春を迎える気持ち

この春はおそらく例年より早く気温が高くなるだろうと思われたので、冬の間の作業である肥料作りを早め早めで進めてきた。

気温が低い方がゆっくりと肥料が発酵するので発酵しすぎが防げるし、春、暖かくなると蝿が出始めて油断ができない。幸い、2月の終わりにはほぼ発酵段階の作業は終了できた。暖かかった分、この冬は大雪による影響もなかったのが大きかったように思う。例年、大雪で雪かきに追われて、一度や二度は肥料作りが中断するが、今年は一度もなく終わりを迎えることができた。

いまは肥料の水分を飛ばして保存用に乾燥させる作業と、乾燥した肥料を袋詰めする作業が残っている。

肥料袋
完成した肥料は米袋に詰めて保存

ここ数日は袋詰めして、番号を振り、棚に収める作業を少しずつ進めている。積む前の棚を掃除をしていたら、重ねていた紙袋の間で動くものがいる。

春のアシナガバチ
暖かい季節なら不意を突かれて一撃受けていただろう

アシナガバチだ。一応反射的に身をすくめてしまうが、まだこれぐらいの気温では全く動きが鈍い。飛ぶこともままならず、突然起こされて戸惑うかのように影を見つけて隠れようとゴソゴソするばかり。

昨年の秋は本当にアシナガバチをほとんど見なかったので、むしろ心配していたぐらいだ。正確にはわからないが、巣がなくなってしまった蜂がこのように数匹固まって冬を過ごしているのは時々見かける。彼らは春になったら、誰かが女王蜂となって巣を作るのだろうか。近い仲間のアリは、巣に戻れないと生きてはいけないという話を聞いたこともある。彼らも冬を越したあと、巣に頼らずに生きるのは大変なのではないだろうか。どのような気持ちで春を迎えるのだろうか。

きっと、袋詰めした肥料の隙間にまた身を隠してもう少し暖かくなるのを待つのだろう。気温が高くなったらこの周りで作業するときには注意せねば。きっとそのときは容赦なく向かってくるだろうし。

気を揉むコンフリー

ビニールハウスの横で草刈りをしていたら、思わぬところにコンフリーの花が咲いていた。圃場の外れ、隣地との境目のようなところである。普段は草が生えっぱなしで放置してある場所だ。

コモンコンフリー

コンフリーはボリジなどのように種子でどんどん増えるというものでもないので、どうしてここに?という感じである。

ちょうど花がいい感じに上がっていたし、結構花期も長い。大株になると見事なのでそのままにしておくことにした。

コモンコンフリー

このコンフリー、古くはknitbone(骨接ぎ草)と呼ばれ、薬用にされていた。その後、日本でも(かなり前のようだが)野菜としての栽培がはやった時期があるという。ある一定以上の年齢の方で、育てたことがあるというお客様が結構いらっしゃるようだ。実際、自分の両親も以前育てたことがあると聞いてびっくりした。野菜を育てるような庭も無く、そもそも園芸などに関心が無いあの両親が?と思うと今でも不思議である。相当流行ったのだろう。

その後、大量に摂取すると問題が有ると分かったようで野菜としての利用は下火になったようだ。だから、数年前まではあまり人気がなかった。

しかし、この1,2年、堆肥に利用すると言う目的でコンフリーが大人気である。しかし、この人気もいつまで続くやら。

薬用として、野菜として、堆肥として、次は何に使われるのかコンフリーも気を揉んでいることだろう。こうやって荒れ地に咲いているのが一番幸せそうである。