地下足袋の進化

私は小さい頃から足がでかい。小学生の時、指定の体育館シューズのサイズをオーバー、特別にバスケットシューズを履く許可を与えられていたぐらいだ。

大人になってからはさすがに足の成長はストップしたようだ。それでも普段履く靴は29cm。デザインや価格で靴を選ぶことはできない。まずサイズがあることが第一条件になってしまう。幸い、海外には大足の方も多いようで、通販で頼めばなんなく手に入るようになった。有りがたい世の中である。

ただ、特殊な靴になるとそうはいかない。長年の悩みだったのが地下足袋だ。土の上で様々な作業をする時にこれ程よいものは無いと思う。防水性、防護性にはやや問題もあるにせよ、軽く、安く、洗える、そして親指が離れていることの気持ち良さは何ものにも替えがたい。足場の悪いところでも踏ん張れることも嬉しいポイントだ。

ただ、残念なことに、サイズがなかった。近所の作業用品専門店でも28cmどまり。なんとか足は入るものの長時間の作業では親指と足の甲に負担がかかり、痛くなってしまう。それでも我慢して履いていた。

ところが先日、スタッフが、良いものがありますよと推薦してくれたのがこれ。お祭り用の地下足袋だ。堂々の29cm。

地下足袋

地下足袋

しかもエアいり!である。作業用ではなく、お祭り(初心者用)と言うのが少し気にかかるが、裏のパターンも割としっかりしている。履いてみると、やはり充分な余裕が有るサイズと言うのは良いものだった。

驚きのエア入り
驚きのエア入り
一般の作業用よりもかえって凝ったブロックパターンだったりする
一般の作業用よりもかえって凝ったブロックパターンだったりする

このように苦労させられるデカ足、たまには良いこともある。水泳は結構速いのだ。早い話がペンギンなのである。

夏休みの工作(後編)

(前回より続く)

(話は昨年夏のこと)レザークラフトなんてするのはもちろん初めてのことである。ワーキングブーツの革の部分の縫い糸がほつれてきたのを直したりしたことは以前にもあった。しかし、裁断したり、正確に縫い上げる方法は知らなかったので、まず初心者向きのハウツー本を手に入れた。

読んでみると、なかなか楽しそうである一方、それなりに道具を揃えないといけないようだ。幸いにネットでいくらでもショップがあるので基本的な用具と材料はすぐに揃えることができた。

また、もともと参考になる作品が手元にあるので、これを元に型紙を製作。元の革の種類は忘れてしまったが、良く使われているサドルレザーというのを試してみることにした。

必要な皮を切り出して、ハサミを入れる本体のところにとりかかったところで秋に突入。また忙しくなって、一年の間そのままになっていた。

この一年、劣化はどんどん進み、時々部分的に補修しながらだましだまし使ってきて、もう限界を迎えた。夏前には作業中にかがんだりするとハサミが落ちてしまうこともあった。

お盆前の庭作業も一段落した頃から、再び製作にとりかかった。

初めは縫い上げるのに力が入り、手が痛くなってしまったりもしたが、バイスで革を固定することを覚えたら縫うのが非常に楽になり、どんどん作業は進んだ。自分が使うので基本的に見た目はどうでも良い。少々ゆがんでも構わない、なるべく早く完成させることだけを考えて取り組んだ。途中経過を写しておくべきだったのに、それさえも忘れていた。

ハサミケース

3日後、ほぼ完成。少々ゆがんでいたり、縫い目が汚くなっているのは御愛嬌。使っているうちにそんなことは全く気にならなくなるだろう。

ハサミケース

オリジナルと比べて、落下防止コードをつける為のハトメリングがついていることと、ナイフと鉛筆入れの位置を反対にしたのが違うぐらいで、基本的にはほとんど変わりがない。あらためて、元の作者の苦労をねぎらい、その創造性に敬意を払いたい。それにしても、オリジナルも最初は同じような明るい色だったように思う。まさに煮しめたような色に変わってしまった。今まで御苦労さん!

ハサミケース

ツール類を装着すると、なおさらしっくりする。仕事にも張りがでそうである。真新しい色はすこし身に付けるのが恥ずかしいくらいだが、数年後にはまた土と水と汗にまみれて、良い色になっていることだろう。

夏休みの工作(前編)

例年、真夏の日中はビニールハウスの中での作業は危険なので、昼休みは少し長めになる。その時間を利用して昨年、傷んできたはさみケースを作り直し始めた。

今まで使ってきたはさみケース、使いはじめてかれこれ10年以上になる。手づくり品である。作者は何と当時中学生の男の子。当時、若き友人の一人であった彼はレザークラフトに関心を持っていた。そこで、材料だけ用意してやって、大体の希望を伝えた。

それまでは市販のはさみケースを使っていた。しかし、量販品のため、使っているはさみにしっくり来ない。また、作業中に良く使うラベルと鉛筆、そして小刀は常に身に付けておきたい。そんな希望をかなえるはさみケースなど売っているわけが無いのでどうしてもオーダーメイドに頼らざるを得なかった。

しかしながら専門の業者に頼むとなると、コストがべらぼうにかかりそうで諦めていた。そこに現れたのが彼である。レザークラフトも将来の夢の一つだというので、「まず、作ってみろ」とけしかけたのである。

しばらくしてでき上がってきて驚いた。あらを探せば限りなくあるが、頑丈な縫製といい、必要充分なデザインといい、初めて作ったにしては見事なものだった。

これが無いと仕事にならないハサミケース
これが無いと仕事にならないハサミケース

その後愛用し続け10年以上、水と泥と汗にまみれ、革もボロボロ。手入れもしなかったのも災いして所々破れてきた。

鉛筆入れは昨年修理したので新しい。下のナイフ入れはちぎれそう
鉛筆入れは昨年修理したので新しい。下のナイフ入れはもげかかっている
ハサミを入れる部分も革が破れてしまった
ハサミを入れる部分も革が破れてしまった

残念ながら今となっては製作者とも連絡が取れなくなってしまったので、自分で所々修理してきたが、さすがに限界がきた。そこで昨夏、材料と道具を揃え、作り直すことに着手したのである。(続く)

土との相性

いよいよ7月も終わろうというのに、一体夏はどこへ行ってしまったのか。

湿度も高く、日差しも少ないので、苗のポットにも例年になくうっすらとコケが生える。それ自体が苗の生育に大きく影響を与えることはないのだが、土の表面が黒っぽく見えるため、水が充分足りているように見えてしまう。そのため、つい水やりの際に見逃してしまい、次に見た時には苗がぐったり・・・なんてことが良くあるのだ。

もちろん、出荷する際にも見栄えが悪いので、取り除く作業が必要になってくる。手で取り除くのには限界があるので、ある時、金属製の移植用ナイフ(とでもいうのかな?)を見つけて使ってみた。

買う時には、「これはぴったり」と思っていたのだが、実際に使ってみるとどうも使い勝手が悪い。刃の部分が硬いので、土の深いところまで削れてしまう。握り具合も良くない。夏は熱く、冬は冷たくて、手に取るのも嬉しくない。便利かなと思った反対側のピンセットも邪魔なだけであった。

へら

あまりの使い勝手のひどさに呆れ、しばらくして竹でへらを作ってしまった。素材はすぐ脇の竹林から調達。適当なサイズに切って割り、へら状に整形。ついでに火であぶって先端部に緩いカーブをつけた。

目的に合わせて作ったので、使い勝手の良さは折り紙付き。何と言っても竹の微妙な柔らかさが、苗の株元を掃除するにはぴったりなのである。土との相性が抜群で根も傷めにくい。

へら

金属製の方はあっという間にお役御免となってしまった。

毎日使えばすぐに駄目になるのかなと思っていたのに、一年以上使っていてもあまり傷んだ様子も無い。竹って丈夫なものだと改めて感心している。

カスタマイズ

圃場の日々の作業でなくてはならないのが一輪車。いわゆるネコ車である。当然、通称は「ネコ」。
「おーい、ネコ持ってこ〜い」
となるのである。

畑の用土や、植え替えで出た古い土、ついでに大きめの道具などを運ぶのにも欠かせない。

ところが、上部の土を入れる皿の部分は案外やわで、きちんと手入れをしないと数年で錆びて穴が開いてくる。初代のネコ車も相当酷使したのであっという間に穴が開いてしまった。それでもフレームや車輪はしっかりしているので2代目を購入した時に少し改造して苗を運ぶ専用車にしたのである。

ネコ車

角材で土台を作り、その上に竹を割ったものを渡して支えにした。いまでは苗などを運ぶアルミのネコ車も市販されているがこれで充分である。

さすがに数年使うと、上部の竹が端から折れてしまい、そろそろ修理が必要となってきた。

本格的な夏になったら、徹底的に直してやりたいと思っている。夏の宿題がまた一つできた。フレームも所々錆びているので錆も落としてやろう。ついでにチェレステカラーに塗ってやって、ビアンキのバーテープでもハンドルに巻いてやるのは・・・さすがにやりすぎだろうか。