積雪を待ち望むわけ

昨日午後から雪模様。昨夜はずいぶん積雪があると予報が出ていたのだが、それほどではないだろうと楽観視していた。先日降った雪でこの冬はもう終わりだろうと思っていたこともある。

今朝、思った以上の積雪に驚く。幸い、運転に気をつける必要はあるとはいえ、圃場まで行くのに困るほどではなかった。

ただ、ビニールハウスに積もった雪で中は今日も冷蔵庫状態。作業には差し支えあるものの、年に数回はこれぐらい積もってもらうほうが良い。

ハーブたちもしかるべき寒さを経験することで、春に向けての動きにスイッチが入ると言う意味もあるのだが、もう一つ大事な理由がある。

あまり聞かないことだろうし、同業者にも話すとびっくりされることがあるのだが、ビニールにコケが生えるのだ。それは年々厚くなり、日光の透過率を下げてしまう。更に悪いことに、このコケのおかげで積雪時、雪が滑り落ちにくくなるのだ。実際、それが原因で、大雪の時ビニールハウスを倒壊させてしまったことがある。元々の原因は高い湿度と、近くにたくさんある杉などの花粉が付着してコケの栄養になるようなので、どうしようもないところなのだが。

コケとともにずり落ちる雪
コケとともにずり落ちる雪

ビニールハウスに適度な雪が積って滑り落ちると、コケも一緒に落としてくれるのだ。先日も今日と同じような雪だったので、そこそこコケを落としてくれたと思ったが、今日滑った雪を見るとまだ結構残っていたようで、垢を削ったようにコケが雪に付着していた。

ビニールに付着していたコケ
ビニールに付着していたコケ

この冬はもしかしたら一度も積雪がないかもという覚悟もあったので、2度の積雪でコケが落ちてちょっと安心する。

これ以上降ると枝折れなどの影響もあったりしてそれはそれで問題だが、圃場前のサンタバーバラローズマリーも雪の重さに耐えながら咲いていた。おそらくこれが本当に最後の雪になることだろう。

サンタバーバラローズマリー
サンタバーバラローズマリーはなんともないかのように咲いていた

この冬の苗たち(その2)

2月6日、昨夜から今朝にかけてようやく雪らしい雪が降る。

道路の雪は昼までにはずいぶん溶けたが、昼頃を過ぎてもビニールハウスの雪が落ちずに冷蔵庫状態だった。

雪のビニールハウス
屋根に雪が積もると冷蔵庫のように冷えて作業にならない

前回に引き続き、冬の苗たちの紹介。春や夏の様子とはずいぶん違っているので、見慣れていないと驚かれるかもしれないが。

ローズマリーは、寒さに結構強い種類からそれほどでもない種類まであるのだが、寒さにあまり強くない種類の方が青々として、寒さに強い種類はかえって冬の初め頃から赤くなったり、葉がくすんだりし始める。

トスカナブルーローズマリーはまだグリーンが残る

トスカナブルーローズマリーや、プロストレイトローズマリーは、冬の終わりぐらいまでグリーンが残る方なのだが、寒さに強いアープローズマリーやセイレムローズマリーなどはさっさと葉緑素を減らしはじめることが多い。

セイレムローズマリー
セイレムローズマリーは早めに葉が赤っぽくなる

見た目には、調子が悪くなってきたと思ってしまう。

タイムの仲間は多くの種類が葉の色が褪せる。一方で斑入りの種類は鮮やかさを増す。夏の間はなかなか色が出ないドーンバレータイムやゴールデンクイーンタイムなども寒くなると黄色が鮮やかになりようやく見応えが出てくる。

ゴールデンクイーンタイム

ただ、いちばん綺麗になるのはやはり春の初め頃だ。

シルバータイム

シルバーバイムは3色ぽくなってこれもまたいい感じ。

赤花クリーピングタイム

赤花クリーピングタイムは葉が赤っぽくなる。古い葉は下の方から落ち始めている。

また、秋に古い枝を剪定したタイムの中には早々と新芽を伸ばすものもあったりする。

レモンタイム
レモンタイム

オレガノは種類によって様々だが、多くは株元に葉をぎゅっと縮こませて冬を越えようとしている。

オレガノ
オレガノは冬にかなり葉が赤くなる

普通のオレガノは葉がかなり赤くなるし、オレガノ・ミクロフィラなどは、赤黒っぽく変化する。

ラベンダーは、落葉することはないが、下の方の古い葉を落とそうとするのか、硬く枯れてくる。

また、今年はそれほどでもないが、葉が赤っぽくなったり、逆にシルバーに近い色になってくる。これが本来の姿だが、見慣れないと枯れてしまったと思うかもしれない。

斑入りドワーフマートルも葉が真っ赤になる。ちょっと斑点ぽくなってあまり綺麗ではないのだが。

斑入りドワーフマートル

もっと寒くなると年によっては葉を落とすことさえある。斑入りマートルは少し寒さに強いのだろうか、まだ赤みが弱い。

斑入りマートル
斑入りマートルは、ドワーフよりは変化は少ない

もう少し紹介したい種類はあるが、次回につなげたいと思う。

天気予報とにらめっこ

先日の台風10号が通り過ぎてからというもの、とんでもない暑さがようやく落ち着いたような気配。

8月のグロッソラベンダー
暖かいせいか、色も薄く、ちょっと冴えない感じ

なぜか、グロッソラベンダーの一株が急に2番花を咲かせ始めた。といっても花穂は数本。気まぐれに咲き始めたという感じ。

今日も1日曇り空。朝は少し強い雨が降る時間帯もあった。猛烈な暑さがなくなったのは助かるが、ここ数日は曇り空と雨降りの繰り返し。日差しもほとんど届かず、天気予報を見ても来週に入るまでは曇り空が続きそうな模様だ。

こうなると困るのが、強い日差し対策としてビニールハウスに張っている寒冷紗をどうするか。

寒冷紗
強い日差しを遮る寒冷紗も、曇天では無用の長物

すでに、ところどころ苗の徒長の兆しが見え始めている。

ローズマリーの徒長
ローズマリーもちょっと柔らかく伸び始めた感じ

曇り空が続くならば寒冷紗を外した方が良いのだが、まだ8月も1/3残っている。3年前など、9月9日にようやく外しているぐらいだ。

きっと、寒冷紗を外すとまた真夏のような日差しが戻ってきそうで踏ん切りがつかない。しばらくは天気予報とにらめっこすることになりそうだ。

雪に気を取られ

先日からの雪も、昨日には一段落。週明けにもう一度寒波がと言われているが、今回ほどじゃないだろうとすこし油断しているところだ。

とにかく、雪でビニールハウスが潰れてしまうことが一番怖い(北陸で、ビニールハウスが潰れたというニュースを耳にすると、以前の被害を思い出す・・・)。そればかり気にしていたので、今朝、こんなに気温が下がるとは思いもしなかった。

マイナス5℃ぐらいではと思っていたが、なんと驚きのマイナス9℃!

おそらく、この場所で育て始めてから一番下がったのではないだろうか。

ローズマリーと霜

ローズマリーにこんなに霜がついたのは初めて見た。

油断とは怖いもので、スタッフもこのところ毎日夕方ポンプの水をチョロ出しにして帰っていたのに、昨日にかぎって忘れていた。

私も、もう恐らく大丈夫だろうと、寒さにすこし弱いハーブもそのままで特に対策もしていなかった。

一番被害にあったのが、サルビア・ディスコロール

サルビア・ディスコロール朝の時点でこの通り。寒さでいたんでしおれてしまっていた。夕方にはもう真っ黒に近くなっていた。

おそらく株自体は大丈夫だろうが、春先に発売できそうな感じだったのに、復活するのにしばらくかかりそうだ。

本当に自然に対しては油断禁物、戒めをいただいた気分だ。

越冬それぞれ

3月も、あっという間に半ばを過ぎ、お彼岸となった。

さすがに春の陽がさす日も多くなり、ようやくハーブたちにも成長の兆しが見えるようになってきた。

これから一気に気温が上がると春の作業も急増していくが、忘れないうちにこの冬の被害状況をまとめておきたい。

この冬はその前の冬に比べると気温の低下はそれほどでもなかったが、とにかく2度にわたる大雪による被害が顕著だった。

特に、例年は枝が曲がる程度で済んでいたようなハーブたちの枝折れが目についた。

ローズマリー
かなり下の太い枝から折れたローズマリー

ローズマリーも太い枝が折れた株が多かったし、ラベンダー類も雪に上から押しつぶされて割れてしまう株が続出した。

ラベンダー
ラベンダー、今年は花が咲いてもちょっと見栄えが悪そうだ

かなり根元の辺りから裂けたり折れているので元のような形に直すのはかなり困難を伴いそうだ。少なくとも数年というスパンで考えておいたほうが良いだろう。

チェリーセイジ

チェリーセイジも昨年伸びた枝の大半が折れてしまったが、剪定しないと大きくなりすぎるのでちょうど良い。すこし整えるぐらいで済みそうだ。

レモンヴァーベナ

昨年寒さで傷んだレモンヴァーベナ、今年は早めから風よけをしておいたので恐らく大丈夫だろう。昨年よりはすこし早く芽が出てくるかもしれない。

ティートゥリー

ティートゥリーも雪で枝がかなり折れた。だが、葉の傷みはむしろ少ない感じだ。

カルドン
雪に対して意外な強さを見せたカルドン、直径は2メートルぐらいある

案外被害が少なかったのがカルドン。冬前の時点で相当大株になっていたし、 一時はこの上に40センチ以上は積もっていたはずだ。枝もろともペシャンコになっているだろうと思っていたのに、雪が徐々に溶けて姿を表すと、所々の葉が途中で折れているぐらい。大雪が降ったあととは思えないぐらいだ。

レッドベルガモット
土の下に隠れて冬を過ごすレッドベルガモット

もちろん、地面にへばりついて冬を越すような種類はほとんど問題がない。すでに秋の時点で地上部がほぼなくなったレッドベルガモット。元気に小さな新芽をたくさん出し始めている。

ボリジ
周りの草が枯れると姿を表すボリジ

土手の斜面に零れ種で生えたボリジも春の日差しをすこしでも集めようと葉を思い切り伸ばしている。

柳

また、今年の冬の雪の被害を微塵も感じさせなかったのが、法面の土止めとして植えていた柳。大雪もなんのその。柔らかい枝は全く影響もなくすでに柔らかな新芽を伸ばし始めていた。

柳の新芽
柳の新芽

人生でも、ハードな局面に強硬に立ち向かっていくよりは、しなやかに上手に避けていくほうが乗り越えやすかったりするもんなぁ。としみじみ思わせる冬の終わりだった。