開花前と後で

6月に入り、お気に入りのハニーサックルが徐々に開花しつつある。花の香りが良いことは言うまでも無く、ハーブにはやや少ない蔓が楽しめること、トラブルフリーであることも好感度を高くしている。

ハニーサックル

小さな蕾がぎゅっと詰まって見えはじめていたかと思うと、どんどん大きく育ち、見事な大きさになる。特にピンク系の種類はこの咲く前の色合いが良い感じだ。つやつやとして、グラデーションのかかりかたも雰囲気良く、形もすっきりしている。

ハニーサックル

ところが、開花すると「ちょっと派手過ぎるかな」と言う印象である。色も派手な上に、立体感がある。大きな塀などにからませているのなら丁度よいかも知れない。また、ローズなどと組み合わせるのなら、これぐらいボリュームがある方が良いだろう。

ロニセラ・グラハムトーマス

ロニセラ・グラハムトーマス

だが、個人的には開花時はむしろ白系のグラハム・トーマス辺りのほうが好きである。蕾の頃はこちらはさえない感じだが、開花した時はかえってすっきりしている。今、店舗の木の壁にはこちらを広げようと画策中である。ブラウンの壁にはきっと映えてくれるものと思う。見ごろを迎えるのはまだ数年先になるだろうが、その時を想像しつつ気長に待つのである。

日本の香り

親族が管理する里山に所用で出かけた。山道を歩いていると風に乗って甘く爽やかな香りがする。初め、クチナシの香りかと思った。

スイカズラ

辺りを見回してみると少し離れたやぶに、白と黄色の花が咲いているのが見えた。もしやと思って近づいてみると、スイカズラの花であった。忍冬(ニンドウ)とも呼ばれる。いわば日本のハニーサックルである。

スイカズラ

この場所は何度も通っていたのに、今まで全く気がつかなかった。「栽培されている」という認識があると注意して見るのに、自生しているとつい見逃してしまうのだろう。

スイカズラ

暗い薮を背景にして花色が際立つ。開花時から花色が変わっていくのはハニーサックルの仲間では良くあることだが、スイカズラもなかなかいい感じである。

今、圃場でもハニーサックルが次々と咲き、香りを楽しませてくれている。それにしても香りの系統のなんと違うことだろう。普段接しているハニーサックルは爽やかで割とシャープな明るい香りがするのに、こちらのスイカズラは爽やかではあるが、しっとりと深みがある。最初クチナシを連想させたように、非常に日本的なのだ。花の咲き方も、perlclymenum系とは大分違うし、庭などでも楽しめそうだ。

冬に機会があれば、一度、冬に耐え忍ぶ忍冬の姿を見てみたい。