家賃の回収

鉢植えにしているラベンダーの親木は、たいてい開花が終り、少ししてから植え替える事が多い。古い枝を剪定しておくと、秋に向けて挿し木の元になる良い枝が出やすいからだ。

その後、成長の様子を見て挿し穂の採取を行うのだが、親木を置いている場所に行って見ると見かけない鉢が置いてある。ラベルをチェックすると確かにラベンダー。でも、これは明らかにスミレの仲間である。周囲に野のスミレが多いのか、時々鉢植えに混じり込む事があるのだ。

すみれ

どうやら植え替える前にすでに潜り込んでいたようで、剪定されたラベンダーの勢力が強くないうちに鉢を乗っ取ってしまったようだ。今では、まるで自分が昔からここにいたかのような態度。ここまで態度がでかいと追い出す気も無くなってしまう。いつの間にやら種子までつけて、更に勢力を拡大しようとしているほどだ。もちろん、元の住人(?)のラベンダーは姿もない。せめて家賃の代りに、花でも見せて欲しい所だが、それは春まで待たねばなるまい。

スミレの種

そういえば・・・と、ふと思い出した。

一月か二月ほど前、ある園芸店さんから日本のスミレの苗がないかと問合せが来た。詳しくは分からないが、宝塚(歌劇)で使うそうで、日本のスミレでないといけないとのこと。残念ながらうちにでは育てておりませんので。と、他の園芸店さんを紹介してお断りしたのだが、う〜ん、これでも良かったのでは?

家賃ぐらい回収できたかも。

剪定と研ぎ

梅雨が明けると、苗の剪定作業が増える。高い温度に加え、水が切れないよう、充分な水やりをするので枝と葉がぐんぐん伸びる。形も悪くなるうえに、葉が多いと余計に水が切れやすくなる。そのため、適度に剪定が必要だ。

苗の柔らかな枝と言っても、大量に剪定しているとハサミの切れが悪くなってくる。切れが鈍ると、柔らかい枝がむしろうまく切れない。研ぎが必要になってくる。

本気で刃を研ぐのなら砥石の出番だ。でも、砥石を使うと、それ相応の時間もかかる。また、携帯用シャープナーと言う手もある。これも、普段はツールボックスの底にあり、さっと取り出してと言う感じでは無い。

そんな時、活躍してくれるのが、圃場の片隅にあるトクサだ。ケイ酸を含み、木工品のヤスリがけなどにも使うと言う。苗の剪定でハサミの切れ味を鈍くする原因はほとんどがヤニ。だから、トクサで軽くこすってやると簡単に取れる。使い終ったら、苗の剪定屑と一緒に処分できる。片付けの必要もないのが嬉しい。

トクサ

このトクサ、お客様の庭の整備をしていた時、あまりに広がりすぎて片付けて欲しいとのことで引っこ抜いた。また何かに使うかもと持ち帰って植えていたのが今になって重宝し出した。ただ、場所によってはものすごく増えるので、鉢植えの身である。

残されたバイモ

昨日紹介したお庭では、他界された御主人が残された植物たちを何年も守っていらっしゃる。そのうちの一つ、バイモが一斉に開花していた。

バイモ

最初にこの庭に訪れた時には百合の一種が植えてあるとばかり思っていた。いわゆるフリティラリアの仲間である。もう十年以上前になるだろうか、まだガーデニングブームといわれていた時期、フリティラリアもいっとき人気があった。

フリティラリアは、お客様の要望もあり、育てかけたこともあったのだが、何となく性が合わないと言うか、しり切れトンボになってしまった。今でも改めて育ててみようと言う気にはあまりならないけれど、訪れたお庭で見る分にはいいね。丈夫だし。

御主人が残された山野草の周りにも、奥様がお好きなハーブが勢力を増してきた。バイモは今どういう気分でいるのだろうか。

行き場所に困る

春になると、毎年のようにビニールハウスの育苗ポットからスミレの花が顔を見せる。どこから紛れ込んだのやら。周囲に山はあるものの、種子が飛んできたとは思いにくい。

スミレ

疑わしいのは、育苗用土に混ぜているマサ土である。これは、近郊にあるマサ土採集業者から持ってきてもらっているが、採集と言っても、山を切り崩しているだけだから、表土に近い方なら種子も混じっている可能性は高い。

以前、現地に言ってみたこともあるけれど、幸い、上の方に松林があるぐらいで、雑草はあまり無かったので安心した覚えがある。実際に、あまり他の雑草が生えてきたことは少ない。

せっかくこの地へやって来て花まで咲かせたのをみると、抜くには忍びず、かといって販売するわけにもいかず、しばらくそのままで決めかねている。時々、「普通のスミレはないですか」なんて問い会わせもあったりするのでなおさら処分するのには気が引けたりする。(とは言え、販売することはありえないけどね。)

しかるべき所があれば植えてみるのも良いかもしれないけれど・・・。当のスミレも困惑しているだろう。

下向きのベクトル

朝夕だいぶ涼しくなってきて、早朝など、上着が無いと作業がしにくい気温になってきた。ハーブたちの成長も目に見えて遅くなりつつあり、こちらの感覚とずれが出てくるようになった。成長の具合が一週間前とあまり変わらず、「あれ、この前見たのはいつだったっけ?」てな具合である。

イタリアンパセリ

このイタリアンパセリも、夏の終わり頃、店頭でのお客様に、「10月には出せるようになりますよ」と返事をしておきながら、いまだ約束が果たせていない。もう一歩がなかなか成長しないのだ。

サクラタデ

一方で、以前もとりあげたサクラタデはその後、ゆっくりゆっくり開花して、この頃は更に蕾の色づきが良くなってきた。もう一月以上楽しませてもらっている。春からの成長と違って、下向きのベクトルで育つ秋の草花をもっと楽しみたいものだ。