秋になーれ

今朝は本当に久しぶりの涼しい朝だった。圃場の温度計では最低気温が19℃を記録していた。

お昼近くなっても、風が爽やかで、作業で書いた汗も少し日陰に入るだけですっと引く。その汗もこの間までのねっとりした汗ではないのでなおさら気持ちがいい。

ゲンノショウコ
ゲンノショウコも咲き始めてきた

周囲にも秋を思わせる花が見られるようになってきた。

露草
少し前から咲いていたが、秋はなおさら青色が爽やかに思えるツユクサ

「うん、今日から秋!」という感じである。

春なら桜が咲くと目に見えて春の到来を感じるし、「梅雨入り」「梅雨明け」なんていう言葉もある。「梅雨明け」はすなわち夏のスタートだ、冬なら初雪や木枯らしで冬が来たことを強く感じる。

ところが、秋となると、なんとなく夏がダラダラと続いて、いつのまにか、なんとなく秋だなぁ。と感じるぐらいだ。「立秋」の言葉もあるとはいえ、夏真っ只中という年がほとんどだろう。

秋が好きな自分としては、ぜひ「夏明け」とか、「秋入り」という言葉があってほしい。

気がつくと、圃場の前の木の下にレウコジャム・オータムナーレが数輪花を咲かせていた。昨日まで咲いていなかったように思うのだが。

leucojum

「オータムナーレ」、名前からして秋にふさわしい花である。

よし、来年からは、この場所でレウコジャムが咲いた日から「秋」ということにしよう!

れう子

例年ならお盆過ぎには咲いているはずのレウコジャム(レウコユム)・オータムナーレ。今年は今満開を迎えている。ようやく普段の年のお盆過ぎの気候に戻ったと言うことか?

レウコジャム・オータムナーレ

それにしても例年にない勢いで花が上がってきた。暑さをじっと耐え続けた夏の分を取り戻すかのようだ。

さて、ひとりのスタッフがこのレウコジャムを大変気に入っている。家でも育てたり、知り合いのプレゼントにしたりしている。大変良いことだと思うけれど、しょっちゅう、「レウコが大きくなった」とか、「今年のレウコは美しいねぇ」とか言っている。知らない人が聞くと「れう子」という名前のように聞こえそうなので人前ではやめてほしいなぁと時々思うのである。

彼岸花のように

どの季節が好きかと問われれば、躊躇無く「秋」と答える。苦手な夏が終わってホッとできるし、次の夏までが一番長いからだ。

私にそれほど嫌われている夏も、今年はそれほど力を発揮できなかったようだ。例年、冷水のシャワーを浴びると、「今年もいよいよ夏がきたな〜」と感じるのだが、今年はどうやら冷水のシャワーを浴びることなく終りそうである。

これが咲きはじめると暑さも峠越えという花がある。レウコジャム(レウコユム)・オータムナーレである。五月ごろに葉が無くなり、しばらく沈黙のひとときを過ごした後、当地ではお盆ごろに突然花茎を伸ばしはじめて開花する。この熱い最中に、こんな細い茎を伸ばして可憐な花をつける力強さに毎回慰められている。白い花を見ては「もう少しの辛抱で秋が来る」と少し安心するのだ。

サルビアに圧倒され、やや窮屈そうである。
サルビアに圧倒され、やや窮屈そうである。

この植物にしろ、ヒガンバナにしろ、良くもまあ、咲く時期を間違えないものだと感心する。なんでも葉がでている春のころからカウントダウンに入るそうだ。農業はタイミングが非常に大事である。天気予報をチェックしつつ、上手に逆算できる能力が求められる。

その点私はまだまだ。レウコジャムやヒガンバナのような逆算できる力をつけたいものだ。

ところで、非常に良く似ているレウコジャム・プルケルムは、当地ではもう少し早めに咲きはじめる。まだまだ夏真っ盛りという時期でさすがに風情がない。他の地域ではどうなのだろう。見た目はオータムナーレととても良く似ているので、一度ラベルが外れると大変なことになる要注意の2種類である。