スパッと気分爽快

何事も実際にやってみないとわからないものだ。

特に園芸をしているとそう思わせられる事が多い。今年で2回目のチャレンジとなる津田カブ。今回は少し種まきが遅れた上に、間引きのタイミングを逃してしまって小さめではあるものの、収穫量はまずまずである。目的は津田カブ漬け。漬けるのは今年が初めてであったが、結構満足がいくものができた。家では「○○(漬物業者)のより美味しい!」と自画自賛している。

さて、この津田カブ漬け、最初はなかなか漬ける期間がつかめず、うまくいかなかった。糠床の具合も原因だったかも知れないけれど、何日経ってもカブの中まで赤色が染みて来ず、他に理由があるのかもとずいぶん悩んだ。

色々とお世話になっているJAのK君にも尋ねてみた。津田カブの収穫の手伝いをした事のある彼によると、収穫してすぐ、カブの先端を鉛筆を削るみたいにカットすると言う。これに何か秘密があるのでは?ということであった。実際に店頭で売られている生の津田カブは全て先がカットしてある。

こんなふうに先がカットしてある
こんなふうに先がカットしてある

一般の野菜作りテキストには普通のカブの説明はあるものの津田カブの栽培方法など書いていない。先端をカットするなんて説明はどこにも見当たらない。先をカットすることで成分が出入りしやすくなるのかもという結論に達した。それ以来、半信半疑ながら、収穫してからカットするようにしていた。

ところが、あるとき、実際に育てている方に聞いてみたら「な〜んだ」という理由であった。

津田カブの先端には細かいひげ根がつく事が多い。このひげ根は料理する際に邪魔である。それまで私は洗う時、その都度千切っていた。そんなまだるっこしい事はせず、収穫時にスパッと切り落としてしまうのだ。

問題のひげ根
問題のひげ根

理由も分かり、切り落とす作業もスパッと気分爽快。

K君にも教えてやらねば。でも、もう少し勉強しなさい!

来年の紫蘇のために

ハーブにシソ科が多いからと言うわけではないが、紫蘇が好きである。夏の冷や奴には無くてはならないし、シソジュースも大好きである。なのに今までまともに育てたことが無かった。畑の優先順位としてどうしても他の野菜で既にスペースが埋まってしまい、気がついた時には植えどきを逸していたのだ。そもそも、一度育てたら、こぼれ種でいくらでも増えると言う印象なので種子を手に入れること自体思いつかないのだ。

それが今年、夏前に偶然実生苗を手に入れることになった。夏前に作業に行った幼稚園で、園庭に花木を植えて欲しいと頼まれた。ちょうどその場所に紫蘇の小さな芽がたくさん出ていたのだ。周囲にも山ほど芽が出ていたので掘り上げた土に混ざっていた株を2〜3分けてもらうことにした。

ちょうどそのころ、畑は空豆を片付けた後で隅のほうが空いていたので植え付けた。2株はその後駄目になってしまったが、一株はしっかり根づき、大株に成長してくれた。

手前はレモングラス。隣は例のネパールのトンガラシ
手前はレモングラス。隣は例のネパールのトンガラシ

紫蘇の花

夏にはもちろん、冷や奴を初め、何度も活躍してくれた。8月も終わりを迎えると花も次々と咲きはじめてきた。葉を楽しむのももう終わりが近い。次は紫蘇の穂を使って、紫蘇の穂漬けでも作ろうか?少なくとも来年からはこぼれ種がいやと言うほど出るだろう。育て忘れる心配だけは無さそうだ。
ちなみに私は紫色の方を好むが、家族には青紫蘇派もいるので、夏の間何度か衝突が起きる。来年は優勢を保てるかも知れない。

ブータンのとんがらし

夏前、スタッフの一人が苗のポットを持ってきた。中で発芽したばかりの小さな芽が五つ六つ伸びていた。ラベルには「ブータンのとんがらし」と書いてあった。

スタッフが友人からもらったと言う。詳しく訊ねてみると、その友人も知り合いの青年海外協力隊?かなにかで、ブータンに行った人からもらったと言う。

種子をもらった友人が蒔いてみたら発芽したので、こちらで育ててもらいたいとスタッフに預けたのだ。

どんなものかわからないが、まず一ポットでは窮屈なので一株づつポット上げした。そのまま順調に育ち、普通のトウガラシのような苗になり、ハウス横の野菜畑に植えたのが7月に入ってからだと思う。

この夏の雨続きの天気で果してブータンの植物が育つのか、全く自信はなかった。枯れたら枯れたときという気軽な気分で様子を見ていたが、少し徒長して支柱が必要になったぐらいで、順調に開花。実も付けはじめた。

ネパールのトウガラシ

どうしようかという話になったが、正体が分からないトウガラシは結構怖い。以前、やはり初めて育てた種類を不用意に口に入れて大変な思いをしたことがある。

まずは、持ってきた人が・・・ということで、当のスタッフが収穫することになった。何本か収穫して、持って帰るかと思いきや・・・

なんと、ハウスにあるコンロを持ち出してきた。その上、以前カモミールの煎じ液を作った時に間に合わせでこしらえたザルを出してきてその上で焼きはじめてしまった。トウガラシを洗いもせず、きったない作業台の上でだ!

ネパールのトウガラシ

うちのスタッフはこういう時は勢いがあるから怖い。これもまた机の奥底に眠っていた即席味噌汁の味噌をつけて食べると言いはじめた。(そもそもビニールハウスに即席味噌汁があることも問題だ)

適当に焼くとなかなか良い匂いである。その場に居合わせたのが運の尽きと観念してお相伴に与ることにした。

恐る恐る口に含むと、ピーマンよりも甘く柔らかな香りが広がる。辛味は・・・というとぴりっと辛い。でもシシトウをちょっと辛くしたぐらいでなかなか美味しいといえるのではないだろうか。

食べた後で何か起こるのではないだろうかという心配も杞憂に終った。もう何度か食べてみてやはりイケルようだったら種子まで取ってみようかという話になっている。

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ピーマンの思い出

3年ぶりにピーマンを育てている。夏野菜の花壇には、トマト、キュウリ、ナスが常連。ピーマン、シシトウ、オクラなどはその年の気分で植えたり植えなかったり、植えるのを忘れてしまったりと言うパターンが多い。

ピーマンと聞くと思い出すのが子供の頃からの一人の友人である。とても真面目で温厚、人間的にも愛すべき人柄だったのだが、ピーマンを非常に、それはそれは嫌っていた。どうしてこいつはこんなにもピーマンを嫌うのだろうと、子供心に不思議に思っていたものだ。

実際、子供のころからピーマンが大好きというのは珍しいように思う。自分も大嫌いではないにせよそれほど喜んで食べる野菜ではなかった。それでも一度美味しさを経験すると評価は一転するものだ。

これももう20年近く前になるが、実家が焼き肉店をしている知人に美味しい食べ方を教えてもらった。といってもいたってシンプルである。ピーマンを生のまま半分に割り、種を出す。たれを付けた焼き肉を乗せてピーマンごと頬張るのだ。ただし、新鮮で美味しいピーマンに限る。ピーマンがいくつあっても足りない。

ピーマン

さて、自分でピーマンを育ててわかったのはその造形の魅力的なことだ。静物画のモチーフに使われるのも納得である。そして枝になっている姿がまた良い。朝方上がった雨粒を光らせ、今朝のピーマンはなおさらいい感じ。できればこのまま鑑賞用として置いておきたいほどであった。

空に手を伸ばし

菜園のキュウリがたいへん気持ち良く伸びている。例年この畑ではキュウリの成育が非常に良い。昨年までは4株ぐらい植えていたのだが、ピークになると収穫しきれず巨大になってしまうので今年からは2株だけにした。

先月終り頃からは収穫もぽつぽつ始まり、現在毎日2,3本。丁度良い収量である。しかし、ここにきて一気に花が咲くようになった。この花が全て実になると・・・と考えると毎年ながら不安である。
キュウリ
株自体の成育もまだまだ続く感じで、追肥もしないのにどんどん上に伸びようとしている。もうこの先は何も無いのに空にまで手を伸ばそうと懸命だ。
キュウリ
キュウリの支柱は、例年台風などで倒れてきた経験から、今年は枠になるメイン3本の支柱をビニールハウス用のパイプで組み立て、それに竹やプラスチックの支柱、ひもなどを使って垣根をこしらえた。これも数年前までは市販のキュウリネットを使っていたのだが、有る年、草刈機で引っかけてしまい、たいへんな目にあった。また買い直すのも癪なので以来自作である。片付けもこちらの方が簡単で、そのまま他の秋野菜に使う。ズボラな自分には向いている。

ところで開花数を調整してなるべく細く長く収穫できるようにする方法はないものだろうか・・・。今度菜園の大先生である伯母に会ったら訊ねて見ることにしよう。