インベーダーたち

圃場の背後は荒れ地で囲まれているので、毎年ツル植物との攻防戦が行われる。今年も梅雨前まではこまめに草刈りができていたので葛を中心とする侵略者たちの侵攻もわりあい抑えることができた。

しかし、雨続きの夏は草刈りもしにくく、一日、もう一日と伸ばしているうちにやつらは確実に魔の手を伸ばし続けたのである。

雑草に紛れ、侵略の機会を窺う葛
雑草に紛れ、侵略の機会を窺う葛

ビニールハウスの周りには、花壇や畑もあり、栄養もいっぱい。その上絡みつきたくなるパイプが山ほどあるのが気になるのだろうか。

パイプに絡みつきはじめると始末に負えない。引っ張るなんてこちらの手を痛めるだけ。少量ならほどいたり、元の方を切ってしまうこともできるだろう。だが、ツル同士がからみあうようになるとお手上げである。冬まで放置しておいて、枯れてから取り除こう、と白旗を揚げることになる。

マメ科?のツル植物。細いが非常に強く、厄介者。普通、熱くなるパイプに巻きつくか?
マメ科?のツル植物。細いが非常に強く、厄介者。普通、熱くなるパイプに巻きつくか?

この夏、アルコール依存症に葛のエキスが有効であると言うニュースが流れた。スタッフにも依存症一歩手前と言う感じの方がいらっしゃる。是非この大量の葛を有効活用してくれたらありがたいのだが・・・

イネ科の生長

今年の春はレモングラスの発売を見送らざるを得なかった。昨年秋の増殖が思うようにできなかったことと、冬に油断していたため、親木がダメージを受け、その回復が間に合わなかったためだ。私がもう少し注意していれば・・・。たくさんお断りすることになってしまいました。ゴメンナサイ。

その、レモングラス、親木も順調に大株に育ち、今年は早めの株分けができるようになった。普段は冬対策とともに秋になってから行なうところだが、何せずっと品切のままなので、少しでも早くと、お盆前からスタートした。

株分け直後
株分け直後

今の時期は秋よりも株元が柔らかく、はさみを使わなくとも容易に株分けができる。そのかわり、気温が高く、成長も旺盛なので葉をしっかり切り戻してやることが大事である。もちろん、株分け後の水やりは毎日怠ることができない。

株分け3日語
株分け3日語

この通り、3日後には既に茎の中ほどから葉がぐんぐん伸びている。たっぷり水やりをしなければとてもこの成長についていけない。夏のイネ科はどの種類も恐るべき勢いである。(最初の写真さえ、株分け直後であるのに、既に中心部が伸びはじめている)。

雑草

と、言うことはもちろんイネ科の雑草も凄い勢いで伸びるということで、上の写真。数日前に草刈りをしたばかりと言うのにこの有り様。徒労感を覚えざるを得ないのである。

やいとすえーよ

「しゃんわることしちょうとやいとすえーよ!」
(そんな悪いことをしているとお灸をするよ)
と、昔は良く言われたものである。

本日伺ったお宅で木に絡みついていたヘクソカズラ。「ヤイトバナ」とも呼ばれる。花の内側が赤いので、花冠(開いた方ですね)に唾をつけ、肌にくっつけると、ちょうど火をつけたお灸に似ることからこの名前がついたとか。

ヘクソカズラ

なかなか可愛らしい花である。日が当って透けた感じの花色と、奥の赤紫がまたいい感じを醸し出している。秋になる実もまた風情があるので上手に使えば面白い素材になりそうだ。

残念ながら名前で損をしている。ヘクソである。確かにあまりよい匂いとは言えないが、我慢できないほどのひどい匂いではない。まあ、雑草として他のものに絡みつくと始末に悪いので、負のイメージが強いのだろう。

別にサオトメカズラという優美な名前もあるという。この名前で広まっていたらもう少し人気があるのだろうに。本人(ヘクソカズラ)も悔しがっているだろう。

まるで拷問

夏の雑草はどれも広がり方が早い。中でもクズを筆頭に蔓性のものはたちが悪い。草刈機を使っても絡んでしまい、イライラが募る。

カナムグラもまた同じように夏の草刈りを阻止する蔓である。幸い今の圃場の周りでは見かけないのでありがたい。昔はかなりてこずらされた。

カナムグラと同属のホップもまた夏に苦労させられる植物である。カナムグラと見た目も、伸びようも良く似ているホップ。一度蔓がからむと、小さなトゲが引っ掛かってすんなりとは離れてくれない。まあ、そのおかげで色々なものに絡みやすくなっている。

ホップ
育苗している大苗は特に蔓の勢いも盛んで見る見るうちにとなりの株と蔓をからませる。さあ、注文が入った!と、苗をピックアップしようとしても、他のハーブのようにはいくわけが無い。蔓を傷めないように一つ一つほどいていかねばならない。夏の日差しがふりそそぐビニールハウスの中で、この作業はほとんど拷問に近い。汗は滴り落ち、メガネを曇らせ、さらに頭に血を上らせる。いっそ、蔓をバッサリ切ってしまいたい衝動に何度も駆られてしまう。

お願いです。ホップはまだ蔓の伸びがゆっくりしている頃に御注文御願いします。

ピーピー豆とアブラムシ

季節柄アブラムシに関する質問を良く受けるので、資料になればと思ってアブラムシの写真を撮りにでかけた。

まずは圃場の周りのピーピー豆(カラスノエンドウ)が繁っているところへ。先日草刈りをする時にイヤというほどたかっていたのである。ところが探そうとするとなかなかいないものである。

先に天敵のテントウムシの幼虫の方が見つかった。まだ小さな幼虫だが、動きはなかなか速い。この運動量ならお腹も空いてたくさんアブラムシを食べてくれるだろう。

テントウムシの幼虫

この間はいくらでもいたアブラムシがほとんど見つからない。これがアブラムシの不思議なところである。育苗しているハーブの苗の場合にしても、ある種類に発生しても、しばらくするといなくなり、他の種類に移っているのである。

アブラムシ

圃場を一回りしてようやく一群を見つけた。こういう写真が撮りたかったのである。先日まで、どのピーピー豆もこんな状況であった。新芽が出たでで美味しかったのだろう。あの強力無比のセイタカアワダチソウも新芽が出た時にはびっしりとアブラムシがつく。「健康この上ない」これらの雑草にさえつくのだから、普通の栽培植物につかない方がおかしいと思えてくる。

アブラムシの種類についてはまだ勉強が足りないので同じ種類かどうかは定かではないが、ピーピー豆に付く種類はうちのハーブたちではあまり見ないようだ。セイタカアワダチソウにももっと赤いような種類がつく。また改めて調べてみたい。