早起きは種子とともに

夜明けが少しずつ早くなってきた。朝はそれほど苦手ではないほうだが、冬の間は他の季節に比べると布団から出るのがおっくうだ。

それでも2月も後半になると、明るくなるのが早くなってきたことと、もう一つ布団から抜け出すモチベーションが発生するので、朝起きだす時間が早くなりつつある。

春の苗のための種まきは種類にもよるが秋遅くから始まる。場所の都合もあるが、一気に撒いてしまうのではなく、種類を変えたり同じ種類でもずらしてまいてゆく。

とはいえ、気温が極端に時期は撒いた種子も発芽する種類は非常に少ない。そして、それらの種子が眠りから目覚め始めるのが少し暖かくなるこの時期なのだ。

毎年同じような種類の種子だし、年によって姿が変わるわけではない。それでも種子が発芽するのは待ち遠しく、発芽を見つけるとやはり嬉しい。毎日何かが発芽しているわけではないにせよ、春に向けた動きがあるというだけでも朝布団から出る気分がずいぶん違うのだ。

ハーブの場合、いろいろな種類があるので発芽の姿も様々。サイズも様々。仕事にもまだ余裕があるこの時期はじっくり観察するのもまた楽しいものだ。

イタリアンパセリの発芽

気温が低くてもよく発芽するイタリアンパセリ。少し気まぐれで、発芽するときはすごくたくさん出てきて困るが、同じパッケージでも「あれ?」と不思議に思うぐらい発芽しないこともある。
ジャーマンカモミールの発芽
ジャーマンカモミールは、とっても小さいが、ギザギザがついた本葉が出てくると見分けやすい。こぼれだねで生えてきても見つけやすい種類だと思う。
ローマンカモミールの発芽
こっちはローマンカモミール。いつもは株分けで増殖するので、発芽した姿は普段そんなに見かけない。
コリアンダーの発芽
以前も紹介したコリアンダー。たまに一つだけしか出てこないこともある。
ストロベリーの発芽
ルーゲンストロベリー。小さくてもしっかりイチゴの葉だ。ハーブも、種類によっては小さいうちと大きくなってから葉の形が違うものも結構あるが、これは見間違えることがない。
アニスヒソップの発芽
アニスヒソップは小さい上にあまり特色がない芽生え。本葉が出てくるとすこし分かりやすいが、零れ種で生えてきたら雑草と見分けるのは困難だ。
ナスタチウムの発馬
ナスタチウム。丸い葉の上に玉のように乗る露が魅力だが、発芽したばかりの葉にもしっかりと露が乗る。
カルドンの発芽
たくましく大きく育つカルドンは、発芽からして力強く土を押しのける。
チャービルの発芽
チャービルも割と気まぐれで、出るときにかぎってこんなにたくさん。分けるのが大変だ。
ローズマリーの発芽
普段は挿し木でばかり増やすので、これもお目にかかることが少ないローズマリーの発芽。親木の株元の零れ種である。

まだまだ数え切れないほどあるのだが、今日のところはこれまで。

ゆっくりとハーブたちの芽生えを観察できるのももう少し。本格的な春になるとそんな余裕もすくなくなるから、せいぜい今のうちにじっくりちいさな命のスタートを見つめてみたい。

こんな場所にはこのハーブ-プロストレイトローズマリー

立性のローズマリーと異なり、匍匐性(這い性)ローズマリーは、あまり季節を問わず、次々と花が咲いてくれるのが嬉しい。基本的に丈夫だし、山陰の夏や冬にも全く動じない。庭づくりにもなにかと頼りがちになってしまうハーブである。花色の濃さや育ちかたでいろいろな種類はあるものの、プロストレイトローズマリーはもっとも基本になる種類だ。

さて、プロストレイト(這う)と言う名前だからといって、必ずしも真横にしか伸ばせないものではない。むしろ、斜面や崖の上のようなところから垂らすと見事になる。もう20年以上前になるだろうか、尾道のとあるお庭で、家の近くの3メートルぐらいある崖の上からそれは見事に垂れたプロストレイトローズマリーを見たことがある。幅は1メートル以上あっただろう。まさに懸崖づくり。その時の驚きはいまでも忘れられない。

話は変わり、この場所は、駐車場から一段上がった庭の縁。西向きで南側にはすぐ家があるし、背中側にはおおきなツルバラがあるため、日照は午後遅くなってからのみである。最初、ツルバラの株元と、コンクリートの壁の冷たさを隠したくてプロストレイトローズマリーを植えた。もう植えて10年以上経つが、特に問題なく育っている。

プロストレイトローズマリー

さすがに、古い枝が多くなってくると、前方へのせり出しが強くなりがちなので、今年の春、かなり強く剪定をかけた。また、奥のほうの枝は、だいぶ枯れて葉も落ちていたのでこれらも相当取り除いた。もう少し壁際によって欲しいところだが、新しい枝も順調に伸びているので多分大丈夫だろう。

別のお庭だが、現在、北向き法面の最上部にプロストレイトローズマリーを植え、法面を覆うように育てつつある場所が一つある。後々、うまく育ったらまた紹介したい。

キリスト像とローズマリー

ひと月かふた月に一度ぐらい、市内のとある教会へお庭の手入れに伺う。数年前、ひょんなことから始めたボランティアだ。もともと、ハーブが好きな信者の方もいらっしゃって、当初から前庭にはいくつかのハーブが植わっていた。

キリスト像の足下にはマジョルカピンクローズマリーの大鉢。マリア様のローズとも呼ばれるぐらいなので、これほど適した場所はないだろう。当初、東向きで午後から日が当たらないので成長を心配したが、元気に育っている。少し前から花を咲かせ始めたようで、時期的に花が少ない庭の良い彩りになってくれている。

マジョルカピンクローズマリー

大きな鉢なのでなかなか植え替えができないが、縦長であることが幸いして2年に一度、土を入れ替えるぐらいで大丈夫のようだ。今度の春でその2年目がやってくる。花が一段落したら植えかえてやるつもりだ。

困った理由

寒い日が続く。圃場でも外はもちろん、ビニールハウスの中でも色味が乏しい。ローズマリーの親株も、まだようやくつぼみを見せ始めて・・・という鉢がほとんど。

そんな中、唯一、ドワーフブルーローズマリーの鉢のあるところだけが明るく際立っている。もともと、花はよく咲かせる種類だが、どうしてこれだけ?と不思議に思った。でも、ちょっと考えてみて納得。

ドワーフブルーローズマリー

ドワーフブルーローズマリーは、一昨年から去年にかけてかなり多めに増殖したかい?があって、まだ比較的多くの在庫がある。そのため、今年の春以降、新規の増殖をしていなかった。

他の種類は大抵春から夏にかけて挿し木のためにかなり剪定を行っているので、花が咲くような枝の充実が遅れているのだろう。剪定を免れたドワーフブルーローズマリーだけが、早くから枝を充実させることができて花芽を付けたようだ。

今年は一足早く花を咲かせることができたようだが、さて、来年はいかに?また早くから咲いてもらうようでは困りますけれどねぇ。

引き立て役

若い頃はもう少し順応性があったように思うんだけれど、立春を過ぎ、もうしばらくの我慢で春がやってくると言う頃になってようやく体が寒さに慣れてくる。

とはいっても、毎日寒い寒いと言いつつ仕事にとりかかる。朝の冷えた空気の中、モーツァルトブルーローズマリーの青が目にも鮮やかだ。ローズマリーもいろいろあるけど、色の好みで言えば個人的にはかなり上位にランクされる。特に今年は寒さのせいか、何となく例年よりも深みのある色になったような気がする。

この株は上に屋根がかかっているのでまだ葉色はきれいだ
この株は上に屋根がかかっているのでまだ葉色はきれいだ

惜しむらくはあまり寒さに当ると葉色が悪くなってしまうこと。この当りではもちろん枯れることはないにせよ、せっかく良い色の花が咲いているのにもったいない。ラベンダーもそうだが、ローズマリーも花の色を引き立てるバックの葉色が重要なんだなぁ。