寒冷紗

日差しが強い時期、ビニールハウスでは遮光シート(寒冷紗)を張る。植物のためには早くとも梅雨が明けてから張るのが例年の習わし。まだまだ先である。

それに先駆け、か弱い我々用の遮光シートを作業スペースの上に張った。ごく薄い一枚のシートとはいえ、有ると無いとでは暑さがものすごく違う。「木漏れ日の下」と言うほどの風情はないにせよ、今から秋初めまではこれなしではやっていけないほど重宝している。

寒冷紗

非常に優れ物のこのシート、遮光率もいろいろラインナップされており、用途によって使い分ける。種を発芽させたり、挿し木を管理するビニールハウスでは年中軽く遮光されるタイプで覆って乾燥を防ぐ。遮光度合いの高いタイプは真夏、ポット上げしたばかりの苗を育てるビニールハウスで短期的に使う。同じ時期、大きな株のハウスでは薄い遮光シートである。

薄くて軽く、小さく畳めるのでパーソナルな園芸でも活用の場は多いと思う。

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学習効果

お客様から今年はチュウレンジバチが多いと言う話を伺った。庭でたくさん飛び回っているとのこと。

確かに、先日庭の手入れにうかがったあるお客様の庭では、HTが十数本有るコーナーで既に幼虫を見つけた。毎年のことなのであまり驚かないし、被害が少ないうちならそれほど心配することも無い。

なので成虫についてあまり気にかけることもなく、どんな姿なのかおぼろげにしかとらえていなかった。実際、こういう場合図鑑やネットで見たところで自分のものにはなりにくい。

話をうかがったお客様の御主人がわざわざ成虫を捕まえて持ってきてくれた。一目瞭然。やはり昆虫は動いているところを見るのが一番だ。

その後、ビニールハウスの一角でチュウレンジバチが飛んでいるのを見つけた。やはり今年は多いのかも。普段も飛んでいるに違いないが今までは認識できていなかったのだろう。学習効果がでたようだ。

ミントは口に合わぬ。
ミントは口に合わぬ。

先のローズのお庭では油断していると大変なことになるのに、ビニールハウスのほうではさしたる被害も無い。たまにローズ系の枝に産卵した後を見ることはあっても幼虫が葉を食い荒らした形跡もない。天敵はアシナガバチだと言われているから、天敵の多いこの地には適していないのかも。

マヌカも硬くて嫌じゃ
マヌカも硬くて嫌じゃ

それとも、肥料たっぷりで育った美味しいローズの葉を探してきては見たものの、あるのはハーブと貧相な原種ローズばかり。食欲が湧かないのかも知れない。

ニートな葉

5月になると日差しも強い。朝や夕方はともかく、真昼は日陰のほうがかえって気持ち良いぐらいになってきた。

ハーブたちも強烈な直射日光を嫌う種類はそろそろなにか対策を始めなくてはいけない時期である。斑入りの種類については葉が焼けてくるものもぼちぼち出はじめる。

パイナップルミントも葉焼けに弱い種類の一つだが、春先にはさらにこんな葉も出てきたりする。

アップルミント

普通は縁取りのように斑が入る。ところが、たまに葉全体が真っ白になってしまったものが出ることがある。

かつてはこれを何とか増やせないかといろいろ試して見たこともあったが徒労に終った。写真でも分かるように葉の縁のほうから徐々に焼けてくる。5月の初めでこうだから、その後どうなるかは明らかである。可愛らしい葉ではあっても葉緑素不足ではあまりに弱いのだ。

この葉で光合成しないのであれば、他の葉で作ってもらったエネルギーでようやく成長しているのだろうか。早く自立しなさいと言いたいところだが、自分もかつてこの葉と似たりよったりであったことを思い出すと沈黙せざるを得ないのである。

時既に遅し

ここ半月ほど育苗作業はもとより、お客様のお庭の仕事が重なり、パーソナルな野菜畑の手入れがおろそかになっていた。圃場のすぐ脇にあるのに、気になっていながらその余裕がないのだ。案の定、ルッコラ(ロケットサラダ)が満開状態。その上草も伸び放題。

半月以上収穫も何もしなければ当たり前ではある。こうなってしまうと、葉は一層苦くなり、収穫する気持ちになかなかなりにくい。ついつい、
「このまま咲かして種子採り用にしちゃおう」
となってしまうのである。

ルッコラ

特に今年は株の出来がよかったようで花も充実している。どちらかといえばぱっとしないルッコラの花だが、初夏の日差しの中で咲いているとそう悪くないという気もしてくる。せっかくなので写真に収め、ホームページにも掲載しておいた。

実はトマトやナスビなど夏野菜のための準備もまったく出来ていない。少し暇ができたときにはと考えてはいるものの、これから更に忙しさはアップする予感。どうなることやら。

ひばかり

田植えの時期を迎えている。スタッフの家でも今日からスタートするようでお休みして田植えに励んでいるようだ。

ビニールハウスの周りでもぼちぼち準備が進んでいる。横にある水路もまだ水量は少ないが、今後田に水が張られるようになると一気に水量が増える。水路脇の雑草が伸びつつあるのでそれまでに草刈りをすることにした。近所の農家の方は、「べつにかまあせんが(別に構わないよ)」と仰ってくれるのだが、水路に刈り取った草が流れ、田にはいるのはさすがに気が引けるからだ。

半月前に刈ったとは言え、雑草はすぐに大きくなるものだ。それでも夏に比べると楽な作業である。気持ちの良い風に吹かれれつつ作業を進めていると、水路の中で動くものがいる。蛇が水の中で泳いでいた。怪しげな体表のカラーリング。ヤマカガシである。

ヤマカガシ

マムシのように攻撃的ではないとは言われるが、ハブの10倍とも言われる毒を持つらしい。しかも毒液を飛ばすという話もある。
ヤマカガシ (Wikipedia)
知らなかったが、この辺りでは「ひばかり」と呼ばれているようだ。初めて聞いた時には何のことか分からなかった。
「さ、おめぁ、噛まれぇとその日ばかりしか生きられんかぁだわの(それは、あなた、噛まれるとその日ばかりしか生きられないからですよ)」
と教えてもらった。経験に基づいた素晴らしいネーミングである。

なのであまり関わりたくない蛇である。この周りではシマヘビに続いてよくみる種類とは言え、たいていはこちらが気づく頃には向こうへ逃げていくパターンが多い。今回も同様であった。

さて、草刈りのあと、水路に落ちた草を集めなくてはいけない。普段は何気なく行う作業なのに、今回は及び腰になってしまった。にょろりとしたものに縁のあるここ数日だ。

ヤマカガシ

当のヤマカガシは水路に置かれたせき止めようの土のう袋の上で水泳の後の日光浴中であった。