越冬それぞれ

3月も、あっという間に半ばを過ぎ、お彼岸となった。

さすがに春の陽がさす日も多くなり、ようやくハーブたちにも成長の兆しが見えるようになってきた。

これから一気に気温が上がると春の作業も急増していくが、忘れないうちにこの冬の被害状況をまとめておきたい。

この冬はその前の冬に比べると気温の低下はそれほどでもなかったが、とにかく2度にわたる大雪による被害が顕著だった。

特に、例年は枝が曲がる程度で済んでいたようなハーブたちの枝折れが目についた。

ローズマリー
かなり下の太い枝から折れたローズマリー

ローズマリーも太い枝が折れた株が多かったし、ラベンダー類も雪に上から押しつぶされて割れてしまう株が続出した。

ラベンダー
ラベンダー、今年は花が咲いてもちょっと見栄えが悪そうだ

かなり根元の辺りから裂けたり折れているので元のような形に直すのはかなり困難を伴いそうだ。少なくとも数年というスパンで考えておいたほうが良いだろう。

チェリーセイジ

チェリーセイジも昨年伸びた枝の大半が折れてしまったが、剪定しないと大きくなりすぎるのでちょうど良い。すこし整えるぐらいで済みそうだ。

レモンヴァーベナ

昨年寒さで傷んだレモンヴァーベナ、今年は早めから風よけをしておいたので恐らく大丈夫だろう。昨年よりはすこし早く芽が出てくるかもしれない。

ティートゥリー

ティートゥリーも雪で枝がかなり折れた。だが、葉の傷みはむしろ少ない感じだ。

カルドン
雪に対して意外な強さを見せたカルドン、直径は2メートルぐらいある

案外被害が少なかったのがカルドン。冬前の時点で相当大株になっていたし、 一時はこの上に40センチ以上は積もっていたはずだ。枝もろともペシャンコになっているだろうと思っていたのに、雪が徐々に溶けて姿を表すと、所々の葉が途中で折れているぐらい。大雪が降ったあととは思えないぐらいだ。

レッドベルガモット
土の下に隠れて冬を過ごすレッドベルガモット

もちろん、地面にへばりついて冬を越すような種類はほとんど問題がない。すでに秋の時点で地上部がほぼなくなったレッドベルガモット。元気に小さな新芽をたくさん出し始めている。

ボリジ
周りの草が枯れると姿を表すボリジ

土手の斜面に零れ種で生えたボリジも春の日差しをすこしでも集めようと葉を思い切り伸ばしている。

柳

また、今年の冬の雪の被害を微塵も感じさせなかったのが、法面の土止めとして植えていた柳。大雪もなんのその。柔らかい枝は全く影響もなくすでに柔らかな新芽を伸ばし始めていた。

柳の新芽
柳の新芽

人生でも、ハードな局面に強硬に立ち向かっていくよりは、しなやかに上手に避けていくほうが乗り越えやすかったりするもんなぁ。としみじみ思わせる冬の終わりだった。

1月の寒波

1月下旬の寒波は全国的に影響があったようで、たくさんの方から問い合わせをいただいた。

例年には見られないような被害があったり、今まで青々としていたハーブが寒さで急に茶色くなってしまったというお問い合わせが多かった。

当店の圃場でも、ここ数年では記憶にない影響があったので、今後の参考のためにも記録に残しておこうと思う。

ちなみに、松江気象台の記録では、1月24日のマイナス4.9℃が最低となっている。圃場では、マイナス6.9℃を記録していた。

まず、圃場脇の花壇のメキシカンブッシュセイジ

今回の問い合わせで多かったのもメキシカンブッシュセイジについてだった。「秋遅くから元気に新芽が伸びていたのに、寒さで一気に傷んでしまった」というものである。
メキシカンブッシュセイジ
当店の圃場でも、毎年のように一旦新芽が伸びて、降雪や霜によって枯れる。
今回もこのような感じであるが、根が傷んでいなければ問題なくまた春に新芽が伸びてくる。この株は恐らく大丈夫だろう。

次に、レモンティートゥリー

レモンティートゥリー

毎年冬に葉が傷むが、せいぜい、枝の先端の方の柔らかい葉が茶色になるぐらい。今年は、かなり大きな葉まで茶色くなっている。これほどの被害は初めてだ。おそらく傷んだ葉は一旦落ちるだろうが、内側の方は大丈夫なようなので、暖かくなったら新芽が出てくるだろう。新芽が出てきたら、傷んだ葉のところから剪定するなり、しごき落とすなりすれば良いと思う。
ローレル
少しは被害があるかと思っていたローレル(月桂樹)。全く傷んでいなくてちょっと意外だった。

次に、ティートゥリー

ティートゥリー

ごく小さな葉は茶色くなっているが、あまり問題はないようだ。ここよりももう少し内陸の大東町では、毎年葉がカサカサになって落ちてしまうが、株はダウンすることはない。

この寒波の前後で大きく様子が変わったのが、パイナップルセイジ

パイナップルセイジ

それまでは、葉も少し残って、枝もまだしっとりとした感じだったのだが、枝も葉も完全に枯れ果ててしまったように見える。昨年伸びた枝からはあまり良い葉が出てこないので、いずれ剪定してしまうから問題ないのだが、少し心配ではある。
食用ホオズキ
寒波の前までは、まだグリーンが残っていた食用ホオズキも、この通り。中にあった実も凍みてしまったのか、ぐちゃぐちゃになっていた。恐らく株はダウンしないと思うので春には土の下から新芽が出てくるだろう。

最も心配なのが、マートル

マートル

例年葉の先が傷んだり、葉が赤みを帯びることはあっても、このように変わってしまうのは初めて見た。道路際で風の通り道になったのかもしれない。

マートル

ただ、ところどころに緑の葉も残っているから、多分大丈夫とは思うが。

おおよそ、大きなダメージを受けたものは以上である。

アボンビューラベンダー

ラベンダーの仲間は写真のアボンビューラベンダーのようなフレンチ系をはじめ、問題はなさそうだし(レースラベンダーピナータラベンダーは無加温のビニールハウスの中でも葉が傷みはした)、ローズマリーやタイムの仲間、ミントのように冬地上部がなくなるものは全く心配なさそうだ。

おそらく、今後はこれほどの寒波は来ないような気がするが、もう一度となると、レモンティートゥリーや、マートルは少し対策しておく必要があるかもしれない。

危機一髪のティートゥリー

暑い日が続く。苗達への水やりも気が抜けない。油断していると、いつの間にかへたっていたりする。それでも、多くの種類は相当ひどく水ぎれしないかぎり潅水すればほぼ復活する。

ただ、中には短時間の水切れが大きなダメージになってしまうものもある。

オーストラリア産なので乾燥に強いと思われがちなティートゥリー。もともと生えている所が湿地だそうで、水切れには結構弱い。

ティートゥリー

今日もふと見たら危機一髪であった。もう、枝の下のほうの葉は回復しないかも知れない。あと半日遅ければ全体がダウンの憂き目もありえた。秋までまだまだ先は長い。神経をすり減らしながらの水やりの日々である。

植物も人も

ハーブに限らず植物は「実際に育ててみないと分からない」ことが多い。

もう十数年前、ティートゥリーを育て始めた頃は、氷点下にしては駄目だと言う話だったので、それはそれは手厚く扱っていた。ところが、実際に植えてみると、松江市ならば地植えで全く大丈夫なことが分かって拍子抜け。屋根まで届いてしまった株もあるようだ。

その上、更に数年後、もう少し標高の高い雲南市でも防寒無しで越冬することが分かった。さすがに葉は傷むけれど、春には美しい新芽が出てくる。

剪定に強いことが分かったのもこの頃だ。雪が多かった冬、直径5センチぐらい合った主幹がボッキリ折れてしまった。「ありゃー、これは駄目かな〜」と思ったのに、暖かくなってきたら太い枝から軟らかな新芽が多数。ひょろひょろだった樹形も整ったのである。

ティートゥリー
なのでその後は全く躊躇せずに剪定できるようになった。咋秋ばっさり剪定した鉢植えのティートゥリーも今はこの通り↑である。

まあ、植物に限らず、人も長くつきあうと思いもかけない一面が見えてきたりするし、またそこが面白いんだけどね。