二番穂

先日の休み、久しぶりに自転車に乗った。

街中を外れると田んぼが広がり、のんびりとペダルをこぐには最適だ。
刈り取られたあとの水田は、秋の終わりとともに、冬が間近なことも感じさせる。

ふと横を見ると、実った稲穂が頭を垂れている田んぼがあった。
「まだ稲刈りが終わってないんだな・・・」
と思ったが、何か違和感がある。妙に稲穂の高さが低い。

よくよく見てみると、一度刈り取った稲からまた新芽が出て実っている。それにしても収穫期と見間違うほどの成長ぶり。稲刈りが相当早かったのだろう。その後の高い気温などでここまで育ったのかもしれない。

田んぼを持つスタッフに尋ねてみると、この辺りでは「二番穂」と言うとか。また、二番穂に実った米は寒さに当たって美味しいという話も聞いた。

でもきっと収穫されずにそのままなのだろう。冬鳥たちの餌になるのだろうか。

圃場でも、ハーブの二番穂?が豊作だ。
9月はじめの剪定
9月はじめ、台風に備えてラベンダーセイジを強剪定した。

ラベンダーセイジの剪定
これだけしか葉が残っていなかったのに・・・

その時には倒れるよりはマシ・・・と、下から10センチぐらいで思い切り剪定した。

 

 

もうその時点ですでに咲いていたし、今年はそんなに伸びることはないだろうと思っていた。

ところがその後気がつくと、初夏のようにすくすく成長して、花もつけようとしていた。秋以降の気温の高さも手伝って今、見事に開花している。
ラベンダーセイジ
大抵ラベンダーセイジは背が高くなりがちで、折れたり、倒れたりしやすいのが難点だ。なので、わざと夏前に剪定して、秋にほどほどの高さで開花するよう調整してみるのだが、なかなかうまくいかない。同じような剪定をレモンマリーゴールドなどでも行うが、やはり「いい感じで咲いたな〜」と思えることはそう多くはない。

ラベンダーセイジ

今回のラベンダーセイジの咲き具合は、その点見事だった。花茎の数も抑制されたのか、花穂のサイズも大きい。こんもりと丸く育った株の形も悪くない。色の鮮やかさに至っては、夏の花色にない深みもあり、見とれてしまうほどだ。

二番穂、きっと植物が冬に向かって最後のエネルギーを振り絞って咲かせるのだろう。そのひたむきさが花の色を鮮やかにしているように思えてならない。

判断力

先のオリンピック、当店のスタッフたちも、思わず遅くまで見てしまったという者や、絶叫しながら応援する人、また全く感心のない人など様々。私自身はというと、さほどでもなくちょうど早朝に目覚めた頃に結果が出たり、クライマックスのところをラジオで知るという程度。ただ、一瞬にかける意気込み、そして、瞬間の判断力や決断力の強さは画面を通しても伝わってくるものがあった。

フェンシングなんて見ていても全く勝敗を理解することができなかったのに、スローモーションで解説されると、ごく短時間のうちにそれほどのやり取りが・・・と驚くことしきり。頭で考えている暇は無いように思うが、体が反応するのだろう。

それに比べると園芸とはなんとのんびりした営みだろうか。判断といっても、そろそろ種をまこうかとか、水やり、もう少し待とうか、収穫は明日にしよう。と言う程度である。

それでも、お客様のお庭ではそれなりにシビアな判断を迫られることが多い。先日も、春に植えたレモンマリーゴールドが元気に生長したは良いが、伸びすぎたせいか、中央部分の枝が折れてしまった。場所的にも花壇の中央部で、前の道路からも一番目立つところであるから剪定をしたいところである。しかも周囲の枝も、やや徒長気味で今後折れる恐れもありそうだ。しかし、そろそろ花芽もつきそうな気配。これが7月なら躊躇無く剪定をしたところだ。

レモンマリーゴールド
中心が折れた株(写真では分かりにくかったです。スミマセン)

お客様も今年初めての開花を楽しみにしておられるのだが、迷いに迷った上で剪定を決断。レモンマリーゴールドは生育旺盛なせいか、花があまりに早く開花したり、肥料の効きが良いところでは大きくなりすぎて倒れてしまうこともある。ここはやはりまとまった姿で開花させ、そのかわり秋遅くまで楽しんでもらうほうを選択し、思い切って刈り込んだ。

レモンマリーゴールド刈り込み後
相当悩んだ上での判断なのだが、そこは園芸。スポーツと違って緊張感はやっぱり無い。これでも、それなりに現場で鍛えられて、昔よりは決断力や判断力はついて来たように思う。昔はどれだけ優柔不断だったか・・・。改めてオリンピック選手の凄さを思うのである。

帰りの車の中はものすごい香りだった。

器用貧乏

ハーブの説明で「〜に利用できる」と言われていても、あまり期待するのは禁物である。「利用可能」であっても、必ずしも美味しいとか、卓越しているという保証は無い。

ミントマリーゴールド

ミントマリーゴールドは、香りがタラゴンにやや似ていることから「貧乏人のタラゴン」とか「貧者のタラゴン」と呼ばれ、「料理に利用できる」とされる。だが、使ってみるとやはり代用。本物のタラゴンには及ばない。

また、ハーブティーにも「利用可能」であり、以前、美味しいという話を聞いて試してみたことがある。結果はイマイチであった。飲めないことはなくとも、日々楽しく飲むという風には思えなかった。それでも、ハーブティーとしては血圧を下げたり、消化に良いという側面もあるのであまり非難するわけにはいかない。また、もしかして収穫時期や入れ方に問題があって美味しくなかったのかも知れず、また試してみようと思う。

花も控え目ながら、まずまず良く咲く。今日訪れたお客様の家では一輪挿しにミントマリーゴールドの花が活けられ、良い雰囲気だった。近縁のレモンマリーゴールドは巨大化して困ることもあるほど育つのに比べ、比較的おとなしく、この点は評価できる。あまり頑丈な様子ではないので、冬に地上部が枯れてしまうと、それなりに心配してしまう。でも春には必ず芽を出して安心させてくれる。

この花を器用貧乏と呼ぶのは失礼かも知れないが、ついつい自分と照らし合わせてそのような印象を持ってしまうのだ。