、今年、ちょうどサクラタデがあった反対側、圃場の端っこに小さな株が花を咲かせているのを見つけた。きけばサクラタデは種子で増えることはないという、一体どうやって?身の危険を感じて必死でお引っ越ししたのだろうか。まさか、道路の下を通って?。いずれにしてもちょっと嬉しい出来事であった。