ピーマンの思い出

3年ぶりにピーマンを育てている。夏野菜の花壇には、トマト、キュウリ、ナスが常連。ピーマン、シシトウ、オクラなどはその年の気分で植えたり植えなかったり、植えるのを忘れてしまったりと言うパターンが多い。

ピーマンと聞くと思い出すのが子供の頃からの一人の友人である。とても真面目で温厚、人間的にも愛すべき人柄だったのだが、ピーマンを非常に、それはそれは嫌っていた。どうしてこいつはこんなにもピーマンを嫌うのだろうと、子供心に不思議に思っていたものだ。

実際、子供のころからピーマンが大好きというのは珍しいように思う。自分も大嫌いではないにせよそれほど喜んで食べる野菜ではなかった。それでも一度美味しさを経験すると評価は一転するものだ。

これももう20年近く前になるが、実家が焼き肉店をしている知人に美味しい食べ方を教えてもらった。といってもいたってシンプルである。ピーマンを生のまま半分に割り、種を出す。たれを付けた焼き肉を乗せてピーマンごと頬張るのだ。ただし、新鮮で美味しいピーマンに限る。ピーマンがいくつあっても足りない。

ピーマン

さて、自分でピーマンを育ててわかったのはその造形の魅力的なことだ。静物画のモチーフに使われるのも納得である。そして枝になっている姿がまた良い。朝方上がった雨粒を光らせ、今朝のピーマンはなおさらいい感じ。できればこのまま鑑賞用として置いておきたいほどであった。

ダイヤーズハーブ

ハーブの用途は様々あるが、一つの大きなカテゴリに染色がある。食用にしたり、ハーブティーにするのに比べある程度のノウハウと器材も必要なため、初心者にはやや敷居が高い。そういう自分も染色についてはほとんど素人同然である。

ダイヤーズグリーンウィード

圃場の横で今年もダイヤーズグリーンウイードが咲き出した。名前の通り、染色用のハーブである。マメ科で成長が速く、病害虫も少ない。どこでも良く育つ。この株、実は昨年の秋、畑の構成を変えるため掘り上げて移動させた。マメ科のものは移植を嫌うものもあり、大株だったので少し心配したが、移植されたことも気づいていないかのような成長ぶりを見せた。

大きく育ち、花も良く咲くので黄色が好きなひとや、大きな庭、そしてもちろん染色をする方にはおすすめだろう。残念ながらここではその実力を発揮できずにいて少々可愛そうである。

ところで、かつて、染織家の方からハーブや野草で染めた毛糸で編み上げた見事なマフラーをいただいたことがある。何色もの色が使ってあるのに目に優しく、見ているだけで楽しくなる作品だった。私のようなものが普段おいそれと首に巻けるようなものではない。いつかこのマフラーを巻いて颯爽とでかける日のために大事にとってある。そんな余裕が出来る頃には染色にも足を踏み入れることができるかも知れない。染色用ハーブにもそれまで待っていてもらわねば。

次の方にお譲りください

ロケット(ルッコラ)の莢が付きだし、ようやく熟したので刈り取りをした。早く片付けて、次の作物に向けた準備をしたかったので、ここまで待つのは結構じれったかった。

ロケット(ルッコラ)の莢

そのうえ収穫しようにも雨模様の日が続き、乾くのを待たざるを得なかった。また、莢に黴が生えたようになっていて中の種子の状態が心配だった。幸い開けてみると種子に問題なく、充実しているようだ。

ロケット(ルッコラ)の種子

ところが、先行して熟した種子が落ちたのか、元あった畝にもう早速こぼれ種の芽が出ていた。よほど気に入ったのか、この場所を譲りたくないようだ。

ロケット(ルッコラ)のこぼれ種

たいてい、このあたりでは、ロケットは秋のお彼岸少し前ぐらいに蒔くと丁度よい。秋の終わりから冬〜春先まで長く楽しめ、害虫の被害も少ない。今からでは虫たちの格好の餌になることは間違いない。

ネットを張って防ぐことも考えられる。ただ、少し心配なのは連作障害である。ロケットの連作障害はあまり聞いたことが無いにせよ、できれば同じ場所は避けたい。心を鬼にして耕してしまうか・・・それとも研究のつもりでこのままにしておくか。悩むところである。

朝のディテクティブ

病害虫も、その原因や正体が分からないときは何かと不安である。特に園芸を始めた頃は毎回新しいトラブルとの遭遇でどきどきしっぱなしだった。それでも一つ一つ経験値を上げていくことでいつのまにか少々のトラブルには動じないようになってくる。

アジュガ・バーガンディグロウ

今朝も苗を見ているとアジュガ・バーガンディグロウの葉が半分、かじられたようになくなっていた。時期的にはナメクジや、そろそろバッタの被害も考えられるが、ナメクジなら跡が残っているだろうし、バッタも相当大きいサイズでないとこんなに奇麗に食べない。今見かけるのはまだ小さいバッタなので葉の表面に所々穴が開くぐらいだろう。

ヨトウムシ

さては・・・と株元を見てみると、いたいた。ヨトウムシである。カラフルなサラダを腹いっぱい食べてお休みのところ申し訳ないが、退場していただく。アジュガ(アユガ)も普通のreptansは濃いブロンズパープルのうえにごわごわしてあまり美味しそうに思えないが、バーガンディグロウはヨトウムシでなくたってサラダにして食べたくなるぐらいだ。

こっちは普通のアジュガ(アユガ)レプタンス
こっちは普通のアジュガ(アユガ)レプタンス

実際に葉を食べている姿はあまり見かけない。たいてい目にするのは食後、腹いっぱいになって株元で横になっている姿である。なおさら小憎らしい。

お客様と話をしていると相当憎んでおられる人もいるようだ。よほど悔しい思いをなされたのだろう。幸い、この圃場ではあまり被害が大きくならず、特に対策はしていない。食い残しの葉を見つけると株元を探す程度である。

空に手を伸ばし

菜園のキュウリがたいへん気持ち良く伸びている。例年この畑ではキュウリの成育が非常に良い。昨年までは4株ぐらい植えていたのだが、ピークになると収穫しきれず巨大になってしまうので今年からは2株だけにした。

先月終り頃からは収穫もぽつぽつ始まり、現在毎日2,3本。丁度良い収量である。しかし、ここにきて一気に花が咲くようになった。この花が全て実になると・・・と考えると毎年ながら不安である。
キュウリ
株自体の成育もまだまだ続く感じで、追肥もしないのにどんどん上に伸びようとしている。もうこの先は何も無いのに空にまで手を伸ばそうと懸命だ。
キュウリ
キュウリの支柱は、例年台風などで倒れてきた経験から、今年は枠になるメイン3本の支柱をビニールハウス用のパイプで組み立て、それに竹やプラスチックの支柱、ひもなどを使って垣根をこしらえた。これも数年前までは市販のキュウリネットを使っていたのだが、有る年、草刈機で引っかけてしまい、たいへんな目にあった。また買い直すのも癪なので以来自作である。片付けもこちらの方が簡単で、そのまま他の秋野菜に使う。ズボラな自分には向いている。

ところで開花数を調整してなるべく細く長く収穫できるようにする方法はないものだろうか・・・。今度菜園の大先生である伯母に会ったら訊ねて見ることにしよう。