誘引君

とあるお宅へは毎年年末までにつるバラの誘引に伺っている。今年も雪が降る前にそろそろと思っていた所、来週は雪の予報が出た。小雨がぱらつくものの、今日行ってしまうことにした。

さて、誘引も一人でするより、二人の方がなにかと作業がスムーズだ。特に板塀に固定する時など、裏からひもを通してもらったりすると本当に助かる。

だが、今日は他のスタッフはそれぞれ仕事があり、同行してもらうのも頼みにくい状況。「どうしようかな〜」と迷っていると、
「『誘引君』を連れて一人で行ってくれば」と一蹴されてしまった。

「誘引君」とは我々の間で呼ばれている、大型の洗濯ばさみ(一般には『竿ピンチ』と呼ばれる)である。「誘引君」の誕生は、数年前、やはり誘引時期のとあるお庭にさかのぼる。いわゆる、「ちょっと手を貸して欲しい」誘引作業が続き、そのたびにスタッフを呼ぶのが面倒になってきた。そのとき、ふと目に留まったのがそのお宅の物干しにあった竿ピンチ。御承諾頂いた上で使ってみた所、まことに具合が良いことに気がついた。

誘引君

はしごなどに昇る作業時も、ちょっと服の端にでも挟んでおけば良いし、鋭いバラのトゲにも文句ひとつ言わない。2〜3個用意しておけばつるバラをまとめる際にも仕事がスムーズにはかどるのだ。

以来、庭作業の際にはかかせないアイテムとなったのである。今年もこれから何度か活躍してくれることになりそうだ。