こんな場所にはこのハーブ-カーペットグラス

お盆前にメンテナンスに訪れて、以来少しお邪魔していなかったお庭の様子を見に行った。いつものことながら、久しぶりに合う庭にはドキドキする。

この日伺ったお庭には、車の中から一目見て「うわっ」と驚いてしまった。カーペットグラス(リッピア)がものすごい勢いで伸びていたのだ。

この場所は元々畑だったところだが、家の前で少し華やかにしたいというご希望から現在ハーブを中心にしたお花の庭に改造中である。

法面の雑草は昨年秋の作業スタートから結構課題となっていて、球根を植えてみたり、こまめに草取りなどを重ねていたが、畑だった際の肥料もしっかり効いているのか雑草も元気でややいたちごっこ状態が続いていた。かつては芝も張ってあったそうだが、残骸が残るのみだった。

法面とカーペットグラス
これは一昨年の5月。まだ畑の頃

そこで今年になって、土留めもかねてカーペットグラスを植えてみようと言うことになった。道路に面した東向きで日当り良好。夕方は西に山があるため4時には日陰になるという環境である。谷沿いに風も結構吹くので通風もよい。ハーブ類も元気だし、雑草も旺盛に育つ。

定植したのはやや遅く今年6月26日。量としてはこの範囲に20株ほどを株分けして定植したのである。品種は白花カーペットグラスのほう。

お家の方によると、8月まではそれほど伸びなかったのが9月になって一気に伸びてこのサイズにまでなったという。あまり伸びて来て欲しくない内側の花壇にも強力に侵入しつつあるし、道路にもおかまい無しである。

カーペットグラス
地域の生活道路なのにタイヤの踏み跡もない・・・。心優しい人々の住む地域である。

この後道路側も、お庭側もきっちり剪定した。今後はむしろ抑制に励まねばならないだろう。

せめぎあい

年間を通して管理しているお客様の庭にはかなり広いところも多い。自ずからグラウンドカバーを使うところも増える。

雑草は生やしたくないけれど、あまり手間がかかるのも・・・と言う場所にはカーペットグラスを選ぶことがある。一気に広がってくれるので比較的少ない数で大きな面積を覆うのに適している。

ただ、毎年今の時期はやきもきさせられる。寒さで枯れるようなことは無いにしても春先のスタートがやや遅い感じで、一時他の雑草に先頭を譲ることがままあるのだ。
カーペットグラス

このお庭でも、苔とカーペットグラスが拮抗している。そのうち、カーペットグラスが勢いを増して上を覆い尽くす(と信じたい)。

スタッフの一人によると、「苔をよけているような感じだ」とか。苔があると嫌がって広がらないのではないかと。そう言われればそんな気にもなってくるのだが、ここはカーペットグラスのポテンシャルを信じなければ。もともと乾燥した場所を好む植物なので苔が生えるような場所はいまいちお気に召さないのだろう。

カーペットグラス

冬は日当りの関係で苔が広がるようでも、春以降はかなりの日なたになる場所である。夏前にはきっとブワッと広がってくれる・・・はず。苔も夏はその下で涼しく暮らすのかも知れない。

控えめなグラウンドカバー

ペリウィンクルは地道なハーブである。香りもなく、葉も特に特徴が無い。古くは薬用として広く使われていたようだが、現在は開花時期はともかく、それ以外の季節は店頭でも目に留める人は少ない。

大型のVinca majorはツルニチニチソウと呼ばれ、盛大に繁茂しているのを時々目にする。近所でも法面をしっかりと覆い尽くしている。この強力な成長力のせいもあってどちらかといえば雑草のような見方をされることも多いようだ。実際に茎の伸びかたといったらビョーン・ビョーンとはねるように伸びていき、よほど注意していないと手に負えなくなるほどだ。事実、昔ハーブを育てていた貸農園で雑草化しそうになり、手を焼いたこともあった。
ペリウィンクル

それに比べ、Vinca minor・パープルペリウィンクル(ヒメツルニチニチソウ)の方はおとなしめだ。といっても芯は強いようで、寒さ暑さも何のその、少々湿っていようが乾燥していようが、ガンガンの日なたから日陰まで何とか育ってくれる。日なたでびっしりと硬めの葉を敷き詰めるように育つのもよし、日陰でしっとりと優しい葉を繁らすのもまた悪くない。ちょうど今ごろ、花時を迎え、クラシックな紫花で目を楽しませてくれる。

ホワイトペリウィンクル

また、白花の品種のホワイトペリウィンクルはさらに控え目な感じである。葉色も薄めで、育ち方によっては黄色い斑がうっすらとかかることもある。やや小さめの白い花は、楽しめる期間は短めだが、いっせいに咲いたところはなかなかよいものである。

ホワイトペリウィンクル

どちらも、グラウンドカバーとしてはかなり役立ってくれる。環境が良くつかめていない場所にとりあえず試して見るときなどおあつらえ向きなのである。