真冬の仕事

朝の気温、マイナス2℃。大雪とはならなかったが、気温が上がらないのと、なかなか止まない雪がもどかしい。

開きかけたローズマリーの蕾ももう一歩というところで止まっている。

ローズマリーの蕾
ローズマリーの蕾も固く閉じたまま

筋状の雲のおかげで時々晴れ間はさすので、ビニールハウスの雪は滑り落ちてくれるので安心なのだが。

晴れ間

来週もまだ雪が続くというが、2週間近くも降り続くのは珍しく、なにかと生活に支障がでる。

もちろん仕事にも差し支えが出つつある。土はまだ雪の下なので、耕したり植えたりはできないし、年末から蒔いている種子の発芽も芳しくない。この先の天気も考えながら「今日すべきことはなにか?」と考える日々が続く。

そんななか、秋に蒔いたレモンユーカリの種子が発芽を始めた。本当はもっと気温が高い時期に蒔くのだが、忘れていたため、とりあえず蒔いておけば春になって出るかもしれないというぐらいの気分だった。まさか大寒すぎのこの季節に動き始めるとは・・・。「もうすこし休んでてもらえないだろうか」と伝えたいぐらいだ。

レモンユーカリの発芽
レモンユーカリの発芽

それでも、蒔いた種子が発芽するのは嬉しいものだ。レモンユーカリの発芽は特に力強いのでなおさら見ていて楽しい。

心配と期待で毎日のように眺めていたのだが、今日、よくよく観察してみると、せっかく発芽した小さな芽が食べられていた。

ナメクジの食害

おそらくこの食べ方はナメクジかその辺りだろう。すぐに鉢の裏も調べたのだが発見できず。いくら寒くてもナメクジたちはそこそこ活動をするようだ。夜、暗くなってから動き出すだろうに、あんなに水分がありそうな体が凍らないのだろうか?朝、凍りついたナメクジがいてもおかしくなさそうなのに、いまだ見たことがない。

ま、とりあえず、早急に行わねばならない仕事は見つかった!

年明けの仕事復帰

「年末年始はゆっくりされますか?」

年の暮れになるとよく聞かれるが、はっきり言ってその時になってみないとわからない。

結局のところ、天気によるのだが、大雪でも降ろうものなら落ち着いてはいられないし、一日中快晴の日が続くようなら、ビニールハウスの気温も上がるし、苗の乾きも心配になる。

幸い、ここ数年、年末年始は少しゆっくりさせていただいている。今年もおかげさまで落ち着いたお正月を過ごさせていただいた。晴れ間があっても短時間で曇り、小雨の降るような日もあったのでかえってバタバタすることもなく、体を休めることができた。

その代わりというか、職場復帰(というと大げさか)が例年のようにいかなかった。普通の仕事をしている方はきっとこうなんだろう。

4日頃からゴソゴソはしていたが、取り立て急いですることもないので、なんとなく片付けをしたり、年末にし残していていた仕事をする程度。

ところが、昨日あたりの天気予報で週の中頃から雪マークが出はじめたので、枝折れが気になるマートルの対策をせねばと思いついた。これでようやくエンジンがかかる。

マートルの実本当はもっと早くしておきたかった作業なのだが、秋に実がついたので、それでも熟すのを待ちたかったのだ。

 

ここ数年、マートルは毎年のように雪に埋もれたり、枝がほとんど折れたりして実を採ることができなかった。今日見ると、だいぶシワシワになって、秋にくらべると熟した感じがでてきた。ついこないだ食べていた黒豆のようだ。

マートルの実

中を開けると種子もできていたので、試しに蒔いてみようと思う。ハーブの場合、原産地と気候が大きく異なると種子ができても充実せず、発芽しないことも多いし、マートルの場合は挿し木の方が手っ取り早いので種子から育てることはないが、それはそれ。種子から育てるのはまた別の楽しさだ。

果実を取り終えたマートルは地面から50cmぐらいにバッサリと剪定。それまで背丈を越えるぐらいあったので、大雪が心配だったが、これで大丈夫。

ついでに、種まきという次の仕事もできた。こうして徐々にいつものペースに戻っていくのだろうな。

早起きは種子とともに

夜明けが少しずつ早くなってきた。朝はそれほど苦手ではないほうだが、冬の間は他の季節に比べると布団から出るのがおっくうだ。

それでも2月も後半になると、明るくなるのが早くなってきたことと、もう一つ布団から抜け出すモチベーションが発生するので、朝起きだす時間が早くなりつつある。

春の苗のための種まきは種類にもよるが秋遅くから始まる。場所の都合もあるが、一気に撒いてしまうのではなく、種類を変えたり同じ種類でもずらしてまいてゆく。

とはいえ、気温が極端に時期は撒いた種子も発芽する種類は非常に少ない。そして、それらの種子が眠りから目覚め始めるのが少し暖かくなるこの時期なのだ。

毎年同じような種類の種子だし、年によって姿が変わるわけではない。それでも種子が発芽するのは待ち遠しく、発芽を見つけるとやはり嬉しい。毎日何かが発芽しているわけではないにせよ、春に向けた動きがあるというだけでも朝布団から出る気分がずいぶん違うのだ。

ハーブの場合、いろいろな種類があるので発芽の姿も様々。サイズも様々。仕事にもまだ余裕があるこの時期はじっくり観察するのもまた楽しいものだ。

イタリアンパセリの発芽

気温が低くてもよく発芽するイタリアンパセリ。少し気まぐれで、発芽するときはすごくたくさん出てきて困るが、同じパッケージでも「あれ?」と不思議に思うぐらい発芽しないこともある。
ジャーマンカモミールの発芽
ジャーマンカモミールは、とっても小さいが、ギザギザがついた本葉が出てくると見分けやすい。こぼれだねで生えてきても見つけやすい種類だと思う。
ローマンカモミールの発芽
こっちはローマンカモミール。いつもは株分けで増殖するので、発芽した姿は普段そんなに見かけない。
コリアンダーの発芽
以前も紹介したコリアンダー。たまに一つだけしか出てこないこともある。
ストロベリーの発芽
ルーゲンストロベリー。小さくてもしっかりイチゴの葉だ。ハーブも、種類によっては小さいうちと大きくなってから葉の形が違うものも結構あるが、これは見間違えることがない。
アニスヒソップの発芽
アニスヒソップは小さい上にあまり特色がない芽生え。本葉が出てくるとすこし分かりやすいが、零れ種で生えてきたら雑草と見分けるのは困難だ。
ナスタチウムの発馬
ナスタチウム。丸い葉の上に玉のように乗る露が魅力だが、発芽したばかりの葉にもしっかりと露が乗る。
カルドンの発芽
たくましく大きく育つカルドンは、発芽からして力強く土を押しのける。
チャービルの発芽
チャービルも割と気まぐれで、出るときにかぎってこんなにたくさん。分けるのが大変だ。
ローズマリーの発芽
普段は挿し木でばかり増やすので、これもお目にかかることが少ないローズマリーの発芽。親木の株元の零れ種である。

まだまだ数え切れないほどあるのだが、今日のところはこれまで。

ゆっくりとハーブたちの芽生えを観察できるのももう少し。本格的な春になるとそんな余裕もすくなくなるから、せいぜい今のうちにじっくりちいさな命のスタートを見つめてみたい。

コリアンダーの親心

比較的低い温度でも発芽しやすいコリアンダー。春にむけた苗の種子もぼちぼち芽を出し始めた。
コリアンダーの発芽 二つ仲良く並んで芽を出す
コリアンダーの種子は、丸い殻の中に二つの種子が入っている。そのため普通に蒔くと、二つの芽が仲良く発芽する。なので、後で分けたり、間引きするのが面倒なら始めから二つに割ってから蒔いてもよい。
コリアンダーの種子
コリアンダーの種子 殻(下側)の中に、二つの種子(上)が入っている
コリアンダーの発芽を眺めていると、なんで二つ入っているのかいつも不思議に思う。しかもわざわざ殻の中に入れて・・・。
きっと何かの理由があるのだろう。正月の暇に任せて想像を巡らせてみた。
二つの種子が入っている殻はまん丸で、気をつけないと少し傾いたところではコロコロと転がっていってしまう。
コリアンダーの種子 植物全般に言えることだが、親が育っているところからなるべく離れた場所へ広がっていく工夫が多くの種子にある。タンポポのように飛んでいく能力を持っている種子などが代表だ。
きっと、コリアンダーの殻もコロコロと遠くへ転がるために丸くなっているのかもしれない。
「もしかして」と思い、殻ごと水に浮かべてみたら案の定プカプカ浮く。大雨が降った時にはゴムボートのように水に浮かびながら遠くへ行くことを期待しているのかもしれない。
コリアンダーの種子 水に浮かべてみた。半日経っても浮いていた
種子が二つ入っているのも、一つがうまく発芽しなかった時の保険や、共成長といって、単独で育つよりもまわりに複数の株があった方が競って成長しやすいことを狙っているのだろう。
でも、遠くへ旅立って発芽した時、寂しくないように二つの種子を入れてやった親心ではないかとつい思えてしまうのだ。

逡巡

毎年この時期になると悩むことがある。イタリアンパセリをどうするか。である。イタリアンパセリは通常二年草として扱われる。教科書通りに受け止めるなら、例えば春に定植するとその年は成長を続け、翌年の初夏に花を咲かせて結実し、一生を終える。

ところが、植える環境やタイミングによって、結構成育に違いが出てくる。下の写真の株は、昨年12月に植えたものである。場所が良かったのか、春までぐんぐん育ち、葉も結構広げ、一気に花を咲かせてしまった。

イタリアンパセリ

こうなると、このまま花を咲かせきってしまって、種子取り用に使うこともできる。また、株の状態からして、花茎を剪定すればもう一年持ちそうな感じもする。場所によっては同じ株で数年葉を収穫することもできるので、それを考えるとこのまま終わらせるのも惜しい。

毎年同じように育てていれば、ほぼパターンもわかってこようというものだ。だが、イタリアンパセリは毎年それほどたくさん必要ないので、畑でも空いたスペースにとりあえず植えるし、その時期も気まぐれなことが多い。そのため、毎回違った育ち方をして私を悩ませるのだ。さて、どうしたものか、幾何学的な花でも眺めて考えるとしよう。