啓蟄

今日は啓蟄。虫たちが暖かさで穴から出てくる日とされる。決して暖かくはなかったのに、植え替えをしているとなにやら視界の上の方で動くものがある。

見ると、帽子に小さなクモがしがみついていた。ビニールハウスの中には、真冬を除いてクモがいつも多い。特に、蜘蛛が巣を張り始める春は朝一番にビニールハウスを一回りすると体中に細い細いクモの巣がまとわりつくぐらいだ。

クモ

でも、もともとクモが苦手と言うことでも無いのでそれほど気にならない。唯一、メガネにクモの糸がかかると煩わしいぐらいのことだ。(年に一度ぐらいは、首筋を歩かれてゾッとすることもあるけどね)今後ともお互いに邪魔をせず良好な関係を保っていきたい。

一瞬の黒

ブラックペパーミントキャンディミントはミントの中でも紛らわしい種類である。春から秋まではパッと見ただけでは区別がつかない。香りも、二つを比べれば、より強いブラックペパーミントと、甘みのあるキャンディミントでかぎ分けることもできる。しかし、どちらか一つを差し出され、「どっちのミントだ?」と言われたらお手上げである。

だいぶ「黒」からグリーンに戻りつつある
だいぶ「黒」からグリーンに戻りつつある

それでも冬の一時だけは、見た目に違いが現れる。同じ環境で育てているとまさに寒中、ブラックペパーミントは濃いめの葉色がより濃くなり、『ブラック』と言う名にふさわしい姿に変わる。一方のキャンディミントは濃い葉色ながらも、ブラックペパーミントほどしっかりした色にはなりにくい。

キャンディミント

そんなブラックペパーミントも暖かい日が増えてくると徐々に色がグリーンに戻ってくる。

まあ、これもビニールハウスの中でと言う条件付きなので、外のふきっさらしだったらもう少し際立った違いが見えてくるかも知れない。

どちらが幸せ?

3月の声を聞くと土の中から緑色がエネルギーとなって飛び出してくる。

ハウスの周りでも頼みもしないのに一斉にヨモギが顔を見せ始めた。「あ〜、今年も元気だね〜」と一人呟く。

ヨモギ
草押さえに撒いたそば殻も地下から出てくるヨモギには無力に近い

今はまだ可愛らしい姿に見えても、あっという間に大きくなる。そして、既に土の下では強力な地下茎が繁茂していることだろう。

ひな祭りにそなえる菱餅にでも使えばまだ溜飲を下げることもできよう。もちろん、優れた薬用植物としての利用もできる。しかし残念ながら需要に対して供給が恐ろしく過剰である。今年もまた草刈りの相手として立ち向かわなくてはならない。

毎年ながら、ヨモギを見るとこれがどうしてタラゴンと同じ属なのか頭をひねりたくなる。

でもきっと、タラゴンもヨモギぐらい強力だったら雑草として嫌がられただろうし、ヨモギもタラゴンぐらい繊細だったらきっと大切に扱われたことだろう。さて、どちらが幸せなのだろうか。

ルックスは二の次?

個人的に、タイムはハーブの中でも好きな方である。大きくなりすぎて困ることも少ないし、どちらかと言えば控え目。でも、香りはしっかりしているし、きちんと育てると予想外に良い花を咲かせてくれるのも嬉しい。

場所さえ適切に選べば、比較的安定した育ち方をするのもポイントが高い。寒さにも強いので、冬も特に心配する必要がないのだが・・・。

タイムは比較的強いハーブであるが、過湿は避けた方がベターだ。冬場もそれに習い、水のやりすぎにならないように育苗している。ところが、乾燥気味にすればするほど、(且つ、寒くなればなるほど)葉の色は赤茶けてくる。株自体は健康なのに、見た目は決して良いとは言えない。写真はクリーピングレモンタイムである。

クリーピングレモンタイム

これも、少し暖かいところにおいて、水やりを多めにすればもっとグリーンがきれいになる。しかし、その株の根を見れば、根腐れ気味であることが多い。

見た目よりは株のコンディションを優先するべきなので赤茶けようがあまり気にせずにいるのだが、それでもやはり褪せた色に変わった葉を見るたびにどうにかできないものかと思うのである。