戒め

庭作業中のこと。剪定をしている最中に携帯が鳴った。
「後2、3本で終わりなのに・・・」と、
手を止め、手袋を脱いだ。通話が終り、さて残りを片付けようと手を伸ばしたところ、
「チクチクッ」
あちゃー、やられた。手の先の葉にはイラガちゃんがいたのだ。もう終わりだと、手袋をしなかった私が悪い。

だいたい、このお庭にはいなかったはずだけど、結構発生は気まぐれ。来年も出るかというとそう出なかったりする。ついでに、早く片付けようなんて気が緩んでいる時に限って戒めるようにアタックされるのだ。

痛みは増し続けるが、こんな時は慌てず騒がず、ガーデニングツールに常備しているガムテープを取り出す。

ガムテープ

針が刺さっていると思われるところにべたっとはってベリッとはがす。何度か繰り返しておいて、念のため毒消しにラベンダーオイルを塗っておく。経験上、だいたいこれで大丈夫。服に毒針がまとわりつき、いつまでも伝播し続けるチャドクガの幼虫に比べるといたって対処はシンプル。

しばらくはチクチクと痛みが残るが徐々に弱くなり、お昼に帰る頃、もう痛みは消え、ガムテープでベリベリしたところが赤く腫れているだけだった。

イラガの幼虫
この方たちにやられました・・・。

 

戦慄の集団

とあるお庭へ作業に言った時、アカメの葉が何かにかじられていた。一つの葉を裏返してみて、瞬間、緊張が走った。イラガである。思わず退いてしまう。

チャドクガの幼虫

仲良く美味しそうに葉をかじっている。こういうのを見つけるともう駄目である。作業は一旦中止。一緒に作業をしている皆に知らせ、他にいないかチェックした上でないと作業が再開できない。普段庭仕事で遭遇する危険昆虫の中でもスズメバチに続いてタチが悪い。その次がチャドクガといったところ。

さて、後になってこの写真を見て気づいたのだが、この時、周囲を探しても他にイラガはいなかった。この周りの葉はこの方々が食べられたとしか思えない。この隊列のまま移動するのだろうか???

イラガとタナゴ釣り

昨日は、市内のとあるお庭へ作業へ伺った。ローズやハーブなどの手入れがメインの仕事だったが、大きく育った山椒の枝を少し剪定してやろうとしてちょっとびっくり。イラガの繭がいくつもついていた。

昨年何度も伺った庭だったのにイラガがいたとは分からなかった。我々スタッフも、そしてお客様にも被害がなくて幸いだった。

イラガの繭
いつ見てもこの繭はお洒落だ。一つ一つ違う模様は、一体何のためについているのだろう。繭と言えば柔いものという印象がある。しかし、この繭の硬いこと。指などではとても割ることは出来ない。(中にあの恐ろしいイラガの幼虫がいるかと思うと、指で割るような気にはなれないけれど。)

ところが、一体誰が目をつけたのか、この繭を釣りの餌にしようと考えた人がいたのには驚きだ。タナゴと言う小さな魚の釣りエサに使われるのだ。中にいる虫を切って、その腸を極小の針に巻き付けて使うとのこと。ここ山陰にもタナゴはいるようだが、釣りをしている人は見たことが無い。

不思議に思い、以前、そのことを宍道湖自然館ゴビウスの館長さんに聞いてみた。返ってきた答えは「そういう文化がない」とのことだった。小さな小さな魚を真冬に釣るような酔狂な釣りである。江戸の釣り文化は山陰までは届かなかったようだ。イラガたちそしてタナゴもさぞ安心していることだろう。

でも、釣りもたまにする私としてはいつか試してみたいと思っている。少なくとも餌のある場所はいくつか目星がついているし・・・。でも、変な目で見られそうなのが一番怖い。

「あのさん、あぎゃんこめ溝で、この寒いに何しちょられーだーか?だーだねか?」(あの人、あんなに小さな溝で、こんなに寒いのに何をしてるんだろうか?馬鹿じゃないかね?)
と言われるのがオチだろうなぁ。

厄介なやつら

暖かい時期の庭仕事で注意したいのは毒のある昆虫である。蜂もむろん危険だが、毒の有る毛虫も厄介である。

特にうちのスタッフの中で嫌われているのがイラガの幼虫。思わぬところにポツンといたりするので、虚を突かれがちだ。

昨日も剪定した枝を片付けようとしたら左の手首のところに激痛が走った。手袋をしていたのに、ちょうど手袋と長袖の隙間を狙われた。

チクチクチクチクチクチクチクチク

イラガ特有の痛みである。

ダッシュで車に戻り、刺されたところにガムテープを何度も貼ってははがす。針を抜くためである。これでほぼ大丈夫だが、念のため、ラベンダーオイルも塗っておく。作業に戻り、その後痛みも出なかった。

一応対処方法が分かっているので刺されてもそれほど心配することはなくなった。でもやはり刺されるのはイヤである。

今日も一つの庭で仕事を終え、車に剪定した枝を積んだ。次の庭で、さて、作業を始めようとした時、くま手の柄に付いているイラガを発見。確か今日の枝にはいなかったのに・・・・

イラガ

更に、圃場に戻り、車に乗せた道具を片付けようとして、ふと見るとクリップボードにまた一匹。

イラガ

今日一日、恐る恐る車に乗るはめになったのである。