注意喚起無用

秋はカメムシをよく見かける(今年は夏前から多かったが)。スタッフの多くが見つけると大騒ぎをするカメムシだが、自分の場合はたいして気にならない。

むしろ、カメムシは背中の模様や色が変わったものが多いので「どうしてこんなデザインなんだろう」と感心してじっと観察したくなる。

手を出さない限りは臭い匂いを出すこともない。動きもゆっくりなので観察もしやすいし。

この、名前を知らないカメムシも一体誰のために・・・と思えるぐらいオシャレしている。

手足や触角までお揃いの色をつけているのがまた素敵だ。この目立つ色やデザインも、むしろ目立つことで「食べないほうがいいよ」と注意喚起をしているとも言われる。

だが私は食べてしまったのだ。

もう20年ぐらい前だろうか、仕事に行ったお客様の庭でブラックベリーが鈴なりで、お客様にも勧められて大喜びで口に運んでいた。

調子に乗って食べていたら、突然口中に広がる違和感と口から鼻に突き刺さるような異臭。果実と一緒にカメムシを食べてしまったのだ。すぐに吐き出したが後の祭り、しばらく口の中に嫌な匂いが残り続エkタ。

いまでも、どうして気がつかなかったのか不思議だ。

まあ、こんなことがあったのでカメムシの匂いが少々手につこうが気にならないのである。

口に放り込まれたカメムシも「どうしてこんなに目立つ格好をしているのに!」と憤慨したことだろう。

気楽ではいられない

秋から冬のはじめの季節は一年のうちでも最も気楽な季節だ。

植物の成長も徐々に穏やかになってくるし、害虫の活動も目立たず、病気も少ない。雪が降るまでは天気の心配もそれほどない。そのため、ちょっと気が抜けるシーズンでもある。

少し前はそうだったのだが、ここ数年、もちろん今年も暖かい分、害虫の活動が収まらない。

今日も苗のチェックをしていたらドッグローズの葉に大きな穴が。食べ方を見れば大体予想もつく。チュウレンジハバチの幼虫だ。蛹で冬をこすというが、今頃から孵化してまにあうのだろうか。遅れを取り戻すためにどか食いをされても困るので、しばらく格闘することになった。

先日、スズメバチのことを書いたが、アシナガバチも数が少ないように思える。捕食者が少ないことも影響しているのだろうか。

今後、アシナガバチまで少なくなって、芋虫、毛虫の類が増えるようではそれこそ気楽ではいられなくなりそうだ。

条件は5センチ

気温も低くなって、徐々に生き物たちの活動を目にする事が減ってきた。

先日も、スタッフとの会話で、「今年はスズメバチとの遭遇が少ない」という話になった。たしかに、例年ならばこの時期、1日一度ぐらいはスズメバチの急接近で身を屈めることがあるのに、今年は夏以降、ほとんどそういった場面がない。

暖かかった分、これから頻繁になるのかもしれないが、スズメバチまでに影響がある暑さだったとしたらむしろその方が恐ろしい。

さて、そんな暑さでも、暖かい秋でも関係なく、いつもの年のように徘徊しているのがナメクジだ。本当に強い生物だと思う。

さて、長年、実害が大きかったナメクジ、いままで色々な対策を打ってきたが、明らかに効果があると思えるものがなかった。

だが、今年は一歩前に進む事ができた。

とあるサイト(たしか、何かの論文だったと思うが)で、極端に大きくないナメクジならば、5センチ以上の銅板を越える事ができないという情報を見つけた。

銅の成分を嫌うというのは以前から耳にしていたが、鉢の周りに銅線を巻いたりしてもほとんど効果がなかったので、あまり当てにしていなかった。

また、5センチの幅という条件は、現実的に実行しにくくて試してもみなかったのである。銅板も近年値上がりしてかなり高価だ。5センチの幅を何かに巻きつけるなら、相当量が必要となる。

5センチをまたがらせなければいいのでは?と閃いたのが夏前。早速試してみた。

対策をするのは、小分けにした用土が入れてある収納ボックスだ。どうやら用土の肥料(糠が含まれるので発酵臭がするのだろう)を求めてやってくるようだ。

実際、朝、作業をしようとしてふたをめくると、このふたのところに少なくて数匹、多い時は十匹近いナメクジがいることもあった。

特にこのビニールハウスは近くに水路があって湿り気も多いということでナメクジも多いのかもしれないが、毎朝作業の前にナメクジ退治が必要で少しうんざりだった。

そこで、ベタ置きにしていたボックスに10センチほど高さの足を木材でつけ、それに電源ケーブルから取り出した銅線を巻いてみた。まあ、半信半疑だったのだが、これが非常に良い効果を出した。以来、ナメクジの侵入は皆無である(一度だけ入っていた事があったが、ボックスの横に他の袋か何かが接触していたためだった)。

もちろん、地植えの植物や、一番被害が深刻なポット苗への被害については、銅という素材を使うにしてももっと他の形を取る必要はあると思うが、すくなくともナメクジに対して有効な手段が見つかっただけでもよしとしたい。

ナメクジに困っている方は少なくないと思うので、少しでも参考になれば幸いだ。

日曜日の連呼

よろしくお願いします!よろしくお願いします!の絶叫も聞こえなくなり、静かな日曜日だ。

日曜日といっても、普段は朝から草刈機の音が聞こえてきたり、トラクターのエンジン音が響いたりして案外賑やかだが、今日は朝から時々小雨も降り出したせいか周囲もひっそりとしている。

ポツポツと雨が降り出すなか、まだ伸び続けているネトルの刺し芽作業を行った。焦ってすると思わぬところに棘が当たり、しばし辛い思いをする事になるので、この作業は静かに行うのに限る。今日のような日にぴったりだ。

挿し穂を取ろうと、枝を摘み上げたら葉の上に芋虫が。でもなにか違和感を感じた。

ネトルのような棘のある草も、食草にしている昆虫はいて、葉を巻くようにして食害する。ただ、今の季節は稀だし、何か違う・・・。

この違和感は何だ?と頭を捻ったら、これはマロウ(アオイ科)とかにつく芋虫だということに気がついた(フタトガリアオイガである)。

ネトル(イラクサ科)も食べたっけ?と考えたら、そうだ、昨日ちょうどこのすぐ横にあるオクラを片付けたのだ。仕方なく、横のネトルに移動したが、食べれなくて困っているのだろう。どうりで、葉を食べた形跡がない。

この幼虫、今後どうするのだろうか。お隣の畑にある芙蓉が一番近いが、それでも10メートルはある。

「わたしを芙蓉におくりだしてください」と言われている気もするが、国政までの距離よりもきっと遠い。いままで、大事なオクラの葉を好きなだけかじるだけかじっていて、何か役に立つ働きでもするのなら考えないこともないが。

「よろしくおねがいします」「よろしくおねがいします」・・・いまさら連呼されても困る。

持ち家あり

晴れだ雨だと言ってはおられない農作業なのだが、雨の日はやはり晴れの日よりもキビキビさに欠ける。

普段はスッとできてしまうことがどうしても億劫に感じがちだ。早く片付けておくといいのだが・・・と思うビニールハウスのパーツなども、つい「後でいいか・・・」などと考えてしまう。

一方で、そういう雨の日の方が元気がいいのがカタツムリ。

普段はそれほど目にする事はない。もちろん、いることはいるのだが、ナメクジに比べると圧倒的に見かける頻度は少ない。

多分ハーブも食べるだろうけれど、ナメクジのようにハーブを盛大に食害しているのは見たことがない。

スタッフと休憩の時、「なんで同じようなものなのに、ナメクジは嫌がられて、カタツムリはそれほどでもないんだろう」という話題になった。

・うじゃうじゃいないので、あまり悪さが目立たない

・殻があるので、つかみやすい

・ナメクジは普段隠れて、夜に活動するので陰湿なイメージ

・カタツムリは歌があるから

などなど、理由はいろいろありそうだ。

大昔、雑誌か何かで、「やっぱり持ち家がある方がモテるでしょう」というのもあった。

でも、家があることで、気軽に移動できないのはカタツムリも人間も同じように思える。

とはいえ、すくなくともローンはなさそうなのは確かである。ローンも組まずに持ち家が・・・庶民から見たら羨ましい限りである。