怠ける口実

長年、エンジン式の草刈機を使ってきた。相当古く、20年を超えるかもしれない草刈機だが、修理を繰り返しながらも、いまだに問題なく現役である。

エンジン草刈機
取り替えるパーツももうなくなってきた古いエンジン

数年前から、充電式の草刈機を目にするするようになったが、当初は「まだまだオモチャ、小さなお庭ならまだしも、畑ではとてもとても・・・」という感じだったし、草刈り作業を行うのもエンジン草刈機に慣れた男性スタッフばかりだったので、まったく使うことなど想定していなかった。

だが、昨年ぐらいから女性スタッフにも草刈りをしてもらう必要性が出てきたことでエンジン草刈機の使い方を教えたのだが、口を揃えて「エンジンが怖い」という。特にエンジンの大きい音が気になるそうだ。排気ガスもくさいという声もあった。

草刈り自体に慣れてもらう必要もあるので、とっかかりだけでもと、電動草刈機も借りてきたのだが、やはりこちらの方が安心して使えるとのこと。

たしかに音という意味では、真夏など、涼しい朝や夕方に草刈りをしたい場合がよくある。民家が少ない地域とはいえ、近隣への騒音を考えると電動の静かな作業にも惹かれるものがある。

そういった条件が重なり、すでにエンジンが一台あるのにもったいないかなと思いつつも、今年思い切って電動式の草刈機を導入した。

電動草刈機

当然パワーの面ではエンジン草刈機に劣るし、稀に電気が近くにない山などで作業するときには頼りにならないが、一番頻繁に使う圃場の周りでは全く問題がないし、やはり静粛性はエンジンとは比べ物にならない。使い勝手も悪くない。発売されてある程度経ったので、実用性も向上したのだろう。

女性陣も、みな安心して使えるようになった。きっと電化製品の延長という感じなのだろう。

自分も最初はカッコつけてエンジン草刈機ばかり使っていたのだが、この夏は暑い日が多かったので朝や夕方の作業の方が楽。電動草刈機の出番はおのずから増えた。

ちょっと不満だったバッテリーの持ちについても、バッテリーが切れたら「ま、このへんにしておくか」と怠ける口実にもなる。エンジンの場合はつい頑張ってしまうので、暑さの中、体をいたわるのにも役立ったかもしれない。

3月が来る前に

2月も終わりが見えてきて、来週半ばからは3月。毎年のことだが、3月に入ると一気に時間の流れが速くなる。

畳み掛けるようにするべきことが次々と出てきて、更に不意打ちで緊急の事案が発生するのが通例。

できれば2月のうちに片付けておくことを少しでも減らしておきたい。親木の植え替えや挿し木もまだずいぶん残っているし、種まきも山積みだ。あれもこれも・・・と頭は混乱するばかり。

心では「ひとつずつ、ひとつずつ」と思っていてもなかなか実行できるものではない。そんな中、今日はコレ!と勢いづいて取り掛かったのが、小さな作業ハウスの妻窓取り付け。

ビニールハウスはその形状ゆえに上部に熱気が溜まりやすい。それを逃すために妻(つま)の上部に開閉式の窓やファンが取り付けてあることが多い。圃場にある他のハウスには取り付けてあるのだが、このハウスは長さが3メートル程度ととても短く、片側に簡易的な窓と出入り口が設けてあり、何年もこれで過ごしてきた。もちろん、両サイドは巻き上げてオープンにできるのでそこそこ風も通る。

といっても、一番熱がこもるところにやはり窓が欲しかったし、困った(?)ことに、数年前、この窓の部品を中古で譲ってもらっていたのだ。投げっぱなしになっているのを横目で見ながら、「早く着けたいな」と思うばかり。

こういったパーツをつけるのは、気温が高い時期はお話にならないし、気温が低い、曇りのひが楽である。おそらく、今日のタイミングを逃したら今年の夏も汗だくでこのハウスで過ごすことになるだろう。

ということで、今日の最優先事項として、材料や道具を揃えて取り掛かった。作業自体は初めてではないのでそう難しくはないが、既に貼ってあるビニールを取り外さずに内側から取り付けたので少し手間がかかった。また、すぐ横に溝があるので脚立がかけにくかったが、1時間弱で作業は完了。窓を開けると冷たい風が流れ込んできた。

今年の夏は、おそらく、気分的にも涼しいだろうし、なによりも投げっぱなしになっていたパーツをもう見なくていいのが一番気持ちが良い。

ご褒美はプロの剪定

ビニールハウスの前に立つギンヨウボダイジュ。

シンボルツリーとして存在感を誇っているが、大きくなるにつれて剪定が困難になってきた。

私自身、高所恐怖症というわけではないが、高いところで太い幹を相手に鋸やチェーンソーを使うのはさすがに怖くなってきた。

そこで数年前から、友人の庭師さんに一切合切をお願いする事にした。

私では技術的にも切ることができず、適当なところで剪定されていたので、木の側としても嬉しがっているに違いない。

また、ちょうど隣地との境に近く植わっているので、空き地とはいえいくらでも大きくするわけにもいかない。下手に剪定すると反発して余計にでも大きくなろうとする。

それが専門家の腕にかかると、弱らせずに伸びすぎないような仕立て方も可能なのだ。我々のような小さな草花を扱っているものにとってはなかなかできない技術である。

もう彼に任せて三年以上、徐々に私がしていた適当な剪定の頃とは明らかに整ってきたようだ。また、この冬の剪定を行う時点で、来年はこの枝を剪定して・・・と数年先が見えていることにも凄さを感じる。

最初の頃は「どうしてその枝を切るのだろう?」と見ていてもよくわからなかった。もちろん今でもよくわからないが、もうそのような疑念さえ湧くこともない。おまかせである。

今年は大きな幹を一本外す事になった。年輪を数えてみるとおよそ十五年。成長が早いので年輪の幅も広い。

伐採されたたくさんの枝は後日玉割り、薪割りして、次の冬の燃料にするつもりだ。薪が燃えるストーブがあるのは樹のすぐ横にある休憩用ビニールハウス。運搬も最小限で究極の「えすでぃじーず」だ。

冬は薪で温めて、夏は木陰を作って涼しくしてくれるありがたい樹。一年に一度、プロに剪定してもらうぐらいのご褒美をあげる価値がある。

雪の下から顔を出す

先月の大雪、1月25日の写真。おそらくこの冬で1番の積雪の時だろう。右側にハーブの親木たちがたくさん埋もれている。

これが今日の様子。ようやくほぼ全ての株が雪の下から顔を出した。念の為、それぞれの株を確認するが、やはりそれなりに被害は大きい。

ビニールハウスから滑り落ちた雪があるぶん、まだ一部、雪の下敷きになって横倒しになった枝もある。

今年もローズマリーはずいぶん枝折れ、裂けの被害にあった。毎年秋には、雪に備えて強く剪定してしまおうと思ってはいるのだが、「まだ冬の間に挿木に使うかも・・・」という中途半端な欲があって残してしまった株がこういう被害にあう。

この株は、確か去年か一昨年もそうとう裂けてしまった。えだを長く伸ばしていると雪で裂けてしまうということがわかったのだからきちんと剪定すれば良いだけなのに。教訓が生かされていないことをただ反省するばかり。

おそらく大丈夫だと思われるが、ホワイトセイジもずいぶん押し潰されてしまった。

ラベンダーも今回ところどころが折れてしまった。

今年被害を免れたのは、マートルの大株。今年ぐらいの大雪だと相当の枝折れが起こる。たまたま、秋にガーデナーのKさんに試しに剪定をお願いしたところ、太い枝だけを残して球状に刈り込んでくれた。「どうなるか・・・」と彼女も不安そうだったが、細い枝が透かれたおかげか、その間を雪が積もって行ったのだろう、全く被害なし。今年の秋もお願いせねばならない。

こうして、雪の下から顔を出してくれるハーブたちには毎回ドキドキさせられる。

ヒヤヒヤのこの季節なのだが、雪の下から顔を出してくれると嬉しいものもある。

昨日、ビニールハウスのご近所さんからいただいた蕗の薹。今年は出てくるのがちょっと早く、ずいぶん大きめだとか。早速、大量の蕗の薹味噌を作った。

これでしばらくは、日本酒を楽しむのには事欠かなさそうだ。

替え時

冬以外の季節は、あまり手袋をするのは好きではない。特に土に触るときは素手の方が気持ちが良いし、土がついた手袋がゴワゴワするのがなんとも嫌な感じなのだ。

さすがに冬はそうもいってられないので手袋は必須だし、近年は爪が弱くなってきたのか、苗がたくさん入ったトレーを持つとき、不注意に引っ掛けて爪を割ったりすることも増えてきた。一度怪我をすると治りにくいことも実感するお年頃(傷の治るスピードは小学四年生の4倍以上かかるという)。面倒くさがらずに手袋をするように腰にはいつも手袋を引っ掛けるようになってきた。

また、以前は絶対的な綿軍手愛用者だったので、スタッフがゴム系の手袋を使うのをやや批判的に横目で見ていたのだが、使ってみると案外具合が良く、いつの間にかこちらも併用することになった。軍手よりも比較的細かい作業もしやすいのがありがたい。そのメリットと引き換えになるのが左右があること。

当然ひと組では普段の作業でローテーションできないので、5組ぐらいあるのだが、洗ったものを(きちんと左右で組にしておけばいいだけの話だ)無造作に取り出すと右と右だったり。もう一枚取り出すとまた右。なぜか左が見当たらないのはしょっちゅうのこと。

そしてたいてい、次探すときには左ばかりがでてくる。

破れて使い物にならなくなった(右ばかり)ものが増えるとさらに面倒なことになる。また追加で購入・・・というあまり良くない循環に組み込まれてしまう。

更に悪いことには徐々に同じシリーズの手袋が店から消えつつあるようだ。店側も新しいシリーズを投入したいのだろう。今まではどこのホームセンターでも見つかったのだが、現在、特定のホームセンターでしか見つからなくなった。

今日もホームセンターへ行く用事があったので、少し買い足しておくかと手袋コーナーに行ったが、端の方に追いやられていた。しかも、ぴったりのXLサイズもない。いよいよ在庫限りかと、とりあえず2組購入。

そろそろ新しい製品に変えるのを迫られているようだ。今後長らく手に入りそうなのは・・・と十何種類もある手袋のコーナーを眺めるのだが、なかなか決め手は見つからない。