古株の受難

圃場にある一番の古株であるマリンブルーローズマリーも雪で大きなダメージを受けた。もともと、スタッフの庭にあった株で、引っ越しの際に行き場がなくて仮植えのつもりで圃場にやって来た。その時、すでに背丈近くある大きな株になっていたので移植で根付くか心配だったが、この場所が気に入ったのか、更に成長を続け、一時は直径が2メートルぐらいになってしまった。通行に支障になるわ、他の株を圧倒するわで一昨年ぐらいから大幅に剪定してダイエット。直径も半分ぐらいにはなっていたが、例の雪でぺちゃんこに。太い枝もボッキリと折れてしまった。

マリンブルーローズマリー幸い根はほとんどダメージなさそうなので、きっと春からまた元気に枝を伸ばしてくれるだろう。これを機に移動させる良いチャンスなのだが、今度移植したら本当にダウンしそうなんだよなぁ。古株の受難はまだ続く?

自粛

松江近郊でいくつかのお庭を手がけさせてもらっているが、徹底的に管理できる庭ばかりだと言うわけではない。コストの関係もあって、あまり手がかからないように作っていく庭もある。

雑草が生えにくいよう、生えてもとりやすいような土作りやグラウンドカバーの選定も大事だし、植える植物の方もあまり手がかからないものを選ぶ必要がある。かといって目を楽しませる要素も必要だ。

この辺りではローズマリーは育ちやすいしトラブルフリー、花の少ない時期に開花するので良く使っていた。ただ、我ながら少々ワンパターンにも思えるようになってきたのでこの頃は自粛気味。次に良く使ったのが宿根ネメシア。花もちょっと香るし、ほったらかしにしてもいつでも咲いている。少し手を入れれば言うこと無い。また、これも別にハーブではないのだが、エリゲロンも重宝している。

エリゲロン・プロフュージョン

何と言ったって頑丈だし、花色が変わるので見栄えがする。これも年中咲いているので花殻があっても開花中の花で気にならない。少し広めの場所でもこれを植えておけばかなり手間が省ける。市内のイングリッシュガーデンでも上手に使われていた。ただ、これも近年、この辺りでもよく見かけるようになったのでワンパターンと言われぬうちに手控えなくてはと思っている。

そのためには次の候補を見つけるのが先だけど。

三択

圃場にはピンク色をしたローズマリーが三種類ある。

花の色はさほど大きな違いはないけれど、全体的にはいずれも個性がある。なのに、どれを一番薦めるかと言われるとすぐには答えが出ない。

マジョルカピンクローズマリーは国内でも割と古くから流通しているし、花のつきも良好である。分枝が少ないのでとても特徴のある姿に育つのだが、そのため、大きくなりすぎると長く伸びた枝がたれてちょっとみっともない姿になりやすい。

マジョルカピンクローズマリー

ピンクローズマリーは分かりやすく言えば、ごく普通のローズマリーのピンク花。花付きも普通、特別よく咲くわけでも無いし、咲きにくいとも言えない。形も極々一般的だ。可もなし、不可もなし。「ピンクのローズマリーも可愛いですよね」ってぐらいにしか評しようがなかったりする。

ピンクローズマリー
ポルトグースピンクローズマリー
は全体的に繊細である。特に細身の葉がそう感じさせる。また、性質もやや弱めのように思う。品があると言えばそうなのだけれど、これもなかなか強く押せる種類でも無い。

なので、お客様に聞かれても今のところは「ま、好みですね」としか言えない。

そう言えば、昔から三択問題は苦手な方だった。決めかねるのだ。そのためなのかな?

安心できる花色

寒くなるとともに、ローズマリーが次々と開花しはじめてきた。他の花が少ない時期に長く咲いてくれるローズマリーはもともとハーブの中でも好きな方である。ここ松江あたりでは夏も冬もあまり心配なく育てられるのも嬉しい。

ローズマリーを育てはじめた頃は、色々な種類を集めるのが嬉しくて、白やピンクの花、紫の濃い種類など、なるべく変わったものを欲しがったものだ。

それは基本的にいまでもあまり変わらないのだが、かなり前から国内でも流通していたスタンダードな種類もまた良いものだと思えるようになってきた。

ミスジェサップローズマリー

例えばこのミスジェサップローズマリーや、ベネンデンブルー。特に特徴の少ない薄紫の花のローズマリーである。でも、このいかにもローズマリーらしい花色や姿がまた良いと感じるようになってきたのである。

ラベンダーならトウィッケルパープルのようにごく普通というかクラシカルな色合いをもつ種類。安心して見ていられるのである。年をとった証拠だろうか。

芋虫のボルト

どちらかと言えば病害虫の被害に悩まされることの少ないローズマリーだが、今の時期はちょっと違う。

春に開花が終わり、少し休ませてからローズマリーは挿し木をすることが多い。すると、ちょうど夏にポット上げを迎え、今はぐんぐん成長する時期になる。気温も高めで、水分も申し分なく与えていると柔らかく、美味しい新芽が次々伸びるから、蛾(蝶かも?)の幼虫の餌食になりやすい。

マリンブルーローズマリー

幸い、見つけるのは容易で、葉がかじられた跡が残る。冬ならばがっしりとした葉でなかなかかじられることも無いだろうと思われるマリンブルーローズマリーもこの有り様だ。

この中央に犯人がいる
この中央に犯人がいる

丁寧に探せば犯人の居場所も分かる。何枚かの葉を巻いてお家を建てている。たいていはこの中にいるので、すぐわかるのだが、捕殺しようと思うのなら慎重に。

突然動き出し・・・
突然動き出し・・・

俊足のスプリンターなのだ。見た目からは想像できないぐらいすばしっこい動きで下へ逃げる。地面に落ちたらなかなか見つけにくいだろう。

下に向かってパパパッと逃げる
下に向かってパパパッと逃げる

カメラで撮影するのもなかなか大変だった。