庭土今昔

今日はお客様の家へ庭仕事。庭の縁に沿ってモッコウバラの定植作業だ。

はじめての作業を行う庭は、勝手もわからないことが多くいろいろ気を使う。さらに新築だとあまり周囲を汚したくないし、第一土の問題がある。今までの経験上、近年建てられた家の場合、大抵は庭土30cmより下はガッチガチの土、または砂利のことが多い。現在の家は基礎の関係からしっかり下が固めてあるのだろう。ただ、それならまだいい方で、数年前作業した、とあるモデルルームの庭なんて10cm掘ったらコンクリートや鉄筋等建築廃材が山ほど出て来て閉口したことがある。

それに比べ、40年ぐらい前に作られた家の庭は良い土が入れてある場合が多い。まっさらなマサ土が1メートルぐらい掘っても入っていて感涙にむせいだこともあるぐらいだ。(水はけが良すぎて、肥料が抜け気味なのは仕方ないけど)

幸いこちらのお庭は、事前に確認したところ30cmほどは良好な土、その下は石まじりの固い土だったが、なんとか掘れそうだ。

穴掘り開始!
穴掘り開始!
30cm。ここまでは楽勝。問題の固い層が現れてきた。
30cm。ここまでは楽勝。問題の固い層が現れてきた。

シャベルでは限界があるので、固い層からは鉄棒で突き崩しながら掘り進む。風が強いところなのでなるべく根が深く行くようにしっかり掘りたい。

鉄の突きん棒で崩しては掘り出し。明日は筋肉痛か?
鉄の突きん棒で崩しては掘り出し。明日は筋肉痛か?
ようやく目標の深さに近づく。
ようやく目標の深さに近づく。

なんとか80cmぐらいは確保できたので、固い土や石は取り除き、柔らかな土と肥料も加えて土作りを行う。

ここからは楽しい作業。鼻歌まじり。
ここからは楽しい作業。鼻歌まじり。

ちょっと苦労したが、しっかり植え込むことができた。

定植完了。あとは支柱を立てて完成。
定植完了。あとは支柱を立てて完成。

(おまけ)
仮止めかなにかの釘と、なぜか球根?????がひとつ出て来た。

釘と球根?を発掘。
釘と球根?を発掘。

誘引君

とあるお宅へは毎年年末までにつるバラの誘引に伺っている。今年も雪が降る前にそろそろと思っていた所、来週は雪の予報が出た。小雨がぱらつくものの、今日行ってしまうことにした。

さて、誘引も一人でするより、二人の方がなにかと作業がスムーズだ。特に板塀に固定する時など、裏からひもを通してもらったりすると本当に助かる。

だが、今日は他のスタッフはそれぞれ仕事があり、同行してもらうのも頼みにくい状況。「どうしようかな〜」と迷っていると、
「『誘引君』を連れて一人で行ってくれば」と一蹴されてしまった。

「誘引君」とは我々の間で呼ばれている、大型の洗濯ばさみ(一般には『竿ピンチ』と呼ばれる)である。「誘引君」の誕生は、数年前、やはり誘引時期のとあるお庭にさかのぼる。いわゆる、「ちょっと手を貸して欲しい」誘引作業が続き、そのたびにスタッフを呼ぶのが面倒になってきた。そのとき、ふと目に留まったのがそのお宅の物干しにあった竿ピンチ。御承諾頂いた上で使ってみた所、まことに具合が良いことに気がついた。

誘引君

はしごなどに昇る作業時も、ちょっと服の端にでも挟んでおけば良いし、鋭いバラのトゲにも文句ひとつ言わない。2〜3個用意しておけばつるバラをまとめる際にも仕事がスムーズにはかどるのだ。

以来、庭作業の際にはかかせないアイテムとなったのである。今年もこれから何度か活躍してくれることになりそうだ。

都市鉱山

昨日、スタッフが苗の剪定をしていたところ、妙なものを見つけたと言うので見せてもらった。モッコウバラの苗に付いていたサナギ。なんと、棘のようになっている所が金色に光っている。金属のような輝きである。雰囲気としては金色のハンダ付けをしたような感じだ。

サナギ

昨日はまだぴくぴく動いていたという。はっきり言ってサナギがぴくぴく動いている姿は実に気持ち悪い。この姿でぴくぴく動かれては相当不気味に感じたかも知れないが、今日はもう静まっている。

体の中のどういう成分をどうやって使うとこんな光沢が出せるのだろう。「まさか、金じゃないよね。もしかしてレアメタルだったりして?」としばし話が盛り上がった。都市鉱山と呼ばれる携帯電話よりも量的には多そうだ。

正体をすぐに調べてみたい所ではある。ネットで検索をかければすぐに分かると思うが、敢えて調べずにしばらく観察してみようと思う。

追記

後に分かったのだが、ツマグロヒョウモンのサナギだった。残念ながら羽化は見逃してしまっていつの間にか抜け殻だけが残っていた。

ちょっとこの頃、昆虫図鑑と化しているとの指摘があったので、来月からはちょっと気をつけます。

やっぱり悪いヤツ

お客様のお庭に行くと普段お目にかかることのない昆虫に出会う。別に遠方へ行くわけではなく、同じ市内であっても環境や植生が違うとそこに住む昆虫の違いがよくわかる。

今日もとあるお庭へバラのお手入れに伺うと、タンポポの綿毛を背中に背負ったような小さな虫が葉にいた。きっと今の時期バラの葉にいるぐらいだからきっと悪いヤツなんだろうなと思ったが、なかなか愛嬌がある。

ベッコウハゴロモ

「でも、こういうヤツに限ってタチが悪かったりするんだよね」とスタッフ。

ベッコウハゴロモ
愛嬌のある正面

あとで調べてみると「ベッコウハゴロモ」というヨコバイに近い昆虫の幼虫だった。枝から汁を吸うと言う。やっぱり悪いヤツだった。葛のあるところに良くいるそうなので、圃場の周りでみてもおかしくないはずなんだけど。小さいからね、普段目に留まっていないのだろう。バラの葉を一枚一枚チェックするようなつもりで葛を見ればきっと見つかる。

しかしこの毛は一体何のために?ピョンと飛ぶので、そのあとこの毛でふわりと浮かんだりするのかなぁ?

スズメの朝食

気温が低めに推移した初夏までは害虫の類いも少なくて大変助かっていたが、ここに来て、今までの遅れを取り戻そうとするかのようにいろいろな害虫が姿を現してきた。特に毛虫。

このお庭でも、白花モッコウバラにアメリカシロヒトリが襲来。見ているとものすごい速さで葉を齧っている。

アメリカシロヒトリ

さらに、ツルバラにはリンゴドクガ。これは初めて見た。ドクガの名が付いていても毒は無いと後で知ったけれどさすがに手を出す気にはならなかった。

リンゴドクガ

普通アメリカシロヒトリは大発生し、甚大な被害をもたらすと聞く。しかしこのお庭でも探しに探してようやく5匹ほど発見。オーナーにお話を聞いて見ると毎朝スズメが周りを飛び回って大騒ぎしているとのこと。おそらく相当数が雀に食べられているのではないかと言う結論となった。リンゴドクガも一匹のみ。これもスズメのエサになっているのだろうか。スズメたち、明日の朝食を横取りされて今ごろおこっているかも知れない。