哲学的な番人

スタッフと話をしていて、「今年はタネバエが少ない」という話題になった。例年、春先にはタネバエが発生する。ネットで検索すると、幼虫は幼根を食害する大害虫のような説明が多い。幸いに、タネバエによる食害はあまり見受けられず、むしろ我々が鼻に吸い込んだり(ギョエッ)、まとわりついたりして気持ち悪いという害の方が目立つ。

また、未熟な有機物を多用すると発生するとも言われているようだ。しかしこの点もあまり当てはまらず、とにかく春の一時期のみ発生しては消えていくというのが毎年のパターンになっている。とにかくしばしの間だけ我慢すればよいのだ。

それが、どうしたことか今年は例年よりはるかに数が少ない。自分は気温のせいだと思ったのだが、スタッフ曰く、「カエルが多いのでそれが食べているのだ」と、分析していた。

アマガエル

言われてみれば確かに苗のポットの周りで小さなアマガエルを良く見かける。といっても、前にも述べたように実際に食べている姿は見ない。

それでも、哲学的な顔をして喉を動かし、じっと座っているだけで何となく頼もしい番人に見えてきた。健闘を祈る。

溝掃除とサンショウウオ

毎年恒例、春の溝掃除を行った。

ビニールハウスの横には用水路がある。周囲の田へ水を供給する用水なので田植えシーズンの前にきれいにすることにしている。日差しも暖かく、気持ちの良い風も吹いているので絶好のコンディションだ。

ただの溝掃除なら苦痛なだけだが、ここの溝掃除の場合、少し楽しみもある。毎年1,2匹のサンショウウオと御対面できるのだ。

2本の溝のうち、一つは溜池からの水が引かれている。こちらにはまずいない。もう一つの溝は、山からのわき水が流れていて、たいていこちらの溝で見つかる。

今年も無事一匹を見つけることができた。(カスミサンショウウオと言う種類かな?たぶん)おまけに卵も発見。今までカエルの卵とばかり思っていた。サンショウウオのタマゴだったとは・・・
サンショウウオ
溝掃除の間しばらくどいてもらうためにバケツに移していたら孵化してしまった。
サンショウウオ2
ついでにヨシノボリの仲間も発見。
ヨシノボリ
溝掃除も無事終わり、少し上流の涼しそうな陰ができているところへ戻してやった。

来年もまた彼らに会えるような環境を保ちたいものだ。

寝ぼけ眼

本格的な寒さの後、まだ落葉していなかったビニールハウスの親木も葉を落としたのでようやく冬の植え替えができるようになった。

ハニーサックルの植え替えをしようと株元の雑草を取り除いていたら何やら手にぐにゃりと当たるものが。もしやと思って見てみるとやはりカエルだった。
カエル
気持ち良く寝ていたところを起こされて、少々つついても全く動く気配が無い。カエルというと昔一緒に働いていたスタッフはとんでもないカエル嫌いだった。小さなアマガエルでも見つけた日には3メートルぐらい後に飛び退くほどだった。

自分はと言えばカエルは好きでも嫌いでも無い。小昆虫を補植してくれるというので、暖かい季節にはしっかり働いてもらいたいところだが、実際に食べているところを見たことが無い。かといって毛嫌いするほどでも無い。暑くてかなわない時期に雨の前に軽やかに鳴いてくれるのは嬉しいが。

中華料理で出てくるカエルはすこぶる美味しいとの話は聞いたことはあるが、こちらも実際には食べたことが無い。それとは知らされずに食べてみることができればいいのだが。

さて、当のカエル君は鉢から出しておいたらそのうちヨタヨタとどこかへ去ってしまった。暖かくなったらまた会おうね。