土曜日限定

ビニールハウスでの作業中には、いつも小さなラジオから音楽やトークが流れている。

以前も紹介したことのある小さなラジオ、この夏も頑張ってくれたが、どうも調子がおかしくなってきた。山に囲まれた場所なのでもともと電波の入りが悪い。それが、ここ数ヶ月更にチューニングがずれやすくなったり、天気によっては選局自体が難しくなってきた。

そんな時は聞くのを諦めたり、別の局にしてごまかしていたが、とうとうしびれを切らしたスタッフのひとりがラジカセを持参してきた。なんでも母君がかつて使っていたものだそうだが、もういらないと言うのを譲り受けたとか。

ラジカセ
古きよきデザイン。もちろんCDはなし。

「そのうち壊れるのを覚悟の上だろうね」と念を押しておいた。激しい寒暖、土ぼこりや直射日光、湿気など、環境は劣悪である。

それにしても小さなラジオに比べるとラジカセの音質は素晴らしい。土曜朝、スタッフ誰もがお気に入りのFM、「ウィークエンドサンシャイン」、そして「世界の快適音楽セレクション」も「音楽」を聴いている実感がある。音楽が聞こえすぎて仕事の妨げになるぐらいである。

雑音が入りすぎて聞く気になれなかったクラシック番組や軽妙なトーク番組もこれなら楽しめそうだ。毎日の作業も楽しくなるに違いない。

「ん〜、いい音だねぇ」
と感心していると、当のスタッフ曰く
「ラジカセは土曜日だけ持ってこよう、AMは音悪くてもいいし!」

なんだとぉぉぉぉ〜

向き不向き

そう多くは無いが、お客様の庭の手入れで芝刈りをすることがある。いずれも庭のワンポイントで芝刈り機を使うほどの大きさではないので、ハンディ式の電動芝刈り機で事足りる。

こういった単純作業は結構向き不向きがあるもので、自分のように気が散りやすいものには適さないようだ。スタッフには一人、黙々と芝刈りをこなすものがいて大抵は彼が担当することが多い。仕上がりも問題ないのだが、悪い癖で電源コードを時々切ってしまうのだ。

「今日は切らないようにね!」
とみんなで半分冗談交じりで言うのだが、それでも何回かに一回はスパッと切断してしまう。一度など、お客様の家のブレーカーが落ちてしまって大騒ぎになった。

さすがにそろそろ交換しないと危険である
さすがにそろそろ交換しないと危険である

「電源から近い所から初めて、徐々にコードを伸ばしていく」
という基本は分かっているはずなのに、芝刈りに集中しすぎるとコードが目に入らなくなってしまうらしい。他のスタッフからは、
「二日酔いかぁ?」
とか
「どうせ女の子のことでも考えてたんだろ〜」
としばしば茶化されている。

気が散るタイプにも向かず、集中しすぎても駄目、芝刈りは簡単なようでなかなか難しいものである。

剪定と研ぎ

梅雨が明けると、苗の剪定作業が増える。高い温度に加え、水が切れないよう、充分な水やりをするので枝と葉がぐんぐん伸びる。形も悪くなるうえに、葉が多いと余計に水が切れやすくなる。そのため、適度に剪定が必要だ。

苗の柔らかな枝と言っても、大量に剪定しているとハサミの切れが悪くなってくる。切れが鈍ると、柔らかい枝がむしろうまく切れない。研ぎが必要になってくる。

本気で刃を研ぐのなら砥石の出番だ。でも、砥石を使うと、それ相応の時間もかかる。また、携帯用シャープナーと言う手もある。これも、普段はツールボックスの底にあり、さっと取り出してと言う感じでは無い。

そんな時、活躍してくれるのが、圃場の片隅にあるトクサだ。ケイ酸を含み、木工品のヤスリがけなどにも使うと言う。苗の剪定でハサミの切れ味を鈍くする原因はほとんどがヤニ。だから、トクサで軽くこすってやると簡単に取れる。使い終ったら、苗の剪定屑と一緒に処分できる。片付けの必要もないのが嬉しい。

トクサ

このトクサ、お客様の庭の整備をしていた時、あまりに広がりすぎて片付けて欲しいとのことで引っこ抜いた。また何かに使うかもと持ち帰って植えていたのが今になって重宝し出した。ただ、場所によってはものすごく増えるので、鉢植えの身である。

帽子の政権交代

頭のてっぺんが寂しくなり始める前からの帽子愛用者である。外仕事をするようになってからだったのか、それより前からだったのか、いまではもう思い出せない。

専らキャップ派で、被りツブした(というのかな?)帽子は数えきれない。

ところがこの一年ほど異変が起きている。昨冬、あまりの寒さにかぶったニット帽の暖かさが手放せなくなり、ひと冬のあいだキャップから遠ざかっていた。

また、梅雨に入る前、長時間の屋外労働のためにと購入した麦わら帽子。その日だけかぶるつもりだったのに、以来、キャップに取って代わってしまった。それまで夏はキャップに首手拭いがお決まりのスタイルだった。けれども、首はむしろオープンにして麦わら帽子のつばで陰を作ってやる方が遥かに涼しい。無論、帽子内の涼しさはキャップの比ではない。

麦わら帽子

冬のニット帽は作業に限らず、店頭でもお出かけの際にも変わらず身に付けていたのだが、麦わら帽子は作業以外で被るには抵抗がある。麦わら帽子が街なかでも似合うには夏の太陽にも負けないような笑顔が必要だとおもう。それは望むべくも無いから、もっと歳を重ねて良い具合に枯れた爺さんになるまで待たねばなるまい。

時には科学的に

当店のハーブの栽培は、もっぱら勘や経験に頼っていてあまり科学的とは言えない。育てる種類が限定されるのならもっと色々なデータに頼っても良いかも知れないが、種類が多いために、何でも一把ひとからげ、全体をみて判断するしかない。

そんな我々でも、時には科学的な考察を試みることがある。(おお、なんかカッコいいぞ)

時々手入れに伺う、とあるお宅の庭のクリーピングタイムが数年前から調子が良くない。肥料を入れたり、植替してみたりしても大きな変化なし。ガンガン日が当り、風通しも良い。それなのに今年など、苔が生えてくる始末。埒が明かないので、土を調べてみることにした。

PH試験

お庭の何箇所からか土をもって帰り、PH試験キットでチェックしてみる。タイムが植わっている場所のPHが低いことが分かる(上列)。いつからこういう状態か分からないが、以前は問題なく成長していたので、その後何かが変わったのかも知れない。

これだけが原因とは言えないものの、とりあえず原因の一つになりそうなものが分かっただけでも少し前進である。さて、これからどうしようか・・・。